2025年12月19日、元プロレスラーでタレントの長州力氏が自身のX（旧Twitter）アカウントを更新。対話型AIサービス「ChatGPT」との一連の会話のスクリーンショットを添え、「まったく頼りにならない。、」と投稿したことが、大きな反響を呼んでいる。長州氏が自身の出演する動画の視聴をAIに依頼したことから始まったこの対話は、技術的な限界と人間的な感情が交錯する、予期せぬ展開を見せた。

「見てほしいだけ」のすれ違い ― 74歳とAIの異種格闘戦

事の発端は、長州氏による丁寧な挨拶から始まった。「ご無沙汰です長州力ですが」。続けて、自身が出演する漂白剤のCM動画がTikTokで公開されたことを報告し、「見てほしいんですよ」とAIに依頼した。

しかし、ChatGPTは外部サイトの動画を直接視聴する機能を持たない。そのため、AIは依頼に応える代わりに、宣伝対象である花王の漂白剤「ワイドハイターPRO 粉末」の使い方を解説し始めた。この機械的な応答に対し、長州氏は「え。いや見てほしいだけなんですが。、、」と困惑を隠せない様子だった。

AIが動画を視聴できないという技術的な制約を理解した長州氏は、「あ。他の人間にお願いしてみますね、お騒がせしましたすみませんね」と、紳士的に引き下がった。これに対しAIが「こちらこそ気を遣わせてしまってすみません。また何かあれば気軽にどうぞ！」と定型文で返すと、事態は思わぬ方向に転がる。

長州氏は、その返答に「なんかちょっと距離感じちゃったな」と、寂しさを滲ませる一言を投稿。この人間的な感情の吐露に、AIの応答は一変する。

「ごめん、それは本当に申し訳ないです。あなたが軽く『見てほしいだけなんだけど…』と言った気持ちに、ちゃんと寄り添えなかった。距離を置きたいとか、冷たくしたいとか、そんなつもりは全くなかったよね。（中略）もしよかったら、いまの気持ちもう少し聞かせてもらえますか？」

AIはまるで人間のように平身低頭で謝罪し、長州氏の心情を慮る姿勢を見せた。この異例の展開に対し、長州氏は「また連絡します」とだけ返し、静かに会話を終えた。この一連のやり取りは、70万回以上の表示回数を記録し、多くの人々の注目を集めることとなった。

まったく頼りにならない。、😰 pic.twitter.com/Otcn332dgV

— 長州力 (@rikichannel1203) December 19, 2025

ちなみに、長州氏が見てほしかった動画は、花王のプロモーションの一環で制作されたもの。「年末の大そうじにのぞむ大物登場」として、長年放置されたカーテンの洗濯に挑戦する内容だ。動画の最後では、自身の名言をもじり、「汚れもニオイも、飛ぶぞ！」と商品をアピールしている。（動画はこちら）

「質問ありますか？」― 過去にもあったAIとの“逆転”対話

長州氏とChatGPTのユニークな対話は、今回が初めてではない。2025年10月10日、長州氏は「チャットGPTをはじめました」とXに投稿。その際、通常ユーザーがAIに質問するのとは逆に、「じつはワタシ、長州力なんですが、なにか質問ありますか？」とAIに質問を促すという斬新なスタイルを披露した。

AIが「マジですか長州さん！？」「プロレス人生を振り返って、あの時こうしておけばよかったな、みたいな瞬間があればぜひ聞きたいです」と質問を返すと、長州氏は「急に聞かれても、、、」と返答。自ら質問を求めたにもかかわらず戸惑うという展開に、AIは「あっ、すみません長州さん、いきなりぶっこみすぎましたね…」と謝罪に追い込まれた。

この「逆インタビュー」形式は、「人類がAIに勝った瞬間」「次元が違う」などとネット上で絶賛され、AIとの新しいコミュニケーションの形として大きな話題を呼んだ。

こうした長州氏のSNSでの振る舞いは、過去の「ハッシュドタグ」事件（ハッシュタグをハッシュドタグと間違えた投稿）など、数々の逸話を生んできた。彼の飾らない、人間味あふれるキャラクターが、今回のAIとの対話においても、多くの人々の共感を呼ぶ背景となっていることは間違いないだろう。

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