北鎌倉「喫茶 吉野」訪問記、40年以上愛される昭和レトロ空間と絶品ケーキの魅力

📷写真・📝レビュー提供:Saluya
取材・編集:MEDIA DOGS 編集部/ © 2025 MEDIA DOGS
北鎌倉の喧騒を離れ、まるで時が止まったかのような静寂に包まれたい。そんな願いを叶えてくれる場所が、東慶寺のほとりにひっそりと佇む「喫茶 吉野」です。1980年の創業以来、多くの人々に愛され続けるこの純喫茶。先日、私にとって3度目となる訪問を果たしました。なぜこの店にこれほどまでに惹きつけられるのか。その魅力を、実際に体験したからこそわかるリアルな視点でお届けします。
東慶寺の杜に佇む、昭和レトロな隠れ家「喫茶 吉野」
「喫茶 吉野」は、JR北鎌倉駅から徒歩約4分、縁切り寺として知られる東慶寺の参道脇に位置します 。石畳を進むと見えてくるのは、大きな瓦屋根とレンガの外壁が印象的な和洋折衷の建物。これは、鎌倉市内に数多くの名建築を残した建築家・榛沢敏郎(はんざわとしろう)氏による設計だそうです。
お店が誕生したのは、喫茶店ブームに沸いた1970年代から昭和55年(1980年)にかけて 。創業者の「古きよき喫茶店の魅力を伝えたい」という想いは、今も現オーナーの吉野文史男さんに引き継がれています。
この場所が持つ歴史的な深みも魅力の一つ。かつて東慶寺には、世界に禅を広めた鈴木大拙をはじめとする多くの文人が集いました。実は、吉野さんの親族もそのグループの一員だったという縁があるそうです。そんな歴史に思いを馳せながら過ごす時間は、より一層特別なものに感じられます。

体験レビュー:私が「喫茶 吉野」で過ごした、穏やかな午後のひととき
昭和の薫り漂う、心安らぐ店内
私が訪れたのは、2025年11月23日の日曜日、午後3時過ぎ。紅葉シーズンの週末とあって店の前には数人が待っていましたが、リストに名前を書くシステムではなく、お店の方が一人ひとり丁寧に席へと案内してくれます。その温かい対応に、待つ時間も苦になりません。
一歩足を踏み入れると、そこはまさに昭和時代にタイムスリップしたかのような空間。控えめな照明、磨き上げられた床、そしてアンティークのランプが放つ柔らかな光が、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。席はすべてゆったりとしたソファ席で、隣の席との間隔も保たれているため、プライベートな時間を過ごせます。

店内は、窓から陽光が差し込む明るいサンルーム席と、より落ち着いた雰囲気の奥のソファ席に分かれています 。サンルーム席からは手入れの行き届いた庭の緑を眺めることができ、時には野生のリスが顔を出すこともあるのだとか。私が案内されたのは一人用のテーブルでしたが、隣の席は空けたままにしてくれるなど、細やかな配慮が嬉しかったです。

こだわりの一杯と、心惹かれる自家製ケーキ
メニューを開くと、サイフォンで淹れるこだわりのコーヒーが並びます。ブレンドやアメリカンといった定番から、キリマンジャロ、モカなどのストレートコーヒーまで種類豊富。紅茶やジュースもありますが、アルコール類の提供はありません。


私は今回、いつも注文する「パウンドケーキ」と「ブレンドコーヒー」のセットを頼みました。ほどなくして運ばれてきたコーヒーは、創業当時から使い続けているというフィンランドの名窯「アラビア社」のカップ&ソーサーで提供されます。一口飲むと、しっかりとした苦味の奥に深いコクが感じられ、思わず「美味しい…」と声が漏れます。この深みのある味わいが、お代わりしたくなるほどの魅力なのです。
そして、この店のもう一つの主役が自家製のケーキ。特に有名なのが「フルーツケーキ」です。創業者夫妻が「コーヒーに合う」ことをコンセプトに開発したオリジナルレシピで、レーズンやオレンジピールなどのドライフルーツがぎっしり。スパイスとラム酒がほのかに香る、しっとりとした大人の味わいが特徴です。私も次回こそは、と毎回気になっている逸品です。

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