フーデリ「Wolt」撤退理由を徹底解説 Uber Eatsに歯が立たなかった”日本市場の壁”とは 3月4日サ終で「競争激しすぎた」の声

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フードデリバリーのWoltが2026年3月4日をもって日本事業を終了する。親会社DoorDashの「選択と集中」というグローバル戦略が直接の理由だった。市場はUber Eatsと出前館の2強がシェアの9割以上を占め、競争激化とコスト増が背景にある。拡大路線から一転した突然の決定となった。
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Wolt、日本市場から撤退 3月4日でサービス終了
フィンランド発のフードデリバリーサービス「Wolt」を展開するウォルト・ジャパンは2026年2月25日、日本での事業から撤退すると発表した。サービスは2026年3月4日まで通常通り利用でき、翌3月5日をもって完全に停止する。
親会社である米国のDoorDashが同日、日本を含む4カ国からの撤退を公式に表明した。Woltの共同創業者でもあるドアダッシュ・インターナショナル責任者兼デリバルー最高経営責任者(CEO)のミキ・クーシ氏は「困難な決断だが、最高のプロダクトを提供できる地域に集中し、長期的な成功を築くための判断だ」とコメントした。日本法人も「日本での状況を総合的に見直した結果、事業を終了することが最も適切であるとの結論に至った」と説明。グローバルな経営資源の再配分が理由だった。
拡大路線から一転、突然の決定 背景に親会社の「資本戦略」
今回の撤退は、市場関係者に驚きをもって受け止められた。Woltは2025年4月に札幌市および広島市で一部商品の店頭価格と配達価格を同額にする取り組みを始めるなど、物価高に対応した新たな顧客獲得策を進めていたからだ。同年12月には代表者がこのモデルの拡大に意欲を示しており、事業縮小の兆候は見られなかった。
しかし、その拡大姿勢からわずか数ヶ月での全面撤退となった。これは事業成績の緩やかな悪化によるものではなく、親会社DoorDashによる急な資本戦略の転換だったことを示す。DoorDashは日本と同時に、カタール、シンガポール、ウズベキスタンからも撤退を決定。特定の市場へリソースを集中させるグローバル戦略の一環であり、日本市場の将来性が見切られた結果となった。
Uber・出前館の「2強の壁」 競争激化とコスト増
Woltが越えられなかったのは、Uber Eatsと出前館という巨大な「2強の壁」だ。Blackbox Researchの調査によると、日本のフードデリバリーサービスの利用率はUber Eatsが約57%、出前館が約36%だった。ただし、この数値は「最もよく利用するサービス」に関する調査結果であり、最新の市場シェアとは異なる可能性がある。Woltを含むその他サービスは、残りのわずかなシェアを奪い合う構図だった。
この市場の厳しさは、過去の撤退事例が物語る。ドイツ・Delivery Heroが展開する「foodpanda(フードパンダ)」が2022年1月、中国系のDiDiフードが同年4月に撤退を発表し(実際のサービス終了は同年5月25日)、相次いで日本から撤退した。
いずれも激しい競争と配達員確保のコスト増が原因だった。Woltも同様の課題に直面した。さらに、近年の物価高騰は消費者の節約志向を強め、配達料のかかるフードデリバリーサービス全体に逆風となっていた。
競合は巨大資本を背景に消耗戦を続ける。Uber Eatsは楽天グループと連携し、出前館はLINEヤフー・ソフトバンクグループの経済圏構想の重要な一角を担う。出前館は巨額の赤字を出しながらも、シェア維持を優先する戦略をとってきた。こうした状況下で、Woltが単独で市場を切り開くのは困難だった。
プレミアム路線と独自戦略の軌跡
Woltは2020年3月に日本へ参入。「おもてなしデリバリー」を掲げ、質の高いレストランの厳選や丁寧な顧客サポートを売りにしたプレミアム路線で差別化を図った。青を基調としたブランドイメージは、他のサービスとの違いを鮮明にした。
2022年6月には米DoorDashによる買収が完了。日本市場では先行していたWoltブランドに一本化され、事業拡大が期待された。しかし、その直後の2022年7月には、自社で在庫を抱え商品を届けるダークストア「Wolt Market」をわずか半年で終了。「日本では高い需要が見込みにくい」との判断だった。その後は、食料品や日用品の配達でCostcoやIKEAと提携したり、法人向けの即時配送サービス「Wolt Drive」に注力したりと、独自の道を模索する動きを見せていた。
軽乗用車を配達に活用するための規制緩和を政府に働きかけるなど、インフラとしての定着も目指した。だが、それらの努力も2強の牙城を崩すには至らなかった。
2強体制は盤石か 市場再編は続く
Woltの撤退により、日本のフードデリバリー市場はUber Eatsと出前館の寡占状態がさらに進む。市場調査会社は、日本のオンラインフードデリバリー市場が今後も年平均5%以上の成長を続けると予測する。しかし、その成長の果実を得られるプレイヤーは限られる。
盤石に見える2強にも課題はある。出前館は依然として赤字構造からの脱却が急務であり、今後は配達員を自社で抱える体制を縮小し、注文仲介プラットフォームに回帰する可能性も指摘される。市場の淘汰は今後も続く見込みだ。
競争の軸は、単なる価格や配達スピードから、AIを活用した需要予測や効率的な配送システムの構築へと移りつつある。激しい消耗戦の末、日本のフードデリバリー業界は新たな再編の局面を迎えるのかもしれない。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]




























































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