亀田和毅は『アウトボクシングをしかけてくると思う』フィゲロアが展開予想 17日ラスベガス

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
プロボクシングWBA世界フェザー級王者ブランドン・フィゲロア(29)=米国=が、10月17日(日本時間18日)に米ラスベガスで迎える初防衛戦を前に、挑戦者の亀田和毅(35)=TMK=の戦い方を予想した。米専門誌ザ・リングの電子版が現地10月12日に掲載したインタビューで「亀田は私を相手にアウトボクシングをしかけてくると思う」と語り、「必要なら12回追いかけ回す覚悟はできている」と続けている。和毅が勝てば、自身初の世界3階級制覇となる。
「接近戦は避けたいはず」王者が読んだ和毅のプラン
インタビューの中心は、亀田戦の先にある他団体王者との統一戦だった。そのうえでフィゲロアは、目の前の挑戦者について具体的に言及している。
「亀田は私を相手にアウトボクシングをしかけてくると思う。彼はどちらかと言えばボクシング技術で勝負するタイプだ。スピードもあるし、私のような選手と戦うなら、接近戦は避けたいはずだ。私はインファイトが得意だからね」
英語の原文は「I think they’re gonna try to box me」。主語の「they」は亀田陣営を指し、足と距離で勝負してくる、という読みになる。アウトボクシングは、相手と距離を取り、出入りやジャブで試合を組み立てる戦い方のこと。インファイトを得意とする王者から見れば、挑戦者が打ち合いを避けるのは当然の選択というわけだ。
王者の答えは、追いかけることだった。「必要なら12回追いかけ回す覚悟はできている。準備は万全だ。私もチームも、どんな展開になっても対応できるように準備を進めている」。逃げる相手を最終12回まで追い続ける。そう宣言した。
フィゲロアは、サウスポーとオーソドックスの構えを頻繁に入れ替えながら、休まず手を出し続けるスタイルで知られる。愛称は「ハートブレイカー」。身長171センチの和毅より4センチ高く、リーチは14センチ長い。前に出て圧力をかけ続ける王者に対し、挑戦者がどこまで距離を保てるか。フィゲロアの予想は、そのまま試合の争点を言い当てている。
試合は日本時間18日朝、会場はラスベガスのザ・チェルシー
試合は現地10月17日(土)、米ネバダ州ラスベガスのホテル「ザ・コスモポリタン・オブ・ラスベガス」内の会場「ザ・チェルシー」で行われる。主催は米国の興行団体PBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)。8月27日(現地時間)に発表されたカードで、12回戦の王座戦は興行のセミファイナルに組まれた。
メインはWBC世界スーパーウエルター級王者セバスチャン・フンドラ(米国)が、無敗の指名挑戦者エルマル・ハドリベイを迎える防衛戦。スーパーミドル級10回戦では、元WBA世界スーパーミドル級王者ホセ・アルマンド・レセンディス(メキシコ)が、オーストラリアのコーエン・マズーディエと戦う。当初出場予定だった2階級制覇王者ジャーマル・チャーロ(米国)は、練習中のけがで10月上旬に欠場が決まった。
中継の開始は米東部時間17日午後8時、ラスベガスの現地時間では同日午後5時だ。日本時間に直すと10月18日(日)午前9時になる。王座戦はメインの前に行われるセミファイナルで、試合そのものの開始時刻は10月14日時点で発表されていない。
米国ではTNT、truTV、DAZNの3つが中継を受け持つ。日本でもDAZNで放送される予定と報じられている。
30戦で2敗、王座を取り戻したばかりの王者
フィゲロアは米テキサス州ウェスラコ出身。兄のオマール・フィゲロアは元WBC世界ライト級王者で、ボクシング一家に育った。2015年5月9日、テキサス州イダルゴでプロデビューし、4回戦で判定勝ちした。この日の同じ興行では、WBO世界バンタム級王座を返上してWBA王者ジェイミー・マクドネル(英国)に挑んだ和毅が、判定でプロ初黒星を喫している。プロのリングに初めて立った王者と、プロ初の敗戦を味わった挑戦者が、11年後に同じリングで向き合う。
スーパーバンタム級ではWBAとWBCの世界王座に就き、2021年5月にはルイス・ネリ(メキシコ)を7回KOで下して、ネリにプロ初黒星をつけた。2敗はどちらもスティーブン・フルトン(米国)に喫したもの。フルトンとの再戦に敗れた後、父オマール・シニアのもとを離れ、マニー・ロブレス・トレーナーと組んだ。ロブレスは、アンディ・ルイスがアンソニー・ジョシュアを破った番狂わせの陰の立役者として知られる。
