中川翔子、声のAI無断生成を防ぐ指針に「守られてほしいです」 日本俳優連合のガイドラインに私見

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タレントの中川翔子が10月16日、TBS系「ひるおび」に出演し、声優の声が生成AIで無断に作られる問題について私見を語った。前日の15日、日本俳優連合(日俳連)は「音声に関する生成AI利用ガイドライン」を公表している。中川は「言ってない言葉を言ったことにされるってすごく恐ろしいこと」と述べ、ルールが「守られてほしいです」と訴えた。
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「ひるおび」で語った「守られてほしいです」
番組が取り上げたのは、日俳連が10月15日に出したガイドラインだった。本人や事務所の事前の同意、適切な報酬の支払いを求め、違反した場合は損害賠償を請求するという内容だ。報道によると、アニメ好きで知られる中川は、声優への思いをこう語った。
「声優さんの声だったりたくさんの思い出をいただいて、信頼もしていて、本人も想いを込めて、魂を込めていらっしゃるわけだから、言ってない言葉を言ったことにされるってすごく恐ろしいことですよね」
続けて中川は「こういうルールが明記されることは遅いくらいだったかもしれないですけど、守られてほしいです」と口にした。ルールができたことを歓迎しつつ、遅かったという実感もにじむ言葉だ。
同じ番組にコメンテーターとして出演したお笑いタレントの平野ノラは、「これからきっとこういうことがたくさん増えてくると思う」と先行きを心配していた。
中川自身も、声の仕事を経験してきた一人だ。2011年3月に日本で公開されたディズニー映画「塔の上のラプンツェル」では、日本語吹き替え版でヒロインのラプンツェルを担当した。ディズニー長編アニメーション第50作の記念作品で、ディズニー本社の製作スタッフによる審査を経ての起用だった。
日俳連が10月15日に出した22条のルール
日俳連は約2,600人の俳優・声優が加盟する協同組合だ。ガイドラインは10月15日付の「Ver 1.0」で、前文と全22条からなる。同日、東京都新宿区の芸能花伝舎で記者会見を開いて発表した。
背景にあるのは、日本に個人の「声」そのものを包括的に守る法律がないという事情だ。日俳連は発表文で、ネット上から集められた過去の出演作の音声がAIの学習に使われ、本人の知らない場所で声に似た合成音声が作られ、商業利用やフェイク動画に流用されるケースが後を絶たないと説明した。国の法整備を待つだけでは手遅れになるという危機感から、自主的な基準を作ったとしている。
学習・生成・利用の各段階で「書面の同意」
柱の一つは同意だ。AIで声を使う流れを、声を解析して学習させる段階、音声を生成する段階、生成した音声を作品などで使う段階に分け、どの段階でも目的を示したうえで、実演家本人から書面で明示的な同意を得るよう求める。同意や契約の有効期間は原則として最長1年で、続けて使いたい事業者は対価や条件を話し合い直し、改めて同意を取らなければならない。ゲームやアニメのように制作が長期に及ぶ場合は1年を超える期間も認めるが、無期限の同意は一切認めないと定めた。
対価と「AIで作った」という表示
対価については、AIで生成した音声を使うことを実演家の新たな「実演の提供」と同じものと位置づけ、学習料や使用料などの適切な報酬を払うよう求める。
表示のルールもある。生成AIの音声を作品で使う事業者は、視聴者の誤解を防ぐため、AIで生成した音声であること、使ったAIの事業者名やサービス名、元になった声の実演家の名前をクレジットに書くよう求める。実演家が望めば、名前を出さない、あるいは別名にすることもできる。
故人の声と吹き替えは原則としてAIを使わない
亡くなった実演家の声については、原則としてAIで生成・利用しないよう求めた。例外は、生前に出演していたシリーズの続編で死亡時に制作が始まっていた作品など、ごく限られた場合だけだ。その場合も遺族と生前の所属事務所などの書面による同意と、生前と同等以上の利用料の支払いが条件になる。故人が関わっていない新作での利用は一切認めない。
アニメや外国映画・ドラマの吹き替えといった演技の分野でも、AIで実演家を置き換えないことを原則とした。この分野でAIを使いたい事業者は、実演家や作品の権利者などすべての許諾を得て、対価を含む個別の書面契約を結ぶ必要がある。ノイズの除去や、口の動きに合わせるための最小限の微調整といった技術的な補正は、合意の範囲で限定的にAI利用を認める。
違反した事業者に対しては、実演家が配信の停止やAIの学習済みモデルの廃棄を求められるとした。無断利用を始めた日にさかのぼって、売上に相当する額を特別損害賠償金として払わせる規定も置いている。
島田敏、津田健次郎……相次いだ声の無断利用
中川が「言ってない言葉を言ったことにされる」と表現した被害は、すでに表に出ている。
15日の会見では、「ドラゴンボール」シリーズでブロリーを演じる声優の島田敏が、ブロリーの声を再現した生成AIがAdoの「うっせぇわ」を歌う音声を聴いた経験を明かした。島田は、声優の知らないところでセリフが切り取られ、言ってもいない言葉や歌ってもいない歌が勝手に作られてネットに上げられている現状を訴えている。孫悟空役で知られる日俳連副理事長の野沢雅子も、ビデオメッセージを寄せた。
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司法の場でも動きがあった。声優の津田健次郎が、自身の声を無断で模倣したナレーション付きの動画が公開されているとして、TikTokの運営会社に動画の削除を求めた訴訟で、東京地裁は9月30日、「人の声は肖像と同様に個人の人格の象徴だ」との判断を示した。声もパブリシティー権で保護されるとの見解で、声の権利保護をめぐる司法判断は初めてと報じられている。ただし、問題のアカウントと動画はすでに削除されていたことから、削除の請求そのものは退けられた。
声優の側から声を上げる動きは、それ以前から続く。2024年10月15日には、山寺宏一、梶裕貴、中尾隆聖らの声優有志が「NOMORE無断生成AI」の活動を始め、やった覚えのない朗読や歌、声そのものがネットで公開され、時に販売されていると訴えた。日俳連のガイドラインは、それからちょうど2年後の公表になった。
法的拘束力はなく、国の法整備はこれから
ガイドラインに法的な拘束力はない。対象はAIを使って事業を行う事業者で、動画投稿サイトやSNSなどのプラットフォームに直接の義務を課すものでもない。会見では、海外のサイトで無断利用が増え、プラットフォーム側への対応が難しいという課題も挙がった。
日俳連の池水通洋副理事長は会見で、国による法整備にはまだ数年かかるとの見通しを示した。日俳連は、ガイドラインを業界のルールとして定着させるとともに、「声の権利」の法制化を国に働きかけていく考えだ。
中川が口にした「守られてほしいです」は、ルールを作った側ではなく、声優の声に思い出をもらってきた視聴者の立場からの言葉だった。作り手と事業者、そして声を聴く側がこのルールをどう受け止めるのか。指針は、まだ動き出したばかりだ。
[文/構成 by エンタメライター 真柴 ことね]














































































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