2025年9月14日、名古屋の夜が静まり返った。ボクシングWBO世界バンタム級王者・武居由樹が、指名挑戦者クリスチャン・メディナ(メキシコ)に4回TKOで敗れ、3度目の防衛に失敗した。ボクシング転向後、初黒星。それは多くのファンが予想だにしなかった結末であった。
序盤で狂った歯車、王者に見えなかった活路
試合のゴングが鳴るやいなや、挑戦者の気迫が王者を手こずらせた。1ラウンド終盤、メディナが放った強烈な右フックが武居を捉え、ダウン。
その後も武居は立て直しを図るが、メディナの圧力は弱まらない。そして迎えた4回、コーナーに詰められた武居はアッパーの連打を浴び、なすすべなくレフェリーが試合を止めた。
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