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渡邊海が9月の月間MVP、木谷陸は敢闘賞 1000万円トーナメント決勝で年内に激突する2人

渡邊海が9月の月間MVP、木谷陸は敢闘賞 1000万円トーナメント決勝で年内に激突する2人

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東日本ボクシング協会が9月度の月間賞を発表し、最優秀選手賞(MVP)に渡邊海(23)=ライオンズ=、敢闘賞に木谷陸=KG大和=が選ばれた。2人はともに9月8日、東京・後楽園ホールで行われた「フェニックスバトル・スーパーフェザー級トーナメント」の準決勝を勝ち上がった。優勝賞金1000万円をかけた決勝は、12月3日に後楽園ホールで行われる予定と報じられている。

対象は同じ夜の準決勝2試合

協会が10月16日に公表した内容によると、渡邊の対象試合は9月8日のスーパーフェザー級8回戦。日本・OPBF東洋太平洋同級1位の木村蓮太朗=駿河男児=を2回TKOで下した一戦だった。敢闘賞の木谷も同じ日の8回戦が対象で、元日本フェザー級王者の松本圭佑=大橋=と判定1-1で引き分けている。新鋭賞は該当者なし。表彰式は11月4日に予定されている。

この夜の興行「PHOENIX BATTLE 160」では、日本スーパーバンタム級と東洋太平洋ライト級のタイトルマッチも組まれていた。王者の池側純、今永虎雅がそろって防衛に成功したが、MVPに選ばれたのはタイトル戦ではなくトーナメント準決勝の渡邊だった。渡邊にとって同賞は2度目となる。

2回36秒、2度のダウンで決着

試合は立ち上がりから木村が前に出て、左を打ち込みながらコーナーへ追う展開で始まった。渡邊は落ち着いて相手を見ながら右ボディーを返し、初回をしのぐ。

流れが変わったのは2回だった。左ボディーの直後に放った渡邊の左フックがあごをとらえ、木村は背中から倒れる。再開後、飛び込むような左フックから右ストレートがまたあごに入り、2度目のダウンを奪うと、レフェリーはカウントを取らずに試合を止めた。記録は2回36秒TKO。この勝利で渡邊の戦績は18勝11KO3敗1分となった。木村は6月28日、静岡県富士市のふじさんめっせで行われた準々決勝で、リザーバーの安村綺麗を5回TKOで退けて準決勝へ進んでいた。当初の相手だった砂川隆祐は、3月の日本タイトル挑戦で負ったダメージを理由に出場を辞退していた。

試合後の渡邊は、ボディーを見せてから顔面の左フックにつなげる流れを狙っていたと明かしている。

渡邊は2021年度の全日本フェザー級新人王で、日本ユース・スーパーフェザー級王座を経て、2024年8月に鈴木稔弘を初回で倒しWBOアジアパシフィック王座を手にした。2025年1月、日本王者の奈良井翼とのノンタイトル戦に判定で敗れて同王座を剥奪されたが、4月に石井龍誠を7回TKOで破って返り咲いた。ところが、7月31日の初防衛戦で齋藤麗王=帝拳=から初回に2度のダウンを奪いながら、3回TKOで逆転負けを喫した。ベルトを失ってから1年あまり、23歳は賞金トーナメントの決勝までたどり着いた。

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優勝候補とドロー、規定の優勢点で勝ち上がり

もう1つの準決勝は、ジャッジ3人の採点が77-75、75-77、76-76と完全に割れた。結果は1-1の引き分け。トーナメントの規定で優勢点を得た木谷が勝者扱いとなり、優勝候補とされた松本は決勝を逃した。少年時代からテレビ番組「ミライ☆モンスター」で取り上げられ、無敗のままトーナメントに臨んでいた27歳にとって、プロ初の引き分けだった。

序盤は松本が左ジャブからのワンツーで主導権を握り、木谷は距離を詰められずにいた。5回には松本の右を後頭部に受けて一度ダウンを宣告されたが、レフェリーがジャッジに確認したうえでスリップに判定を変えている。6回、打ち合いの中で左フックから右ストレートを効かせ、右アッパーで松本をロープへ追い込む。後半は接近戦で左ボディーとアッパーを打ち込み、松本がロープを背に回る時間が長くなった。

