MEDIA DOGS

『らんま1/2』再アニメ化に学ぶ!ノスタルジアマーケティングの新潮流

(C)高橋留美子・小学館/「らんま1/2」製作委員会

今から約11ヶ月前の2024年10月、あるアニメが深夜の放送枠を賑わせた。高橋留美子氏原作の不朽の名作『らんま1/2』。1992年の放送終了から約30年の時を経て、「完全新作」として蘇ったのだ。往年のファンは歓喜し、SNSは祝福の言葉で溢れた。しかし、この現象は単なる懐古趣味ではない。

そこには、現代のコンテンツビジネスを読み解く鍵、「ノスタルジアマーケティング」という巧みな戦略が隠されている。

『らんま1/2』、30余年の時を経て「完全新作」で復活

『らんま1/2』は、水をかぶると女性になってしまう特異体質の格闘家・早乙女乱馬と、その許嫁・天道あかねを中心に繰り広げられるドタバタ格闘ラブコメディーだ。原作漫画は1987年から1996年まで連載され、旧テレビアニメ版は1989年から放送され絶大な人気を博した。

今回の新作は、原作のストーリーを改めてアニメ化する「完全新作的アニメ化」と銘打たれている。制作は『呪術廻戦』などで知られるMAPPAが担当。特筆すべきは、早乙女乱馬役の山口勝平氏、女性らんま役の林原めぐみ氏、天道あかね役の日髙のり子氏ら、主要キャストの多くが続投した点だ。これは、旧作ファンへの最大限の配慮と言えるだろう。

2024年10月から放送された第1期は好評のうちに終了し、既に第2期の制作も決定。2025年9月現在、ファンはその続報を心待ちにしている状況だ。

TVアニメ「らんま1/2」第2期制作決定!

詳細は公式をチェック!
▷公式サイト:https://ranma-pr.com/
▷公式X:https://x.com/ranma_pr
▷公式TikTok:https://www.tiktok.com/@ranma_pr

ノスタルジアマーケティングとは何か?

ノスタルジアマーケティングとは、消費者が抱く「懐かしさ」という感情を利用し、商品やブランドへのポジティブな結びつきを生み出す手法である。人々は過去の楽しい思い出や安心感を呼び起こすものに、心地よさを感じる。この心理を巧みに利用するのが、本戦略の核だ。

旧来ファンと新規層へのアプローチ

『らんま1/2』の戦略は、二つの世代を同時に射抜いている。一つは、80~90年代に作品をリアルタイムで楽しんだ30代~50代の「旧来ファン」だ。彼らにとっては、キャストの続投や原作に忠実な物語が、当時の記憶を呼び覚ます装置として機能する。それはまるで、古いアルバムをめくるような、温かい体験である。

もう一つは、Z世代を中心とする「新規層」だ。彼らにとって『らんま1/2』は、ある種の「平成レトロ」カルチャーとして新鮮に映る。現代の美麗な作画で描かれるキャラクターや、今見ても斬新な設定は、未知の魅力に満ちたコンテンツとして受け入れられるのだ。

次のページへ:「再発見」ブーム:『YAIBA』などの事例

コメントはこちら

*
*
* (公開されません)

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

Return Top