コンビ2戦目の2026年2月7日、英リバプールで無敗の王者ニック・ボール(英国)を12回TKOで破り、WBAフェザー級王座を手にした。亀田戦はそれから約8か月ぶりの初防衛戦になる。今回はロサンゼルスでキャンプを張った。9月24日(現地時間)のオンライン会見では、勝利を確実なものにするためにLAへ来たのだと話している。
戦績はフィゲロアが30戦27勝(20KO)2敗1分け、和毅が47戦42勝(23KO)5敗(いずれも10月14日時点)。KO率で見れば、王者が大きく上回る。
和毅は「根比べ」と判定決着を描く
挑戦者の側も、打ち合いだけの試合を考えてはいない。
和毅は1991年7月12日、大阪市西成区生まれ。15歳でメキシコへ渡り、2008年にメキシコでプロデビューした。2013年8月にWBO世界バンタム級王座を奪い、2018年11月にはWBC世界スーパーバンタム級の暫定王座を手にして2階級制覇を果たしている。直近の試合は2025年5月24日。インテックス大阪でIBF世界フェザー級王者アンジェロ・レオ(米国)に挑み、0-2の判定で敗れた。リングに上がるのは約1年5か月ぶりになる。
7月30日に関西空港からメキシコへ出発すると、日本には戻らずに調整を続けてきた。1階級上のスーパーフェザー級で2団体の王座を持つエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)とスパーリングを重ね、出発の際には「メキシコではスタミナを重点的に。今回はスタミナが必要」と話していた。12回を戦い抜く準備に、時間を割いてきたのがわかる。
10月8日、最終調整先のメキシコ市でスポーツ報知のオンライン取材に応じた和毅は、王者が一度も倒れたことがない点を挙げた。「12Rちゃんと考えて戦わないといけないでしょうね。ま、根比べ、根性と根性の勝負になるかもしれません」。1つの作戦が通じなければ次を試すと話し、状況を見ながら試合を進める考えを示している。
関連記事:亀田和毅、フィゲロア戦へ「簡単には終われへん」 勝てば西城正三以来58年ぶり日本人2人目のWBA世界フェザー級王座
9月24日のオンライン会見では、2025年5月のレオ戦について、非常に競った試合だったと認めたうえで、気持ちを切り替えて10月17日に集中していると語った。目の前にあるのは再び世界王者になる大きなチャンスだ、とも話している。試合の地ラスベガスについては、8月の正式発表の際に出したコメントで、以前KO勝ちした場所で良いイメージがあると述べていた。
下馬評は王者、それでも「足」が鍵になる
予想は王者有利に傾く。次兄で元2階級王者の亀田大毅氏は8月20日に自身のYouTubeで、和毅のスピードとスタミナを認めながらも「パワー負けします」と述べ、後半のTKO負けを予想した。家族の目線ではなく、冷静に見た結果だという。
関連記事:亀田和毅vsフィゲロア、和気慎吾は正直に「フィゲロアが勝つ」と予想 勝者に井上尚弥戦の可能性と赤井祥彦会長
だが、王者の予想と挑戦者の言葉を並べると、試合の構図はかなりはっきり見えてくる。フィゲロアは前へ出て接近戦に持ち込もうとする。和毅は足を使って距離を取り、12回の判定まで粘る。勝負を分けるのは、王者の絶え間ない圧力を和毅がどこまでいなせるかだ。
勝てば、日本人のWBAフェザー級王座奪取は1968年の西城正三以来、58年ぶり2人目になる。団体を問わずフェザー級の世界王座で見ても、2010年11月にWBC王座を奪った長谷川穂積以来、約16年ぶり。世界3階級制覇は日本男子で9人目となる。
フィゲロアは勝った先に、WBO王者ラファエル・エスピノサ(メキシコ)との統一戦を見る。インタビューでは「エスピノサはこの階級のナンバーワンだ」と話し、年間最高試合の候補になる一戦だと語った。井上尚弥がフェザー級に上がれば迎え撃つ考えも、以前から示している。
追いかける王者と、距離を取る挑戦者。答えは、日本時間10月18日の朝に出る。
[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]










































































コメントはこちら