堤聖也、バルガス戦が鼻骨骨折の未完治で中止 ドネア激闘の代償と次戦の見通しを整理

撮影/MEDIA DOGS 編集部
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WBA世界バンタム級王者・堤聖也(30)=角海老宝石=と休養王者アントニオ・バルガス(29)=米国=による団体内王座統一戦が中止となった。昨年12月のノニト・ドネア戦で負った鼻骨骨折が完治しておらず、練習中に激痛が走ったためだ。復帰は8月以降の見込みで、複雑な経緯をたどってきたWBAバンタム級の王座は再び先行き不透明な状況に陥る。
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ドネア戦の傷癒えず、バルガスとの統一戦は中止に
WBA世界バンタム級正規王者、堤聖也の次戦が見通せない状況となった。2026年3月9日、関係者が明らかにしたところによると、今春に計画されていた同級休養王者アントニオ・バルガスとの団体内王座統一戦が中止になった。原因は、昨年12月の元5階級制覇王者ノニト・ドネア(43)=フィリピン=との激闘で負った顔面の負傷が完治していないためだ。
堤は今月から実戦的な練習を再開する予定だった。しかし、中日スポーツなどの報道によると、本格的なスパーリングの前段階であるマススパーリングで鼻に軽いパンチが当たっただけで激痛が走る状態だったという。同日に病院で検査を受けた結果、特に鼻骨が治っていないとの診断が下った。準備期間を考えると、次に試合ができるのは8月以降になる見込みだ。
この一戦は、一部報道で4月11日に両国国技館で計画されていた興行に組み込まれる方向で交渉が進んでいた。しかし、激闘王がリングに戻るには、もう少し時間が必要になる。
激闘の代償、会見中に鼻血も
今回の中止の直接的な原因となったのは、2025年12月17日に行われたドネアとの王座統一戦で負った傷だった。堤はこの試合、4回にドネアの強打を浴びてダウン寸前まで追い込まれながらも、持ち前の闘志で終盤に盛り返し、2-1の判定で辛くも勝利した。
その代償は大きかった。試合翌日の18日、都内の所属ジムで開かれた会見に現れた堤の顔は、見るからに痛々しい状態だった。鼻は大きく腫れ上がり、両目も半分ほど塞がっていた。会見前には鼻骨の骨折と鼻腔内の裂傷のため、病院で4時間以上にわたる縫合手術や骨の矯正治療を受けていた。痛み止めが切れ、「めっちゃ痛い」と顔をしかめ、会見の途中で服薬のために中断する異例の場面もあった。終盤には鼻から鮮血が流れるなど、そのダメージの深さを示した。
それでも本人は「ノニト・ドネアと戦ったことは誇りで財産になる」と語り、次戦への意欲は失っていなかった。当時、全治は未定とされながらも、翌年5月に計画される東京ドームでの大規模興行への出場を問われると「5月だったらいけるでしょ?」と答え、早期復帰を望んでいた。
二転三転した王座、複雑な経緯
堤とバルガスの一戦は、単なる防衛戦ではなかった。両者の間には、二転三転する複雑な王座の経緯がある。
もともとWBAは2025年3月、当時正規王者だった堤と暫定王者だったバルガスに王座統一戦を行うよう指令を出した。しかし、堤が同年2月の比嘉大吾戦後に両目の手術を受けた影響で、5月に休養王者に認定される。これに伴い、バルガスが正規王者に昇格した。
ところが、今度はバルガスがリングから離れることになる。2025年11月、5年間の闘病の末に母親が亡くなったことで試合ができる状態ではないとして、WBAはバルガスを休養王者に認定。入れ替わる形で、休養王者だった堤が正規王者の座に復帰したのだ。
そしてWBAは、正規王者に返り咲いた堤に対し、暫定王者だったドネアとの団体内統一戦を指令。この試合の勝者が、120日以内に休養王者バルガスと対戦することが義務付けられていた。今回中止となった試合は、この規定に沿って組まれた、いわば「真の王者」を決めるための一戦だった。
突然の中止に広がる様々な声
待望の統一戦の中止は、海外のボクシングメディアも速報した。米国のボクシング専門サイト「Brunch Boxing」は「堤聖也 依然負傷、バルガス戦は中止」と伝えた。
このニュースに対し、X(旧Twitter)などのSNSではファンから様々な声が上がった。「ドネアとの激闘に勝ったけどあれだけボロボロになった堤聖也が4月に試合する事には断固反対だったので、むしろ休養してくれて良かった」と堤の体を気遣う投稿が見られた。一方で、「試合から遠ざかってるバルガスは気の毒だけども」と、試合機会を待たされ続けるバルガスに同情する意見も少なくない。
また、中止された試合が4月11日のビッグイベントで計画されていたとの報道もあったため、「天心エストラーダ興行に、堤聖也×バルガスも追加の噂があったが見送りとなった」と、豪華興行が実現しなかったことを惜しむ声も聞かれた。
混迷のバンタム級、次の一手は
堤の戦線離脱により、WBAバンタム級の動向は再び混迷を深める。堤の復帰が8月以降となる中、WBAがどのような判断を下すかが焦点だ。
一つの可能性として、WBAが再び堤を休養王者に認定し、現在休養王者であるバルガスを正規王者に復帰させるシナリオが考えられる。Brunch Boxingによると、バルガス陣営はバルガスを正規王者へ昇格させるようWBAに申し立てを行う見込みだという。
さらに、WBAバンタム級では3月15日にドネアと同級4位・増田陸(28)=帝拳=による挑戦者決定戦が控えている。この試合の勝者の立場も、今回の事態でより複雑になった。堤、バルガス、そして挑戦者決定戦の勝者という3者の扱いがどうなるかは、現時点では未定だ。
堤本人はドネア戦勝利後、次戦の相手としてバルガスとの対戦を「やらないといけない相手」と認識しつつも、「一番やりたいのは井岡さん」と元世界4階級制覇王者・井岡一翔(36)=志成=の名前を挙げていた。また、WBC同級王者・井上拓真(30)=大橋=ら他団体王者との統一戦も目標に掲げていたが、まずは激闘の代償である傷を完全に癒すことが最優先課題となる。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]





























































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