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【亀田戦中止】フィゲロア、井上尚弥のフェザー級転向を「歓迎する」 前WBA王者フィゲロアの戦績と経歴

【亀田戦中止】フィゲロア、井上尚弥のフェザー級転向を「歓迎する」 前WBA王者フィゲロアの戦績と経歴

【10月18日追記】現地10月17日(日本時間18日)に米ラスベガスで予定されていた亀田和毅とブランドン・フィゲロアのWBA世界フェザー級タイトルマッチは、試合当日に中止となった。フィゲロアが前日計量で体重超過となって王座を剥奪され、その後に体調不良を理由に棄権したためだ。中止はこの一戦のみで、興行全体の中止ではない。詳しくは亀田和毅vsフィゲロアの試合中止を伝える記事を参照してほしい。以下の本文は、中止発表前の取材・予想にもとづく当時の記録である。

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

WBA世界フェザー級王者のブランドン・フィゲロア(29)=米国=が10月14日(日本時間15日)、米ラスベガスでの公開練習で、井上尚弥(33)=大橋=がフェザー級に上げて挑んでくるなら歓迎すると語った。フィゲロアは10月17日(同18日)に亀田和毅(35)=TMK=を相手に初防衛戦を行う予定だったが、前日計量で体重超過となり王座を剥奪され、当日に体調不良を理由に棄権して試合は中止となった。プロ戦績は30戦27勝(20KO)2敗1分けで、スーパーバンタム級とフェザー級の2階級で世界王座に就いてきた。

フィゲロアは井上尚弥のフェザー級転向をどう語ったか

発言があったのは、10月17日のダブル世界タイトルマッチに向けたメディア向けの合同公開練習だった。会場はラスベガスのラディアント・ブランド・コンプレックス。フィゲロアは右構えと左構えの両方で軽めのシャドーボクシングを見せ、ミット打ちはせずに引き揚げた。

井上について問われると、フィゲロアは「井上との試合は誰もが望んでいるビッグマッチだ」と切り出した。主催するPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)が公表した英語の発言では、井上がフェザー級に上げて自分に挑戦したいのなら、フェザー級に迎え入れると述べ、「ビッグファイトのためにここにいる」と続けている。

井上の側に立った言葉もあった。

フィゲロア自身、かつてはスーパーバンタム級(55.3キロ以下)の世界王者だった。囲み取材ではその経験から、スーパーバンタム級の体重を保ち続けるのは簡単ではなく、階級を上げる気持ちは理解できるという趣旨を話した。発言の伏線になったのが、井上が10月13日に自身のXへ書き込んだ「バムをダラダラ待つ気はないからフェザー級に行く準備も始めるよ」という一文だ。

フィゲロアが井上の名前を出すのは今回が初めてではない。9月下旬のオンライン会見では「126ポンド(フェザー級)にようこそ。喜んで彼を歓迎するよ」と話し、「誰とでも戦う準備はできている。最高の相手と戦いたい」とも語っていた。WBC王者だった2025年1月には米専門誌のインタビューで、井上をノックアウトする力は持っていると口にしている。

一方で、今後の階級についても言葉を残した。自分はスーパーバンタム級でもフェザー級でも体の大きな部類に入り、いずれはスーパーフェザー級やライト級へ上げるつもりだが、今はフェザー級にとどまってベルトを守り続けたいという。

亀田和毅戦は10月17日、ラスベガスで初防衛戦の予定だった(中止)

フィゲロアの次の相手は、WBA世界フェザー級3位の亀田和毅の予定だった。試合は10月17日(日本時間18日)、米ネバダ州ラスベガスのザ・コスモポリタン・オブ・ラスベガス内にあるザ・チェルシーで行われる予定だった。PBCが手がける興行で、メインはWBC世界スーパーウエルター級王者セバスチャン・フンドラ(米国)がエルマル・ハドリベアイの挑戦を受ける一戦。フィゲロア対亀田はセミファイナルに組まれ、日本ではDAZNが日本時間18日午前9時から興行を配信する予定で、中止となったのは亀田戦のみだ。

関連記事:亀田和毅、公開練習で「メキシコ人のように闘う」 フィゲロア戦は何時から、DAZN配信の見方

公開練習でフィゲロアは亀田について、自分と同じく前に出てくるアクションファイターだと分析した。亀田が「エル・メヒカニート(メキシコの少年)」と呼ばれる理由にも触れ、メキシコの血が流れているような闘い方で真っ向勝負を挑んでくるはずだと警戒している。9月下旬のオンライン会見でも、亀田は経験豊富なファイターだとして「軽視するつもりはない」と話していた。

関連記事:亀田和毅は『アウトボクシングをしかけてくると思う』フィゲロアが展開予想 17日ラスベガス

亀田は15歳でメキシコへ渡り、2008年11月に同国でプロデビューした。2013年8月にWBO世界バンタム級王座、2018年11月にWBC世界スーパーバンタム級暫定王座を手にし、プロ戦績は47戦42勝(23KO)5敗。2025年5月にはIBF世界フェザー級王者アンジェロ・レオ(米国)に挑み、判定で敗れている。公開練習後の囲み取材では、井上について「まだ彼はフェザー級に来ていない」と答え、フィゲロア戦に集中する姿勢を崩さなかった。

関連記事:亀田和毅、フィゲロア戦へ「簡単には終われへん」 勝てば西城正三以来58年ぶり日本人2人目のWBA世界フェザー級王座

日本選手がフェザー級の世界王座に就けば、2010年11月にWBC王座決定戦を制した長谷川穂積以来16年ぶりとなる。

フィゲロアの経歴 テキサス出身、兄も元世界王者

フィゲロアは米テキサス州ウェスラコの出身で、両親はメキシコ・タマウリパス州の出身だ。兄はWBC世界ライト級王者だったオマール・フィゲロア。兄弟そろって世界王者になったボクシング一家だ。

