砂武蔵、師匠・武蔵丸の名が刻まれた横綱石碑前で「自分も入れるように」 野見宿禰神社を参拝

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大相撲の相撲教習所に通う新弟子らが10月15日、相撲史の講義の一環で東京都墨田区亀沢の野見宿禰神社を参拝した。参加した砂武蔵(18)=武蔵川部屋=は、師匠の武蔵川親方(元横綱武蔵丸)のしこ名が刻まれた歴代横綱の石碑を前に「自分も入れるように」と決意を口にした。父はハワイ出身の元十両・砂浜。11月の九州場所で初めて番付にしこ名が載る。
師匠の名を見つけた18歳「カッコイイ」
相撲の神様・野見宿禰をまつる同神社を、砂武蔵が訪れるのは初めてだった。境内には歴代横綱のしこ名と出身地を刻んだ石碑が立ち、そこに第67代横綱・武蔵丸の名前もある。
初めて石碑を見た砂武蔵は「カッコイイ」と話し、「自分も入れるように」と頑張る決意を語った。いつか自分のしこ名をこの石に刻みたいという意味で、報道によっては「すごくかっこいい。いつか私のしこ名を載せたい」と目を輝かせたとも伝えられている。
参拝に合わせて奉仕活動として神社周辺の清掃も行い、砂武蔵は慣れた様子でゴミを拾った。「ハワイでもゴミ拾いはしていました」。ビーチに落ちたプラスチックゴミを同級生と拾い、終わると海に入って遊んでいたと明かし、道中ですれ違った保育園児とふれあう場面もあった。
父は元十両・砂浜、母は日本人 ハワイ育ちの新弟子
砂武蔵の本名は砂田昌宏ライダー。日本相撲協会が公表した令和8年(2026年)九月場所の新弟子検査合格者一覧には「武蔵川」部屋、出身地「東京都」として名前が載る。母は東京都江東区出身の日本人で、本人は幼少期から高校卒業までをハワイで過ごした。
父は、ハワイ出身で元十両の砂浜(ウイリアム・タイラー・ホプキンス)だ。砂武蔵は父が十両土俵入りする映像を見て育ったといい、ハワイではアメリカンフットボールやレスリング、サーフィンにも打ち込んだ。2025年5月に高校を卒業した後に角界入りを決め、2026年6月に来日している。
初土俵は9月の秋場所。9月15日の前相撲で一元(木瀬部屋)を寄り切って白星デビューを飾った。ハワイにいる父からは「頑張れ。考えすぎないように」と助言を受けていたという。秋場所8日目の9月20日には、新序出世力士8人の1人として披露の場に立ち、「初めての国技館はとてもキレイで感動した」と話している。締めた化粧まわしは、師匠の武蔵丸が大関時代に使っていたもので、ハワイアンブルーの地にカメハメハ大王とハイビスカスが描かれている。「父も喜んでくれています」。そう話した18歳は、師匠と父の両方からハワイの縁を受け継いで土俵に上がった。
武蔵丸から続くハワイの系譜と横綱の石碑
師匠の武蔵川親方は、米国ハワイ・オアフ島出身の第67代横綱・武蔵丸光洋だ。日本相撲協会の歴代横綱一覧によると、横綱在位は平成11年(1999年)7月場所から平成15年(2003年)11月場所までで、幕内優勝は12回を数える。
野見宿禰神社は、明治時代に高砂浦五郎ら相撲関係者の尽力で津軽藩の上屋敷跡に建てられた。関東大震災と東京大空襲で全焼したが、昭和28年(1953年)に再建され、その際に日本相撲協会が歴代横綱記念碑を建てた。東京での本場所の前には協会の理事長や審判部長らが出席して例祭が営まれ、新横綱の奉納土俵入りもこの神社で行われる。
まつられている野見宿禰は「日本書紀」に登場する人物で、当麻蹶速と相撲を取って勝った話は相撲の起源として知られる。勝った宿禰は相撲の神様、勝利の神様としてあがめられるようになった。日本相撲協会によると、宿禰の子孫の土師氏から菅原氏が出ており、学問の神様・菅原道真も宿禰の子孫にあたる。神社の社紋が天満宮と同じ梅鉢なのは、そのためだ。御守や御札は、両国国技館の相撲博物館展示室で授けている。
石碑には横綱の出身地も刻まれており、外国出身の横綱には「米国」「モンゴル」といった国名が並ぶ。ハワイから来た武蔵丸の名もその列にある。現役の横綱は大の里と豊昇龍の2人。大の里は9月の秋場所で大関安青錦との千秋楽相星決戦を制し、12勝3敗で6度目の優勝を飾った。豊昇龍は7月下旬に右膝の手術を受け、秋場所は3場所連続の休場となっている。
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武蔵川部屋の新弟子が、この石碑の前で師匠の名に見入るのは初めてではない。2025年6月には、武蔵丸のおいで同じ部屋の光武蔵が教習所の参拝で石碑の「武蔵丸」を見つけ、「少しカッコイイですね」と笑顔を見せていた。1年4か月後、今度はハワイ育ちの砂武蔵が同じ場所で「自分も入れるように」と語る。
教習所は「しゃべるのが楽しい」 同期にも海外ルーツ
相撲教習所は、新弟子が実技と教養を学ぶ日本相撲協会の施設だ。砂武蔵は10月から通い始めたばかり。「いろいろな出身地の人がいて、しゃべるのが楽しい」と話し、稽古では申し合いが一番楽しいという。来日当初は日本語に苦労したが、今は熱心に勉強を続けていて、最近覚えた言葉は「久しぶり」だそうだ。
この日の参拝には、海外にルーツを持つ新弟子がほかにもいた。英国ハル出身の栄誠(17)=湊部屋=は、イングランド出身として2人目の力士だ。東序ノ口18枚目で臨んだ秋場所を4勝3敗で終え、九州場所では序二段への昇進が濃厚とされる。参拝後は「日本の神様へ感謝する考えはいいですね」と日本の文化に理解を示し、石碑の前で記念撮影。横綱になれば「英国」と刻まれる将来を思い描き、九州場所へは「6勝したい」と意気込んだ。
石川県穴水町出身の大森(23)=追手風部屋=も参加した。秋場所は東幕下18枚目で5勝2敗と勝ち越し、九州場所では幕下15枚目以内への番付上昇が予想され、新十両の可能性もある。同じ穴水町出身の北陣親方(元小結遠藤)が部屋付き親方を務める期待のホープは、「相撲の神様、ご先祖さんにも感謝しないと」と力を込めた。
九州場所で序ノ口デビューへ「優勝したい」
次の目標は11月8日に初日を迎える九州場所(福岡国際センター)だ。番付に初めてしこ名が載り、砂武蔵は序ノ口でデビューする。
掲げた目標は「優勝したい」。福岡に行くのは初めてで、父からは「九州場所は食事がおいしい」と聞かされている。楽しみにしているのは馬肉だといい、「馬肉を食べてみたいです」と笑った。
横綱の石碑に名前を刻むまでの道のりは長い。それでも、師匠と父が歩いた土俵の先を見つめる18歳の挑戦は、まず福岡で始まる。
[文/構成 by スポーツライター 南條楓]














































































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