ニデック新社長・戒田理夫氏の経歴とは?70歳の生え抜きCTO、トヨタ出身・南井正之氏と“二人三脚”で再建へ

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ニデックは29日、岸田光哉社長の辞任と戒田理夫専務執行役員の社長就任を発表した。戒田氏は70歳の生え抜きで、最高技術責任者として技術部門を率いてきた。代表取締役にはトヨタ出身の南井正之氏が就き、不正からの再建を担う。
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岸田社長が辞任、後任は技術トップの戒田氏
モーター大手のニデック(京都市)は29日、岸田光哉社長(66)が同日付で辞任し、後任に戒田理夫(70)=ニデック専務執行役員=を充てる人事を発表した。代表取締役には南井正之(57)=同常務執行役員=が就く。
会計不正に続き、製品の品質をめぐる不正も相次いで明るみに出たニデック。2024年4月に社長に就き、再建の先頭に立ってきた岸田氏は、約2年半で経営トップの座を降りた。
読売新聞によると、不正会計に伴う減損損失は2500億円規模になる可能性があるとされていたが、採算が悪化した電気自動車(EV)の駆動装置事業を中心に、損失はさらに膨らむ見通しになった。減損とは、事業の収益力が落ちた資産の帳簿上の価値を切り下げ、その分を損失に計上する会計処理を指す。一部の社外取締役からは、岸田氏に退任を求める意見が出ていたという。
日本電産リード社長からCTOへ 戒田氏の歩み
戒田氏はニデックの生え抜きだ。経歴で目を引くのは、グループ会社のトップを長く務めてきた点にある。
2016年9月、日本電産リード(現ニデックアドバンステクノロジー)が出した人事の開示文書には、代表者として「代表取締役社長 戒田理夫」の名前が記されている。同社は1991年設立で、電子部品や半導体パッケージの基板などを検査する装置を手がける。戒田氏は2018年4月に会長兼最高経営責任者となり、今も会長執行役員の肩書を持つ。
| 時期 | 主な経歴・出来事 |
|---|---|
| 2016年9月時点 | 日本電産リード代表取締役社長 |
| 2018年4月 | 日本電産リード会長兼最高経営責任者 |
| 2023年4月 | 日本電産リードがニデックアドバンステクノロジーに社名変更 |
| 2025年3月時点 | ニデック専務執行役員・最高技術責任者(CTO) |
| 2026年9月29日 | ニデック社長に就任 |
本体では専務執行役員として、最高技術責任者(CTO)を務めてきた。CTOは会社全体の技術開発を束ねる役職で、戒田氏は製品技術研究所と生産技術研究所のほか、知的財産部門なども担当した。
日本経済新聞は、戒田氏が東京証券取引所に出した改善計画・状況報告書の策定を主導したと伝えている。不正の原因を分析し、再発防止策をまとめた文書で、再建策の中身を最もよく知る1人でもある。
ダイヤモンド・オンラインは、創業者の永守重信氏の側近の多くが不正会計などを受けて退任するなか、戒田氏は「残された1人」だと報じた。公益財団法人永守財団の評議員にも名を連ねる。
トヨタ出身の南井氏と組む異例の体制
ただ、戒田氏は本体の取締役ではない。
6月18日の定時株主総会で選ばれた取締役の名簿に戒田氏の名前はなく、執行役員として経営に加わってきた。会社法では代表取締役を取締役の中から選ぶ決まりなので、戒田氏が代表権を持つには、株主総会で取締役に選ばれる必要がある。
代表取締役に就いた南井氏は1991年にトヨタ自動車に入社し、2022年9月に同社の人事部長となった。2025年にニデックへ移ると、最高コンプライアンス責任者と最高人事責任者を兼ね、6月の総会で取締役に選ばれた。法令順守と人事の責任者として、社内の仕組みづくりを受け持ってきた。
研究所を率いた技術者と、トヨタで人事部門を担った管理のプロ。ダイヤモンド・オンラインは発表前の段階で、南井氏を代表取締役に昇格させ、戒田氏を代表権のない社長に据える案を報じ、「通常の企業のトップ交代の流れを大きく逸脱した」と書いていた。
体制が動いた背景には、1年余りにわたる不正の連鎖があった。
2025年9月に不正会計を調べる第三者委員会が設けられ、10月には東証がニデックを「特別注意銘柄」に指定した。内部管理体制に問題があり、改善の必要性が高い企業に付けられる指定だ。永守氏は12月19日に代表取締役を辞任し、2026年2月には名誉会長も退いた。
2026年3月に公表された第三者委の報告書は、永守氏が会計不正の一部を容認していたと認定した。一方で、永守氏や岸田氏が不正を指示、主導した事実は見つからなかったとしている。
5月には、顧客の確認を受けずに部材や設計を変えるなどの品質不正の疑いが1000件を超えると公表した。9月4日には外部の調査委員会が844件を認定し、同日の会見で岸田氏は「この会社で起きていることのあらゆる説明責任を果たすべきは私という認識だ」と語っていた。この発言から1カ月もたたないうちに、岸田氏は辞任することになった。
報道先行で株価はストップ安
市場が大きく揺れたのは、発表の前日だった。
9月28日、ダイヤモンド・オンラインが取締役会による岸田氏の解任と、1兆円規模の減損を計上する方針を報じた。ニデック株は売りが殺到し、前営業日比500円安の2340円まで下げてストップ安になる。制限値幅いっぱいの下落だ。
ニデックは同日、「役員変更及び大規模な減損処理について検討をしているのは事実」とコメントしたが、現時点で決定した事実はないと説明した。東洋経済の取材にも、取締役会で解任を決議した事実はないと一部を否定している。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーはブルームバーグの取材に対し、減損の規模も社長交代も想定外だったと話した。そのうえで、経営に刷新感が出ればプラスに働くとの見方を示し、株価には一時的に下押し圧力がかかると指摘した。SNSでも、報道を引用して新社長の人物像を話題にする投稿が相次いだ。
30日に決算訂正、10月末には東証審査
新体制は発足直後から、いくつもの期限に向き合う。
日本経済新聞によると、ニデックは30日に2026年3月期の有価証券報告書を出し、過去5年分の決算数値の訂正も発表する予定だ。減損の最終的な金額は、ここで明らかになる。
より大きな山場は10月末に来る。ニデックは特別注意銘柄の指定解除に向け、内部管理体制確認書を提出する方針を示している。東証の審査で改善が認められなければ、上場廃止のおそれもある。
会社が公表している再生計画は、トップダウンから双方向の対話へ、短期的な数字の追求から数字の先にある未来へと、社風の転換を掲げる。技術の中枢を歩んできた生え抜きと、社外から来た管理のプロが、その旗を引き継ぐ。
[文/構成 by さとう つづり]








































































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