身長175センチと、この階級では長身の部類に入る。構えを左右に切り替えるスイッチヒッターで、相手に密着して上下に連打を打ち分けるファイター型だ。愛称は「ハートブレイカー」。現在はロサンゼルスを拠点とするマニー・ロブレス・トレーナーと組んでいる。

プロデビューは2015年5月。デビューから19連勝で、2019年4月にヨンフレス・パレホ(ベネズエラ)を8回終了で棄権に追い込み、WBA世界スーパーバンタム級の暫定王座に就いた。同年中に正規王者へ昇格し、11月のフリオ・セハ(メキシコ)戦は12回判定の引き分けで王座を守っている。

最初の山場は2021年5月だった。WBC王者ルイス・ネリ(メキシコ)との統一戦で、序盤はネリにペースを握られながら、7回にダウンを奪ってKO勝ち。WBC王座を手に入れた。ネリはのちに井上と東京ドームで対戦し、6回TKOで敗れた選手でもある。

だが、同じ年の11月にWBO王者スティーブン・フルトン(米国)との統一戦で0-2の判定負けを喫し、初黒星とともにベルトを失った。フルトンはその後、2023年7月に井上に8回TKOで敗れている。フィゲロアと井上は、ネリとフルトンという2人の共通の対戦相手を持つ間柄だ。

戦績30戦27勝(20KO)2敗1分け フェザー級での浮き沈み

フェザー級に上げてからの歩みは、勝ち続けたわけではなかった。

2023年3月、元WBC王者マーク・マグサヨ(フィリピン)に3―0の判定で勝ち、WBC世界フェザー級の暫定王座に就く。2024年5月にはラスベガスでジェシー・マグダレノ(米国)を9回KOで下し、同年に正規王者へ昇格した。しかし2025年2月1日、フルトンとの再戦で判定負けし、WBC王座を失う。7月のジョエット・ゴンサレス(米国)戦を判定で制して立て直すと、2026年2月7日、英リバプールでWBA王者ニック・ボール(英国)に挑戦した。

ボール戦は接戦のまま最終12回に入り、フィゲロアが開始直後に左でダウンを奪って、32秒でTKO勝ち。敵地でWBAのベルトを奪い、世界王者に返り咲いた。亀田戦はそれ以来8カ月ぶりの試合で、WBA王者としての初防衛戦となるはずだった。

主な試合の結果は次のとおり。

年月対戦相手結果王座
2019年4月ヨンフレス・パレホフィゲロアの8回終了TKO(棄権)勝ちWBA世界スーパーバンタム級暫定王座
2019年11月フリオ・セハ12回判定の引き分けWBA同級王座を防衛
2021年5月ルイス・ネリフィゲロアの7回KO勝ちWBC世界スーパーバンタム級王座
2021年11月スティーブン・フルトンフルトンの判定勝ち(フィゲロアは初黒星)WBC同級王座を失う
2023年3月マーク・マグサヨフィゲロアの判定勝ちWBC世界フェザー級暫定王座
2024年5月ジェシー・マグダレノフィゲロアの9回KO勝ちWBC同級暫定王座を防衛
2025年2月スティーブン・フルトンフルトンの判定勝ちWBC同級王座を失う
2025年7月ジョエット・ゴンサレスフィゲロアの判定勝ちWBA世界フェザー級挑戦者決定戦
2026年2月ニック・ボールフィゲロアの12回TKO勝ちWBA世界フェザー級王座

井上尚弥陣営の動き 大橋会長は「4月とか5月はない」

井上は世界スーパーバンタム級4団体統一王者で、プロ戦績は33戦33勝(27KO)。次戦はWBA世界バンタム級スーパー王者ジェシー・”バム”・ロドリゲス(米国)との対戦を軸に、2027年2月か3月を目指してきた。ところがバム側はWBO世界バンタム級王者クリスチャン・メディナ(メキシコ)との統一戦を先に計画し、その日程も正式発表に至っていない。

所属する大橋ジムの大橋秀行会長は8月の時点で、バムとの対戦にこだわらず、決まらなければフェザー級に上げるという考えを示していた。フェザー級に上げた場合は、4団体の世界王者全員が相手の候補になるという。井上の書き込みの翌日、10月14日には東京・後楽園ホールで取材に応じ、バム陣営から出ていた来年4、5月の対戦案を「(来年の)4月とか5月はない」と重ねて退けた。

関連記事:井上尚弥の次戦、大橋会長「(来年の)4月とか5月はない」 来年2月か3月を示唆、ハーン会長の反論とフェザー級の有力候補

井上本人も米専門誌のインタビューで、フェザー級で興味をひかれる相手として、WBO王者ラファエル・エスピノサ(メキシコ)とフィゲロアの名を挙げていた。いずれも独特のリズムと角度を持つ選手だという。

もっとも、フィゲロアは亀田戦の前日計量で体重超過となり、WBA王座を剥奪された。亀田戦も体調不良を理由に棄権し、試合は中止となっている。井上の次戦の相手も、階級も、まだ決まっていない。フィゲロアは公開練習の時点で、亀田戦の後の統一戦について、試合が終わってから話し合い、次の相手を見極めると話していた。だが亀田戦は中止となり、WBA同級王座は空位のままだ。亀田は、次の王座決定戦での優先権を約束されたと明かしている。

[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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