モバイルバッテリーが機内で使用禁止に 持ち込みルール・個数制限・充電の代替手段を解説

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国土交通省が旅客機内でのモバイルバッテリー使用を禁止する方針を固めた。相次ぐ発火事案を受けた措置で、2026年4月から運用が始まる見通しだ。持ち込み個数も1人2個に制限される。持ち込みには容量制限があり、預け入れはできない。
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航空機内でのモバイルバッテリー使用禁止へ 2026年4月から
国土交通省が旅客機内でのモバイルバッテリーの使用を禁止する方針を固めたことが、2026年2月18日に分かった。機内で相次ぐリチウムイオン電池の発煙・発火事案を受けた措置だった。2026年4月から新たな運用が始まり、持ち込み可能な個数も予備電池と合わせて1人2個に制限する方向で調整が進む。
この決定は、国際民間航空機関(ICAO)での基準見直しの議論を踏まえたものだ。これまで日本の航空会社では、モバイルバッテリーの機内使用は明確に禁止されていなかった。しかし、国内外での事故多発を受け、安全対策の強化に踏み切る。
なぜ今、規制強化なのか?相次ぐ発煙・発火事故
規制強化の背景には、国内外で後を絶たないモバイルバッテリーの発火事故があった。2025年7月20日には、JR山手線の車内で乗客が持っていた製品から火が出る事故が発生。乗客5人が軽傷を負い、約9万8千人の足に影響が出た。
これらの事故の原因は、モバイルバッテリーに広く使われるリチウムイオン電池の「熱暴走」だ。強い衝撃や過充電、内部のショートなどが引き金となり、電池の温度が急激に上昇して発煙や発火に至る。一度始まると連鎖的に反応が進み、消火が難しい特徴を持つ。
特に航空機内という閉鎖された空間での火災は、重大な事故につながる危険をはらむ。そのため、貨物室での発火に気づきにくいことから、モバイルバッテリーの預け入れは国際ルールで禁止されていた。今回の使用禁止方針は、客室内でのリスクをさらに低減させるための措置となった。
【基本ルール】持ち込みの条件:容量・個数制限とWhの確認方法
モバイルバッテリーを航空機に持ち込む際は、国際的な基準に基づいたルールを守る必要がある。最も重要な原則は、「預け入れ手荷物には絶対に入れず、必ず機内持ち込み手荷物として客室に持ち込む」ことだ。これは、万が一の異常発生時に乗務員が迅速に対応できるようにするためだった。
持ち込めるバッテリーには、電力量(Wh:ワット時定格量)に応じた制限がある。一般的なルールは次の通りだ。
| 電力量(Wh) | 持ち込み条件 |
|---|---|
| 100Wh以下 | 個数制限なしで持ち込み可能(※航空会社による制限あり) |
| 100Whを超え160Wh以下 | 1人2個まで持ち込み可能。この個数は安全を最優先した結果だった。 |
| 160Whを超えるもの | 機内持ち込み・預け入れともに不可 |
ワット時定格量(Wh)の確認と計算方法
バッテリー本体やパッケージに「Wh」の記載がない場合、自分で計算する必要がある。多くの製品は容量が「mAh(ミリアンペア時)」で表示されているため、計算式は次の通りだ。
ワット時定格量(Wh) = 定格電圧(V) × バッテリー容量(mAh) ÷ 1000
一般的なリチウムイオン電池の電圧は3.7Vだ。例えば、10000mAhのモバイルバッテリーの場合、「3.7V × 10000mAh ÷ 1000 = 37Wh」となり、持ち込み可能だと判断できる。本体に容量表示がない製品は、安全性が確認できないため原則として持ち込みできない決まりだった。
持ち込む際はショートを防ぐため、購入時のケースに収納するか、端子部分をテープで保護する、あるいは個別のビニール袋に入れるなどの措置が求められる。
世界の潮流と日本の対応 JAL・ANAはどう動いたか
モバイルバッテリーの規制強化は、世界的な流れだ。日本に先駆け、海外の多くの航空会社ではすでにより厳しいルールを導入していた。特にアジアや欧州の航空会社で使用禁止の動きが目立つ。
日本の航空会社は2025年7月8日から国土交通省の要請に基づき、座席上の収納棚への収納を禁止するなどの統一ルールを適用している。これは、「使用禁止」方針の前段階となる措置だった。
主要な航空会社グループの対応は以下の通り。
| 航空会社・グループ | 主な規制内容 | 適用開始日 |
|---|---|---|
| 国土交通省(日本) | 機内での使用および充電を全面的に禁止する方針。持ち込みは1人2個まで。 | 2026年4月(見込み) |
| JAL、ANAなど日本の航空会社 | 座席上の収納棚への収納禁止。目の届く範囲での保管・使用を要請。 | 2025年7月8日 |
| ルフトハンザグループ | 機内での使用および充電を全面的に禁止。 | 2026年1月15日 |
| 大韓航空 | 機内での使用および充電を全面的に禁止。 | 2026年1月26日 |
| シンガポール航空 | 機内での使用および充電を禁止。 | 2025年4月1日 |
このように、国際線を利用する際は、搭乗する航空会社が独自の厳しい規則を設けている場合がある。旅行や出張の前には、必ず利用する航空会社の公式サイトで最新の規定を確認することが不可欠だ。
充電はどうする?代替手段と旅行前の準備
機内でのモバイルバッテリー使用が禁止されると、長時間のフライトでの過ごし方に影響が出る。しかし、いくつかの代替手段で対応は可能だ。
最も確実な方法は、機内に備え付けられた電源を利用することだった。多くの国際線や一部の国内線機材には、座席にACコンセントやUSBポートが設置されている。モバイルバッテリーの使用が禁止されても、これらの機内電源から直接スマートフォンやPCを充電することは引き続きできる。旅行の際は、対応する充電ケーブルを忘れずに手荷物に入れる必要があった。
搭乗前に空港の充電スポットで電子機器をフル充電しておくことも基本的な対策になる。LCC(格安航空会社)など、機内電源がない機材も多いため、モバイルバッテリーが使えないことを前提とした準備が重要になる。
今回の規制強化は、空の安全を確保するための重要な一歩となった。利用者一人ひとりがルールを正しく理解し、常に最新の情報を確認して、安全で快適な空の旅を心がけることが求められる。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]





























































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