アリサリウ、壮絶な生い立ちと素晴らしいその経歴を辿る 16歳で引退→UCLA→復帰2年で頂点へ ミラノで金メダルまで

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2026年2月19日、ミラノ・コルティナ五輪フィギュアスケート女子シングルで、米国の20歳アリサ・リュウが金メダルを獲得した。16歳で一度は競技を退きながら、自らの意思でリンクに戻り、わずか2年弱で世界の頂点に立った。その道のりは、彼女の特別な生い立ちと深く関わっている。
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氷上の歓喜、24年ぶりの金メダル
2026年2月19日、ミラノ・アイススケートアリーナ。ショートプログラム3位から逆転を狙うアリサ・リュウ(20)が最終グループで氷上に立った。ドナ・サマーの「マッカーサー・パーク」の軽快なリズムに乗ると、会場の手拍子が彼女の演技を後押しする。予定したジャンプを全て成功させ、フリー1位となる150.20点を記録した。
合計226.79点。先に演技を終えていた日本の坂本花織(25)、中井亜美(17)を上回り、金メダルが確定した。米国女子シングルでは2002年のサラ・ヒューズ以来、24年ぶりの快挙だった。団体戦と合わせて2冠を達成したリュウは「今日はずっと楽しかった」と笑顔を見せた。
最終滑走者の中井の得点が発表され、自身の金メダルが確定した直後、リュウはキス・アンド・クライで涙を流す中井に自ら歩み寄り、その肩を抱いて慰めた。これは金メダル獲得後、彼女が最初にとった行動だった。16歳で引退した経験があり、若い選手が感じる重圧を深く理解していたからだ。この日のリュウは、結果を待つ間もライバルに拍手を送り、終始リラックスした表情を崩さなかった。
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天才少女の栄光と苦悩、16歳での引退
リュウのスケート人生は、常に注目とともにあった。2005年8月8日、カリフォルニア州で生まれた彼女は、5歳でスケートを始める。父アーサーが、フィギュアスケートの伝説ミシェル・クワンの演技に感銘を受けたことがきっかけだった。
才能はすぐに開花する。2019年の全米選手権では、史上最年少の13歳で優勝。同年には米国女子で初めて4回転ルッツを成功させるなど、次々と記録を打ち立てた。しかし、その裏で心はすり減っていた。父アーサーは娘のキャリアに全てを捧げ、練習の送り迎えから海外遠征の同行まで、公私にわたり深く関与していたのだ。
初出場となった2022年の北京五輪で6位入賞、翌月の世界選手権で銅メダルを獲得。順風満帆に見えたキャリアは、その直後に突然終わりを告げる。同年4月、16歳で現役引退を表明した。「スケート以外のことがしたい」。彼女はそう説明し、リンクから完全に離れた。
自由と自己発見、そして復帰への道のり
引退後のリュウは、普通の若者としての時間を取り戻した。友人とネパールのエベレスト・ベースキャンプへトレッキングに出かけ、名門カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に進学して心理学を学んだ。スケート靴はクローゼットの奥にしまい、競技を見ることもなかったという。
転機は2024年初頭に訪れる。友人とのスキー旅行で、競技時代に感じていたアドレナリンの高まりを思い出した。「スケートって、どんなものだったっけ?」。軽い気持ちでリンクに戻ると、ブランクを感じさせないジャンプを次々と着氷させた。スケートの楽しさを再発見した瞬間だった。
2024年3月1日、リュウは自身のインスタグラムで現役復帰を発表。しかし、それは以前とは全く違う形での再出発だった。コーチ、音楽、衣装、振り付け。全てを自分で決めることを条件とした。「これは私のスポーツ。私が着たいものを着ないなんて、おかしいでしょ?」。彼女はそう語り、キャリアの主導権を自らの手に取り戻した。
「喜び」を力に掴んだ頂点
復帰後のリュウは、以前にも増して輝きを放った。2025年3月の世界選手権でいきなり優勝。今季もグランプリファイナルを制するなど、主要大会で勝ち続けた。かつて彼女を苦しめた重圧は、そこにはなかった。「メダルは必要ない。もし全てのジャンプで転んだとしても、私はこの衣装を着てここにいる。だから大丈夫」。五輪の舞台でも、彼女はそう言い切った。
彼女の演技には「喜び」があふれていた。フリーの演技後、一時引退の影響を問われると、こう答えている。「すごく長い話になるから、ここで話すのは本当に難しい。いつかみんなに話すつもりよ。あらゆる経験が今の私を形作っている」。早熟の天才、燃え尽き、そして自己の再生。その全てが、ミラノの金メダルにつながっていた。
政治亡命者の父と代理出産、特別な家族の背景
リュウの人生を語る上で、父アーサーの存在は欠かせない。アーサー氏は1989年、中国の民主化運動に参加し、政治的迫害を逃れて米国に亡命した過去を持つ。米国で弁護士となった彼は、匿名の卵子提供者と代理母を通じて、長女のリュウを含む5人の子どもを授かった。
この特殊な出自は、時に家族を国際的な緊張関係の中に置いた。2022年の北京五輪前には、中国政府が関与したとされるスパイ活動の標的になったと報じられた。アーサー氏によれば、中国の海外選手獲得計画の一環として、リュウ家が狙われた可能性があるという。彼は娘の身を案じながらも、米国務省の保護確約を得て五輪出場を認めのだ。
父が主導したスケート人生は、リュウに栄光と同時に大きな負担を強いた。しかし、一度距離を置いたことで、父娘の関係も変化する。復帰を決めたリュウは、父に事後報告する形で自立を宣言した。アーサー氏はその決断を受け入れ、今では観客席から娘の新たな挑戦を静かに見守っている。
[文/構成 by さとう つづり]
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