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浅田統一郎とは何者なのか?日銀審議委員候補になった”MMT論者”の経歴と金融緩和への持論とは

浅田統一郎とは何者なのか?日銀審議委員候補になった”MMT論者”の経歴と金融緩和への持論とは

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政府は2月25日、日銀の新たな審議委員候補に中央大学名誉教授の浅田統一郎氏を提示した。市場では金融緩和に積極的な「リフレ派」と目され、円安・株高が進行。財政赤字を問題視しない現代貨幣理論(MMT)との関連でも注目されるが、本人はMMTを分析・モデル化する研究者であり、その評価は専門家の間でも分かれている。

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日銀新人事案、市場は「緩和継続」と判断し円安・株高に

政府は2026年2月25日、日本銀行の政策委員会審議委員の後任として、中央大学名誉教授の浅田統一郎氏(71)と青山学院大学教授の佐藤綾野氏(57)を起用する人事案を国会に提示した。高市早苗首相の就任後、初となる日銀審議委員の人事だった。

この人事案が伝わると、金融市場は大きく動いた。東京外国為替市場では、日銀の金融緩和策が長期化するとの見方から円を売る動きが強まり、円相場は一時1ドル=156円台まで下落。株式市場では日経平均株価が大幅に続伸し、終値で史上最高値を更新した。

市場は、両氏が金融緩和に前向きな「リフレ派」だと受け止めた。特に浅田氏は、積極的な財政出動と金融緩和の組み合わせを主張してきた経済学者として知られる。今回の人事は、金融引き締めに慎重な高市首相の意向が反映されたものとの見方が広がった。

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40年超の研究者人生、一貫した「反緊縮」の姿勢

浅田氏は1954年、愛知県生まれ。1977年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、一橋大学大学院に進み、1982年に博士後期課程を単位取得退学した。指導教官はマクロ経済学の大家、荒憲治郎氏だった。

駒澤大学の専任講師、助教授を経て、1993年に中央大学経済学部の助教授に就任。翌1994年には教授となり、2025年に定年退職して名誉教授となった。この間、米国のニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチやドイツのビーレフェルト大学で客員研究員を務めるなど、海外での研究経験も持つ。

その主張は一貫して、デフレ脱却を最優先し、財政・金融政策を総動員すべきだというものだ。2019年には、消費税率10%への引き上げを前に「増税の時期を明示しない『凍結』を決定すべきだ」と提言。過去の消費増税が日本経済に大きな悪影響を及ぼしたと分析した。

また、安倍政権の経済政策「アベノミクス」については、日銀の金融政策を経済政策の要に据えた点を「安倍前総理の功績だ」と評価。2021年の対談では、金融政策の重要性を国民に示した歴史的な出来事だったと語っている。

“MMT論者”という評価、本人の思想との距離

今回の人事で、浅田氏は一部の市場関係者やメディアから「MMT(現代貨幣理論)の提唱者」と評された。MMTは「自国通貨建てで国債を発行する政府は財政破綻しない」とし、財政赤字を問題視せず積極的な財政出動を促す理論だ。

SBI証券チーフ債券ストラテジストの道家映二氏は「浅田統一郎氏は(物価目標達成まで大胆な財政出動を提唱する)MMT(現代貨幣理論)の提唱者だ」とコメント。また、ロイター通信が報じた三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏のコメントによると、浅田氏は2022年の論文で「MMTに基づく金融財政政策は、財政金融協調安定政策において有効であるとの姿勢を示している」という。

しかし、この評価には異論もある。経済学者の田中秀臣氏は、浅田氏の論文はMMTをケインジアンの動学モデルで分析し、その理論的・政策的な問題を指摘するものだと解説する。浅田氏の貢献は、MMTが「従来のケインジアン動学モデルでいえることをわざわざMMTというレッテルで売り出している」ことを理論的に示した点にあるという。

この点について、2021年に行われた藤井聡京都大学教授との対談での発言が注目される。この対談の公開部分によると、「机上の空論が好きな学者の解釈論、神学論争」「MMTかどうかっていうのはどうでもいい」といった発言は、藤井氏によるものだった。一方、浅田氏は同対談で、貨幣の信認に関する議論を「ある種神学」としながらも、財政政策を行う上で中央銀行の存在を考慮することが重要だというメッセージが核心だと語った。

浅田氏の立場は、MMTを信奉し推進する「論者」というより、その理論を客観的に分析し、自身のマクロ経済モデルに取り込んで政策的含意を探る研究者だと言える。ただ、不況期に財政と金融が協調して拡張的な政策をとるべきだという結論部分が、MMTの主張と重なって見えることも事実だ。

市場専門家の「サプライズ」、緩和継続への期待と懸念

市場関係者の多くは、今回の人事を「サプライズ」と受け止めた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也氏は「2人とも金融政策ハト派だ。事前にはもう少しバランスを取るかと思っていたので、多少のサプライズ感がある」と指摘。この人選から高市首相のスタンスを推し量ることができるとの見方を示した。

一方で、浅田氏を「MMTの提唱者」とする見方には、他の経済学者から疑問の声が上がる。経済学者の飯田泰之氏はXで、MMTを批判的に分析した論文をもって「MMTに基づく政策に有効との姿勢」と解釈するのは「やや無理がある」と投稿した。

SNS上では、経済政策に詳しいユーザーから「浅田さんの任用は驚き」「この人事をみるに、高市さん、ガチのリフレ派なんだな」といった投稿が見られた。金融緩和に積極的な人物が日銀の政策決定に加わることへの期待がうかがえる。

金融政策への影響、問われる日銀の独立性

浅田氏が審議委員に就任すれば、日銀の金融政策決定会合で緩和継続を強く主張するメンバーが加わることになる。市場では、早期の追加利上げ観測が後退し、金融緩和路線が維持されるとの見方が強まった。

これは、物価高と円安に歯止めをかけたい日銀執行部にとって、政策運営の難易度が高まることを意味する。金融緩和の継続は、さらなる円安を招き、輸入物価の上昇を通じて国民生活を圧迫するリスクをはらむ。

実際に、人事案が報じられた25日の債券市場では、将来のインフレを警戒する動きから新発30年物国債の利回りが急上昇した。金融緩和の継続が、かえって長期的な金利上昇圧力になる可能性を示唆する動きだ。

政府の意向を強く反映したとみられる人物が審議委員に就くことで、金融政策の方向性を決める日銀の独立性が改めて問われる局面となる。

[文/構成 by さとう つづり]

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