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坂本花織、引退後は指導者へ 中野コーチが涙の一言「今度はあなたが金メダリストを育てなさい」21年間の恩師から受け取ったバトン

坂本花織、引退後は指導者へ 中野コーチが涙の一言「今度はあなたが金メダリストを育てなさい」21年間の恩師から受け取ったバトン

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2026年ミラノ・コルティナ五輪フィギュアスケート女子で、坂本花織(25)が銀メダルを獲得した。今季限りでの引退を表明しており、競技人生最後の五輪で有終の美を飾る。演技後、4歳から21年間指導を受けた中野園子コーチから「あなたが銀になったから、今度はあなたが五輪の金メダリストを育ててあげなさい」と、指導者としての未来へバトンを渡された。

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涙の銀、金メダルより重い「次への糧」

ミラノの氷上で演技を終えた坂本花織の目から、涙がこぼれた。完璧な演技ではなかった。ショートプログラム2位から逆転での金メダルを目指したフリーは147.67点、合計224.90点。北京五輪の銅を上回る銀メダルにも、悔しさがにじむ。

演技後、21年間指導を受けてきた中野園子コーチ(73)と抱き合うと、こらえていた感情があふれ出た。「ここで完璧に決めたかった。できなかった分が、優勝を逃してしまった点数分だったので、それがすごく苦しくて」。その涙は、金メダルだけを目指し続けた4年間の証だった。

しかし、メダリスト会見では表情が変わる。「悔しいと思うぐらい頑張ったってことだし、この悔しさを次のキャリアの糧にできたらと思っています」。その視線は、すでに次の舞台を見据えていた。

21年の師弟、衝突を越えて築いた絆

坂本がスケートを始めた4歳の時から、リンクサイドには常に中野コーチがいた。共に歩んだ21年間は、平坦な道のりではなかった。時には意見がぶつかり、言い合いの熱が冷めず、中野コーチが大会に同行しなかったこともあった。2024年9月には、坂本が「距離を置かせてほしい」とメールを送ったことさえある。

それでも、二人の絆が途切れることはなかった。修復するたびに、その結びつきはより強固になる。坂本にとって、自らの感覚と中野コーチの言葉は必ず一致した。お世辞なく、素直に意見を言ってくれる存在は何よりも大切だった。

中野コーチもまた、教え子に全身全霊で向き合った。5年前に大腸がん、その翌年に肺がんを患った。それでも手術からわずか2週間後には指導に復帰。「先生は命懸けで向き合ってくれている」。その姿が、坂本の心を強く打った。

幼い頃、坂本は母に「中野先生になる」と夢を語ったことがある。その夢は、21年の時を経て現実の目標へと変わった。

「あなたが育てなさい」託された金メダルの夢

演技後、リンクサイドで涙に暮れる教え子に、中野コーチは静かに、しかし力強い言葉をかけた。

「あなたが銀になったから、今度はあなたが五輪の金メダリストを育ててあげなさい」

それは、21年間を共にした恩師から、愛弟子へ送る最大のエール。そして、指導者「坂本花織」の誕生を告げる瞬間だった。中野コーチは「コーチになった時に頑張ってやっていこうという力を残す意味で、これはいい位置なんだと思う。これを励みにして、これから生きていってほしい」と、銀メダルの意味を語る。

金メダルを狙っていたからこそ、銀メダルが悔しい。中野コーチは「人間はぜいたくになるんだな」としみじみと口にした。北京での銅メダルは純粋に嬉しかった。だが、世界の頂点を目指す中で、求めるものは高くなる。その悔しさこそが、次への原動力になると信じている。

坂本もその言葉をしっかりと受け止めた。「いずれ自分自身がコーチとしてこの五輪に戻って、教え子を金メダルに導いていけるように。全力でサポートできたら、また五輪にふと現れるかもしれない」。悔し涙は、新たな夢への決意に変わった。

SNSでも見守られた師弟の「いつも通り」

演技直後の緊張が解ける瞬間、師弟の変わらない関係性をファンは見逃さなかった。得点発表後、中野コーチが「世界選手権!」と声をかける姿が中継で映し出されると、X(旧Twitter)では「いつも通りでめちゃ良かったです」「さすが先生」といった投稿が見られた。どんな大舞台でも揺るがない二人の日常が、そこにはあった。

「一番後ろに並びなさい」新たな道への第一歩

今季限りで現役を引退し、指導者としての道を歩み始める坂本。当面はアイスショーなどに出演しつつ、数年後には指導に専念する計画だ。「中野先生の下で教えて、中野先生が大事に育ててきた神戸クラブに自分も貢献したい」。幼い頃の夢だった「中野先生になる」こと。その第一歩は、恩師のもとから始まる。

中野コーチは、指導者となる坂本に厳しい心構えを説く。「『一番金メダルを取っても、一番後ろに並ぶんだよ』と言ってあります。コーチとしては、一番下からやってほしい」。輝かしい実績を持つ五輪メダリストであっても、指導者としては新人。その謙虚な姿勢を忘れるなという、愛情のこもった釘だった。

銀盤の上で演じきった「愛の讃歌」。21年間の競技人生を支え続けた師弟の愛の物語は、形を変えて未来へと続いていく。

[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

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