坂本花織は何がすごいのか「世界ランキング1位・世界選手権3連覇」の実力とは..【ミラノ冬季オリンピック2026】

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フィギュアスケート女子シングルの坂本花織(25)<シスメックス>は、世界選手権3連覇、2022年北京五輪銅メダルなどの実績を持つ日本のエース。国際スケート連盟(ISU)の世界ランキング1位に君臨する。強さの根幹は、スピードと飛距離を両立したダイナミックなジャンプ。2025-26シーズン限りでの引退を表明し、集大成となるミラノ・コルティナ五輪で、団体戦では銀メダル獲得に貢献。女子シングル個人戦(日本時間18日深夜ショートプログラム開始)では悲願の金メダルを目指す。
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世界を制した女王、集大成のミラノ五輪へ
日本のフィギュアスケート界を牽引する坂本花織が、競技人生の集大成となる舞台に挑む。2025-26シーズン限りでの現役引退を表明しており、3度目の出場となるミラノ・コルティナ冬季五輪が最後の戦いだ。2026年2月17日時点で25歳。神戸市出身で、シスメックスに所属する。
彼女の実績は、近年の女子フィギュア界で突出している。2022年北京五輪で個人戦銅メダル、団体戦で日本初のメダルとなる銀メダルを獲得。その後も進化を続け、2022年、2023年、2024年と世界選手権を3連覇した。これは女子シングルでは1968年のペギー・フレミング(米国)以来、56年ぶりの快挙。ISUが発表する世界ランキングでは、2026年2月時点で堂々の1位に立つ。
今大会の団体戦では、ショートプログラム(SP)で今季世界最高の78.88点を記録し1位、フリースケーティング(FS)でも1位となり、日本の2大会連続となる銀メダル獲得に大きく貢献した。個人戦での金メダル獲得へ、視界は良好だ。
世界選手権3連覇とキャリアグランドスラム
坂本のキャリアが新たな高みに達したのは、北京五輪後のシーズンだった。2022-23シーズンは、海外開催のグランプリ(GP)シリーズで初優勝(スケートアメリカ)を飾り、世界ランキング1位に浮上。さいたま市で開催された世界選手権では、日本選手として男女通じて史上初となる連覇を成し遂げた。
圧巻は2023-24シーズン。出場した国際大会で全勝を記録する。GPシリーズのスケートカナダ、エスポーGPを連勝。そして、過去に5位、4位と涙をのんだGPファイナルで初優勝を飾った。この勝利で、五輪、世界選手権、四大陸選手権、GPファイナルという主要国際大会を全て制するキャリアグランドスラムを達成。日本女子では浅田真央以来2人目の偉業だった。
2024年にモントリオールで開かれた世界選手権では、SPで4位と出遅れる。しかし、FSで他を圧倒する演技を見せ、見事な逆転優勝で3連覇を達成した。本人は「良い時もあれば、悪い時もある。この1シーズンで経験した全てを次に活かせる」とオリンピック公式サイトの取材で語っている。その言葉通り、逆境を乗り越える精神力が彼女の強さを支える。
唯一無二と評されるジャンプの秘密
坂本花織の演技を支える最大の武器は、そのダイナミックなジャンプだ。特にダブルアクセル(2回転半ジャンプ)は、北京五輪で唯一最高評価(+5)を獲得するなど、高い出来栄え点(GOE)の源泉となる。
その秘密は、スピードとパワーにある。桐蔭横浜大学大学院の桜井智野風教授がスポーツ科学の観点から分析(FNNプライムオンライン記事)したデータ(アイスコープ)は、彼女のジャンプの特異性を示す。2021年全日本選手権での計測によると、ジャンプの助走速度にあたる離氷スピードは時速27.8キロ。これは他の女子選手の平均(時速24.7キロ)を3キロ以上も上回る。着氷後のスピードも時速18.0キロと、平均より約5キロ速く、減速が極めて少ないのが特徴だ。
このスピードが生み出すのは、圧倒的な飛距離。平均2.59メートルのところ、坂本は3.14メートルを記録した。一方で、ジャンプの飛び出し角度は平均より2度低い16度。桜井教授は「ジェット機は着陸が上手くないと綺麗に見えないのと一緒で、坂本選手は難しい着地をしている」と指摘する。高速で飛び出し、低い軌道で遠くまで跳び、そしてスピードを落とさずに着氷する。この一連の流れが、力強くも流麗なジャンプを生み出しているようだ。
難易度が高くないジャンプでも坂本選手の場合は、他の選手と比べて「完成度」「質」「スピード」が一味も二味も違うということになる。「坂本選手の何がすごいか」ネットでも検索されているように、そんな疑問を持つ観客も少なくないと思うが、このような視点を持つことで世界女王の技術の高さが見えてくるはずだ。
リンクを離れた素顔と進化を支える精神力
競技者としての強さの一方で、彼女の人間味あふれる一面も多くのファンを惹きつける。2023-24シーズンのSP曲「Baby, God Bless You」は、その年に生まれた姪と甥に捧げたものだった。彼女は「気持ちを込めて滑りたい」と語り、家族の存在が厳しい練習の支えになっていることを明かした。
その明るい性格は、逆境でこそ輝きを放つ。「人生は良いもの。今は全てが充実している」とオリンピック公式サイトの取材に語った坂本。「思い通りにいかないことやトラブルだらけ。でも、そこから毎日笑いを見つける。ネガティブをポジティブに変えるんです」。この思考法が、幾度となく彼女を救ってきた。
2022年のGPファイナルではSP首位からFSでミスを連発し5位に終わる。その際、「天使と悪魔が戦っている」と胸の内を明かした。しかし、その悔しさをバネに翌年の同大会で初優勝。失敗から学び、より強くなる姿は、彼女のキャリアそのものを象徴する。
最後の挑戦、ミラノ五輪。金メダルへ
3度目の五輪は、過去2大会とは意味合いが違う。「メダルに近い位置にいる」と本人が語るように、今や彼女は金メダルの最有力候補の一人だ。北京五輪後の4年間で積み上げた世界選手権3連覇という実績が、その自信を裏付ける。
「大きな目標は2年後の五輪。今やっていること全てが、そこにつながっている」。彼女の視線は、すでに個人戦の表彰台の頂点を見据える。ライバルは多い。同じ日本の千葉百音(20)や中井亜美(17)、そして2025年世界女王のアリサ・リウ(20)<アメリカ>など、強豪がひしめく。
だが、大舞台での経験値と、プレッシャーを力に変える精神力は誰にも引けを取らない。神戸の小さなスケートリンクから世界の頂点へ駆け上がった女王が、競技人生のフィナーレでどんな舞を見せるのか。その集大成に、世界中の注目が集まる。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]































































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