サナエトークンは誰が作ったのか 溝口勇児氏のNoBorderから高市首相の否定声明までの経緯

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
実業家の溝口勇児(41)=実業家=らが関わるプロジェクトが発行した暗号資産「サナエトークン」をめぐり、高市早苗(64)=内閣総理大臣=が関与を全面否定した。首相の異例の声明でトークン価格は暴落し、金融庁が3月3日に調査を検討する事態となった。無登録発行やパブリシティ権侵害の可能性が指摘される。
↓ 詳細が気になる方は、このまま下へ ↓
高市首相、名を冠した暗号資産を全面否定「全く存じ上げない」
高市早苗(64)=内閣総理大臣=は2026年3月2日、自身の名前を冠した暗号資産「SANAE TOKEN(サナエトークン)」について、自身および事務所の関与を全面的に否定する声明を公式X(旧ツイッター)で発表した。この声明を受けトークン価格は一時約58%暴落。共同通信は翌3日、金融庁が資金決済法違反(無登録発行)の疑いで関連業者への調査を検討していると報じた。
現職首相の名前を無断で使用したとみられる暗号資産の発行は、市場に大きな混乱を招くとともに、法的な問題点も浮き彫りにした。
「民主主義のアップデート」掲げ発行、運営側は関係性を示唆
サナエトークンは2月25日、実業家の溝口勇児(41)=実業家=が手掛けるWeb3コミュニティ「NoBorder DAO」が発行した。公式サイトでは「日本の未来を共創するコミュニティトークン」と位置づけ、「新しいテクノロジーで民主主義をアップデートする」という目的を掲げた。このプロジェクトは、NoBorder公式によると藤井聡(57)=京都大学大学院工学研究科教授=が中心となって進めているものだという。
しかし、サイトのトップページには高市首相を模したイラストが大きく掲載され、首相公認のプロジェクトであるかのような印象を与える。さらに溝口氏は2月25日に公開された実業家の堀江貴文(53)=実業家=のYouTubeチャンネル番組「REAL VALUE」内で、「実は高市さんサイドとは、なんか結構コミュニケーションを取らせていただいていて」と発言した。
また、高市首相の公認後援会を名乗るXアカウント(@TakaichiKoenkai)も2月25日に「チームサナエはこの取り組みに共感」と投稿し、「公認」との誤解を広げた。しかし、同アカウントは2月28日には「我々が一切関与するものではありません」と2月25日の投稿内容を訂正している。
首相の異例の声明、市場は大きく動揺
事態が動いたのは3月2日夜だった。高市首相は自身のXアカウントに長文を投稿。現職首相が個別の暗号資産について直接言及するのは極めて異例だ。
「SANAE TOKENという仮想通貨が発行され、一定の取引が行われていると伺いました。名前のせいか、色々な誤解があるようですが、このトークンについては、私は全く存じ上げませんし、私の事務所側も、当該トークンがどのようなものなのかについて知らされておりません。本件について我々が何らかの承認を与えさせて頂いたこともございません」
首相は「国民の皆様が、誤認されることのないよう、申し上げることと致しました」と、注意喚起が目的だと説明した。この投稿は大手メディアが一斉に報じ、市場は大きく動揺。「あたらしい経済」によると、サナエトークンの価格は声明直後の0.0137ドル付近から一時0.0058ドルまで急落し、約58%の下落を記録した。
サナエトークン騒動の主な経緯
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年2月25日 | 「NoBorder DAO」がサナエトークンを発行。溝口氏が堀江氏の番組で高市サイドとの関係を示唆。後援会を名乗るアカウントも連携を投稿。 |
| 2026年2月28日 | 後援会を名乗るアカウントが「一切関与するものではありません」と訂正投稿。 |
| 2026年3月2日 | 高市首相がXで関与を全面否定する声明を発表。トークン価格が暴落。 |
| 2026年3月3日 | 溝口氏がXで混乱した様子を投稿。その後、株式会社neuのCEOを名乗る人物が発行責任を認める声明を発表。金融庁が関連業者への調査を検討していると報じられた。 |
運営側は混乱、責任の所在めぐり新展開
首相による突然の否定声明に、運営側は混乱した。溝口氏は3日未明、自身のXに「ちょっと待ってて。関係者と話してるから」「おれはどうすればいいか、詳しい人たち参考までに教えて」などと投稿。状況を把握しきれていない様子を見せた。
その後、事態は新たな展開を迎える。同日午前、株式会社neuのCEOを名乗る松井健氏がXで声明を発表。「『SANAE TOKEN』につきましては、トークンの設計および発行に至るまでの一切の業務について、私が運営する株式会社neuが主体となって行い、その責任を負ってまいりました」と説明した。松井氏によると、NoBorder DAO側に企画を提案し、設計・発行・運営を一任されていたという。
溝口氏はこの投稿をリポスト(再投稿)したが、松井氏のアカウントが同月に作成されたばかりだったことなどから、SNS上では「トカゲの尻尾切りではないか」といった批判的な見方が相次いだ。これに対し溝口氏は「仲間を切るために事業をやっているわけじゃない」「逃げるつもりも、押し付けるつもりもありません」と反論した。
無登録発行、パブリシティ権侵害の疑い
今回の騒動は、法的な問題を複数抱えている。金融庁はサナエトークンをめぐり、資金決済法に定められた暗号資産交換業の登録を受けずに発行・販売した疑いがあるとして、関連業者への調査を検討している。資金決済法には罰則規定(第107条)があり、無登録営業が認定されれば刑事告発に至る可能性もある。
また、現職首相の名前や肖像を無断で商業利用した点は、著名人の氏名や肖像が持つ経済的価値を守る「パブリシティ権」の侵害にあたる可能性が高い。公式サイトには「高市氏と提携または承認されているものではない」との免責事項があった。しかし、サイト全体のデザインや運営側の言動が誤認を誘発したとの指摘は免れない。
政治家の名前を冠した暗号資産は過去にも例があるが、現職首相を巻き込み、監督官庁が調査に乗り出す事態にまで発展した今回の件は、安易な話題性に頼ったプロジェクトの危うさを改めて示す結果となった。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]




























































コメントはこちら