木谷は試合後、「うれしさ8割、悔しさ2割」と語り、「優勝します」と言い切った。戦績は11勝5KO3敗1分。

木谷の経歴は国内のボクサーとしては珍しい。18歳で単身メキシコに渡り、現地でプロデビューした。海外で11戦を重ね、2024年7月には米カリフォルニア州で「ティグレ(虎)」のニックネームでリングに上がり、無敗の選手に判定で敗れた経験もある。帰国してKG大和ジムに所属すると、2025年9月9日の国内初戦で日本ランカーの龍王=角海老宝石=を5回TKOで破り、この試合で東日本協会の2025年9月度新鋭賞を受けた。それからちょうど1年、今度は敢闘賞での表彰となる。

15人で始まった1年がかりのトーナメント

フェニックスバトルのスーパーフェザー級トーナメントは、2025年に開催が発表された。出場選手の募集時に示された出場枠は16人で、優勝者には1000万円、全試合でKO賞20万円が用意された。決勝のファイトマネーは選手の肩書によって保証額が決まり、募集時の条件ではノーランカーが200万円、日本・OPBF東洋太平洋・WBOアジアパシフィックのランカーが300万円、世界ランカーが400万円、この3団体の王者が500万円とされた。敗者は30%減額され、その分が勝者に上乗せされる仕組みになっている。

実際のエントリーは15人で、2025年11月27日に開幕した。1回戦の目玉とされた渡邊と亀田京之介=MR=の対戦は、亀田の出場辞退で消え、渡邊はリザーバーの新井志道=黒崎KANAO=と戦うことになった。

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2人の勝ち上がりは対照的だった。

回戦日付渡邊海の試合(勝者:渡邊)木谷陸の試合(勝者:木谷)
1回戦渡邊 2026年2月19日/木谷 2026年1月30日渡邊がTKO(6回53秒)で新井志道に勝利木谷がTKO(8回2分42秒)で大谷新星に勝利
準々決勝2026年5月12日渡邊が判定3-0(77-74、78-73、79-72)で英豪に勝利木谷が判定3-0(77-75、78-74、79-73)で福井貫太に勝利
準決勝2026年9月8日渡邊がTKO(2回36秒)で木村蓮太朗に勝利木谷が引き分け(1-1)、優勢点で勝者扱い。相手は松本圭佑

渡邊は3試合のうち2試合をKOで終わらせ、1回戦ではKO賞20万円も手にした。判定までもつれた準々決勝でも、2回に左フックで英豪からダウンを奪い、3人のジャッジ全員に支持された。一方の木谷は、1回戦で7回終了時点の採点では3人のジャッジがいずれも大谷をリードとしていた。最終8回に右でダウンを奪い、終了ゴングまで残り18秒でのTKO勝ちだった。国内に戻ってから2試合続けて日本ランカーを倒し、トーナメントに勢いをつけた。5月の準々決勝では、前に出るだけでなく下がる動きも混ぜ、福井をコンパクトなカウンターで押し続けた。追い込まれてから試合をひっくり返す力が、ここまでの木谷を支える。

手の内を知る2人、12月3日の決勝へ

決勝は12月3日に後楽園ホールで行われる予定と報じられている。日本ボクシングコミッション(JBC)が9月29日に発表した9月度ランキングでは、渡邊が日本スーパーフェザー級1位、木谷が2位。国内ランキングの上位2人が、賞金1000万円をかけて向かい合う。

2人はこれまでにスパーリングで手合わせをしている。準決勝の後、木谷は相手が渡邊に決まったことについて、2人ともスパーリングをした相手で予想どおりだったと語った。

KOで勝ち上がった元WBOアジアパシフィック王者か、メキシコで鍛えられた逆転の勝負師か。12月の後楽園ホールで、1年がかりのトーナメントに決着がつく。

[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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