梅澤幹太、アジア大会の自転車男子オムニアムで金メダル 9月30日の男子4000メートル団体追い抜き銀に続く表彰台、鹿屋体大22歳の経歴

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
愛知・名古屋アジア大会の自転車トラック男子オムニアムが10月1日、静岡県の伊豆ベロドロームであり、鹿屋体育大4年の梅澤幹太(22)が金メダルに輝いた。4種目のうち前半3種目で2位、2位、1位と上位を固め、最終種目のポイントレースで2位に27点差をつけて逃げ切った。前日9月30日の男子4000メートル団体追い抜き(チームパシュート)の銀に続き、2日連続で表彰台に上がった。
3種目で首位に立ち、最後のポイントレースで27点差
オムニアムは1日のうちにスクラッチ、テンポレース、エリミネーション、ポイントレースの4種目を走り、その合計得点で順位を決める。瞬発力から長い距離を走り切る持久力まで問われ、駆け引きの読みも欠かせない総合力の種目だ。
梅澤はこの日、14人が出走したレースで序盤から上位に食い込んだ。スクラッチで2位、テンポレースでも2位に入り、前半2種目を終えた段階でトップに立つ。続くエリミネーション(一定周回ごとに最後尾の選手が脱落していく種目)では1位をつかみ、3種目を終えて首位を守った。
ただ、2位のチュ・ツンワイ(香港)との差はわずか2点。勝負は最終種目のポイントレースに持ち越された。
ポイントレースは一定周回ごとのスプリントで得点を重ねるうえ、集団を1周追い抜く「ラップ」を決めると大きな加点がある。上位の選手同士が互いをマークし合うなか、梅澤は序盤こそ得点を取れなかった。それでも後半にラップを決めてチュを引き離し、最後は差を27点まで広げてフィニッシュする。銀メダルはチュの手に渡った。日本勢はこの日、女子マディソンの内野艶和と垣田真穂、男子スプリントの太田海也も優勝し、トラック種目3日目だけで金メダルは3つになる。
関連記事:中井飛馬、アジア大会BMXレース2大会連続金 木内彪凱と日本勢ワンツー、女子は畠山紗英が金
前日は団体追い抜きで中国に1秒384差の銀
金メダルの前日、梅澤はもう一つの表彰台に立っていた。
9月30日の男子4000メートル団体追い抜き決勝。日本は松田祥位、窪木一茂、梅澤、兒島直樹の4人で中国と対戦した。序盤はほぼ同じペースで周回したものの、中盤から少しずつ差が開く。終盤に両チームとも1人が離れて3人になると差は縮まったが、1秒以上の開きは埋まらなかった。中国は3分47秒621のアジア新記録で優勝し、日本は3分49秒005で2位。差は1秒384だった。
| 順位 | 国・地域 | 記録 |
|---|---|---|
| 1位(金) | 中国 | 3分47秒621(アジア新記録) |
| 2位(銀) | 日本 | 3分49秒005 |
| 3位(銅) | 韓国 | 3分55秒933 |
| 4位 | カザフスタン | 3分58秒718 |
日本は9月29日の予選で、アジア大会新記録となる3分52秒279の全体トップで通過していた。1回戦は松田に代えて河野翔輝が入り、韓国を追い抜いて決勝へ進んでいる。初めてのアジア大会で3走を任された梅澤は、決勝後に「決勝ではうまくいかないとこがありましたが強い先輩方に引っ張ってもらって走り切りました」と話し、レベルアップを誓った。
翌日の個人種目で、その言葉どおりの走りを見せたことになる。
愛媛・松山工高から鹿屋体大へ、春にはアジア王者
梅澤は愛媛県出身。松山工業高校時代の2022年には、栃木県で開かれた国民体育大会の自転車少年男子ポイントレースに愛媛代表として出場し、予選の組を1位で通過し、決勝で3位に入った。高校卒業後は自転車競技の強豪、鹿児島県鹿屋市の鹿屋体育大に進んだ。現在はスポーツ総合課程の4年生で、自転車競技部に所属する。大学に在籍しながら、2025年からはブリヂストンサイクルのチームにも加わっている。
大学での成長は数字に表れている。2026年3月28日、フィリピンのタガイタイで開かれたトラックアジア選手権の男子エリートポイントレースで、初出場ながら優勝。序盤の3回のスプリントを続けて1位で通過し、ラップを重ねて合計124点、2位に52点差をつけた。同じ大会の男子団体追い抜きでも、鹿屋体大の卒業生で東京・パリ五輪代表の橋本英也らと日本代表として走り、銀メダルを手にしている。
4月8日に学長を表敬訪問した際、自転車競技部の山口大貴監督は「梅澤君は、高校時代から非常に将来性を感じていた選手」と評した。2年次からは監督の研究室で学び、自らの競技を研究対象にしながら練習を積んできたという。金久博昭学長も「残りの1年ですべてを吸収し」と、在学中のさらなる伸びに期待を寄せた。
鹿屋体大の先輩にあたる橋本は、2014年の仁川大会と2018年のジャカルタ・パレンバン大会でアジア大会の男子オムニアムを連覇した選手だ。同じ種目の金メダルが、後輩の手にも渡った。前回2022年の杭州大会(2023年開催)は、団体追い抜きで梅澤と組む窪木一茂が制しており、日本勢の男子オムニアム金は4大会連続になる。
大会前の会見で語っていた、逆転に頼らない勝ち方
なぜ梅澤は、ここまで落ち着いたレース運びができたのか。
答えの一端は、大会前の言葉にある。9月8日の日本代表記者会見で、梅澤はオムニアムについて「僕は最後のポイントレースでポイントを多く取って逆転するような走りを今までしてきましたが、それが出来なくても優勝できるようにしたいと思っています」と語っていた。全日本大学対抗選手権(インカレ)のオムニアムでは2位に終わっており、「逆に気合いが入った」とも明かしている。
実際の本番では、前半3種目で首位に立ち、ポイントレースを追う立場ではなく守る立場で迎えた。それでも最後は自らラップを奪いにいき、差を広げてみせた。
レース後の取材では「最後のポイントレースは上位の選手同士でマークし合うことは予想していたので、序盤はしっかり押さえつつ後半に動こうと考えていました」と狙いを説明し、「自分の得意な展開に持ち込んで勝つことが出来て本当に良かったです」と喜んだ。
大会前の会見では、団体追い抜きで同じチームを組む兒島直樹も「若手の梅澤幹太君が入ってきてくれたので僕たちのチームの中で起爆剤になってくれると思っている」と期待を口にしていた。
次はロス五輪へ、団体追い抜きの底上げを最優先に
鹿児島県勢の金メダルは、競泳男子200メートル背泳ぎの西小野皓大(23)=新東工業愛知、鹿児島情報高出身=に続いて今大会2人目となった。
ただ、本人の視線はすでに先にある。オムニアムの金について梅澤は「金メダルを取れたことはすごく嬉しいことですが、五輪に向けてチームパーシュートの強化が一番だと思っています」と語り、チーム全体の底上げにつなげたいと続けた。
大会前の会見でも、アジア大会の後に控える世界選手権から2028年ロサンゼルス五輪の出場枠争いが始まると話し、「ここで金メダルを穫ることで勢いづけたい」と位置づけていた。団体追い抜きでは中国にアジア新記録で上を行かれ、1秒384の差が残る。
大学4年の秋に手にしたアジアの頂点。22歳のトラックレーサーは、ここから五輪へ向けた勝負の時期に入る。
[文/構成 by スポーツライター 南條楓]








































































コメントはこちら