桂憲一郎さん、59歳で死去 『マクロス7』のキャラクターデザインを担ったアニメーター、妻がXで「病気療養中のところ」と報告

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
アニメーターの桂憲一郎さんが9月30日に亡くなった。59歳だった。妻の宮地聡子さんが10月5日、Xで書面を公開して報告し、葬儀は近親者のみで済ませたと明かした。1994年放送の『マクロス7』でアニメーションキャラクターデザインを担当し、『ナイツ&マジック』などでも作品の顔となる絵を描き続けた人だった。
↓ 詳細が気になる方は、このまま下へ ↓
妻の書面「病気療養中のところ、息を引き取りました」
宮地さんは10月5日の昼、自身のXに「【訃報】アニメーター・桂憲一郎 逝去のご報告」と題した投稿を出した。投稿時刻は日本時間12時24分だった。本文は短く、「添付画像(書面)をご一読いただけますと幸いです」と書き添え、2枚の画像に思いをまとめている。
黒地に白い文字で書かれた1枚目の書面は、「ご報告がございます」に続けて「アニメーター・桂憲一郎が、9月30日に病気療養中のところ、息を引き取りました」と伝えている。続けて、夫の関わった作品やデザインを愛したファン、そして仕事を共にした制作会社やスタッフ、関係者に向けて「深く深く御礼申し上げます」とつづった。病名や闘病の期間には触れていない。
葬儀は「近親者のみにて執り行いました」とし、事後の報告になったことをわびた。1枚目は「これまでたくさんの応援と温かい言葉をいただき、本当にありがとうございました」と結ばれている。混乱やトラブルを防ぐため、投稿の返信欄は制限している。
2枚目は、作品を見てきた人たちへの呼びかけだった。宮地さんは、桂さんの絵や作画、デザインを好きだと言ってくれた人に向け、「このキャラが好き」「この版権が好き」「作画が好き」と心の中でつぶやいてもらえれば「きっと本人にも届き、喜ぶと思います」と記した。時間があれば、また作品を見てほしいとも願っている。
美樹本晴彦の原案を「動く絵」にした『マクロス7』
桂さんは1966年12月4日生まれ、福島県の出身と報じられている。若手時代には『北斗の拳』『らんま1/2』で動画や原画を担当したという。
名前が広く知られるきっかけになったのが『マクロス7』だ。1994年10月に放送が始まったこの作品は、銀河の中心を目指す移民船団が舞台。敵の襲撃に対し、ロックバンドのボーカル、熱気バサラが赤い戦闘機で出撃しながら歌い続ける。戦いを歌で止めようとする異色の筋立てだ。
制作は葦プロダクション、監督はアミノテツロー。毎日放送の枠で放送され、メカデザインには宮武一貴と河森正治が名を連ねた。初代から作品を支えてきた顔ぶれが並ぶなかで、人物の絵を預かったのが当時20代後半の桂さんだった。
キャラクターの原案は、初代『超時空要塞マクロス』から続けて美樹本晴彦が手がけた。桂さんの肩書は「アニメーションキャラクターデザイン」。原案の絵をもとに、テレビアニメの作画で使えるよう描き起こし直す役目になる。作画監督も務め、1995年公開の劇場版『マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!』でもアニメーションキャラクターデザインを担当した。
ToHeart2からナイツ&マジックまで
活躍の場はテレビアニメの外にも広がった。パソコンゲームの『VIPER』シリーズにも参加し、ゲームの世界でも絵を描いた。
2000年代に入ると、ゲーム会社アクアプラスの恋愛ゲームを原作とするアニメに深く関わった。代表的なのが『ToHeart2』のOVAシリーズで、柳沢まさひで、加藤やすひさとともにキャラクターデザインを担当している。2005年10月から放送されたテレビアニメ版とは別の映像化で、『ToHeart2ad』『ToHeart2 adnext』などへと続いた。
2010年代以降も第一線にいた。2017年7月から9月まで放送された『ナイツ&マジック』(制作・エイトビット)では、キャラクターデザインと総作画監督を兼ねた。ロボット好きの青年が異世界に生まれ変わり、巨大な人型兵器づくりに打ち込む物語で、人物の絵柄を決めたのが桂さんだ。同じエイトビットが手がける『転生したらスライムだった件』シリーズにも、総作画監督などで参加している。総作画監督は、各話の作画監督が直した絵をさらに最終確認し、作品全体の顔の統一を守る立場だ。
2023年から2024年に放送された『SYNDUALITY Noir』では、アニメーションキャラクターデザインと総作画監督を担当した。同作はゲーム『SYNDUALITY Echo of Ada』と世界観を共有する企画で、これが近年の主要な仕事となった。
製作委員会やアクアプラスが相次いで追悼
訃報を受け、桂さんが関わった作品の公式アカウントも動いた。
10月5日13時、『SYNDUALITY Noir』の公式Xが「桂憲一郎さんのご逝去について」と題した文面を出した。製作委員会の名義で「多大なるご尽力を賜りました」と感謝を述べ、「故人のご功績に敬意を表し スタッフ 関係者一同 心よりお悔やみ申し上げます」と悼んでいる。
その約2分後には、『ナイツ&マジック』のTVアニメ公式Xも続いた。キャラクターデザインと総作画監督を務めた桂さんへ「これまで多大なるご尽力を賜りました」と記し、「心からご冥福をお祈りいたします」と結んだ。
同じ10月5日の16時50分には、アクアプラスも公式Xで「桂憲一郎様のご逝去について」と題したコメントを出した。「長年にわたり、さまざまな形で弊社作品に携わっていただきました」と振り返り、アニメ『ToHeart2』『こみっくパーティー』『うたわれるもの』、ゲーム『WHITE ALBUM2』などで「多大なるご尽力を賜りました」と感謝を示している。
宮地さんの投稿には、10月6日朝の時点で1万1000件を超える「いいね」がついた。返信欄は制限されているなかで、それだけの数の反応が集まった。
関連記事:柳瀬雄之監督死去、59歳 心筋梗塞 「りぼん」持ち込みから30年──「北斗の拳」「NARUTO」「聖闘士星矢」を支えたアニメ人生とその経歴、妻が明かした最期「本人が1番びっくりしている」
「また作品を見ていただけたら」
キャラクターデザインという仕事は、原作者や原案者の名前の陰に隠れやすい。バサラやミレーヌの顔を毎週テレビで見ていた視聴者の多くは、その線を誰が整えていたのかを意識しなかったかもしれない。
宮地さんの書面は、そこを静かに言葉にしている。『マクロス7』から『SYNDUALITY Noir』まで約30年、手がけた作品は、これからも見返すことができる。
「お時間がありましたら、また作品を見ていただけたら何よりも嬉しいです」。書面はそう呼びかけ、「最後まで読んでいただき、ありがとうございました」と結ばれている。
[文/構成 by エンタメライター 和泉ユウスケ]








































































コメントはこちら