ユリアン・ポズドニアコフ、ギンペット・バーンランバーにTKO負け KNOCK OUT-BLACKウェルター級王者がドクターストップ

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
KNOCK OUT-BLACKウェルター級王者のユリアン・ポズドニアコフ(24)=ウクライナ=が10月12日、福島県田村市のKNOCK OUT常葉アリーナで行われた「KNOCK OUT REBELS SERIES.14」のメインイベントでギンペット・バーンランバー(26)=タイ/バーンランバージム=と対戦し、2R終了時のドクターストップでTKO負けを喫した。ヒジありのREDルールによるノンタイトル戦で、2Rに右ヒジで顔面を切られたことが響いた。KNOCK OUTでは5戦目にして初めての黒星だ。
優勢のユリアンを止めた2R終盤の右ヒジ
試合はKNOCK OUT-REDルールの-69.0kg契約、3分3Rで組まれた。REDはヒジ打ちが認められるムエタイ系のルールで、ユリアンにとっては日本で初めて戦うヒジありの試合だった。ウェルター級(67.5kg)の王者だが、ベルトは懸かっていない。
主導権を握ったのはユリアンだった。1Rからジャブ、右ロー、左ボディ、右フックとテンポよく攻撃を重ね、組みに来るギンペットをブレイク後の圧力で下がらせる。ギンペットは首相撲に持ち込んでボディへのヒザを返し、左ミドルで距離を取って立て直しを図った。
2Rもユリアンの前進は続く。ロープを背負わせて左ボディからパンチをまとめ、ギンペットに思うようにヒジやヒザを出させない展開が続いた。
流れが変わったのはラウンド終盤だった。
ユリアンが右ローからパンチで踏み込んだところへ、ギンペットが右ヒジを合わせた。ユリアンは顔面を深く切って大量に出血し、それでも前に出て攻撃をまとめたが、ギンペットは首相撲で追撃を封じてラウンドを終えた。3R開始前のドクターチェックで試合はストップ。主催者の公式記録は「TKO 2R終了時 ドクターストップ」となった。
公式記録と大手スポーツ紙・格闘技専門メディアの報道によれば、試合を止めた理由は右ヒジによるカットと出血だ。主催者からは10月13日時点で、ユリアンのけがの程度や今後の治療について発表はない。
「ヒジ打ちに注目してほしい」と語っていた王者
試合前、ユリアンはREDルールへの自信を隠さなかった。
元々はムエタイの選手で、タイのシッソンピーノンジムに寝泊まりして練習を積み、タイ人ファイターと何度もムエタイで戦ってきた経歴を持つ。試合前日に応じたMMAPLANETのインタビューでは、日本のファンにまだ見せていない自分のムエタイを披露すると語り、「ヒジ打ちに注目してほしい。ギンペットを切り裂く」と予告していた。
ところが、試合を決めたのは相手のヒジだった。
パンチの攻防では最後までユリアンが上回っていた。ボディを効かされて劣勢だったギンペットが、ムエタイ選手らしい一発で試合をひっくり返したのだ。ヒジのあるルールでは、カットによる出血がそのまま試合終了につながる。その怖さが表に出た決着だった。
ギンペットは試合後のマイクで「今日は試合が出来て勝てて本当に嬉しいです。相手の選手に感謝を伝えたいです」と口にし、応援したファンや師匠のランバー・ソムデートM16、タイの人々に感謝を伝えた。
ユリアンの歩みとBLACK王座獲得まで
ユリアンは2002年4月28日生まれ、ウクライナのチェルニウツィー州出身。母国でIFMA(国際ムエタイ連盟)系の王座、ヨーロッパのWKU王座、WAKOのウクライナK-1王座などを手にしてから日本に来た。
KNOCK OUTへの初参戦は2025年4月の後楽園ホール大会で、中島玲から判定勝ち。6月の国立代々木競技場第二体育館大会では漁鬼に判定で勝った。
転機は2025年12月30日の「KNOCK OUT.60 ~K.O CLIMAX 2025~」だ。中島玲との再戦で左ヒザや左ミドルで3度のダウンを奪い、初回KO勝ちで第3代KNOCK OUT-BLACKウェルター級王者になった。2026年6月21日の「KNOCK OUT.65」ではK-1から参戦した松岡力を右のパンチで3度倒して勝ち、試合後にはKNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級王者の漁鬼との再戦を求めた。
漁鬼の側も8月2日の「KNOCK OUT.66」で吉宗、を初回KOで下した後、「ユリアンの予定が空いていたら、12月の代々木大会でタイトルマッチ組んでください」と応じている。ユリアンのKNOCK OUTでの戦績はこれまでBLACKルールで4戦全勝(2KO)。王者として次の大舞台が見えていた時期の敗戦になった。
主催者の公式プロフィールによると、10月13日時点のユリアンのキック戦績は24戦19勝(9KO)5敗となっている。
勝ったギンペットはUNLIMITEDで敗れてからの再起
ギンペットは2000年4月10日生まれ、タイのウボンラーチャタニー県出身。ランバー・ソムデートM16が率いるバーンランバージムの所属で、主催者のプロフィールには「MAX MuayThaiチャンピオン」の肩書きが載る。
日本では2026年2月15日の「KNOCK OUT.61」で初登場し、MASATO BRAVELYをヒジとヒザでKOした。5月10日の「KNOCK OUT REBELS SERIES.10」ではUNLIMITEDルールに初めて挑み、高塩竜司にKO負けを喫している。
ヒジの使えるルールに戻った今回は、来日3戦目で王者からの白星になった。主催者の公式プロフィールでは、10月13日時点でキック戦績が82戦66勝(13KO)15敗1分、UNLIMITED戦績が1戦1敗。
乙津陸が連敗脱出 大会全試合の結果
セミファイナルでは、元KNOCK OUT-REDバンタム級王者の乙津陸(KNOCK OUT クロスポイント大泉)が、日本デビュー戦のゴンサヤーム・ウィラサクレック(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム)を1R0分56秒、左フックでKOした。乙津は2025年12月から3連敗中で、再起をかけた一戦だった。
第9試合のKNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級では、川野龍輝(KNOCK OUT クロスポイント吉祥寺)が河野直次郎(CLIMB GYM)に先にダウンを奪われながら、そこから3度倒し返して2R2分00秒で逆転のTKO勝ちを収めた。
アマチュア36冠の実績を持つ透士はプロ2戦目で、シャーク・YU斗を2R2分58秒TKOで下している。主催者が発表した全11試合の結果は次のとおり(左が勝者)。
| 試合 | ルール・階級 | 勝者 | 敗者 | 決着 |
|---|---|---|---|---|
| 第11試合(メイン) | RED -69.0kg契約 | ギンペット・バーンランバー | ユリアン・ポズドニアコフ | TKO 2R終了時(ドクターストップ) |
| 第10試合(セミ) | RED スーパーバンタム級 | 乙津陸 | ゴンサヤーム・ウィラサクレック | KO 1R0分56秒 |
| 第9試合 | BLACK スーパーバンタム級 | 川野龍輝 | 河野直次郎 | TKO 2R2分00秒 |
| 第8試合 | BLACK -52.5kg契約 | HARU | 平原陸 | 判定2-0(29-27、28-28、29-27) |
| 第7試合 | BLACK ライト級 | 隼大 | 龍将 | TKO 3R0分59秒 |
| 第6試合 | RED -56.0kg契約 | 透士 | シャーク・YU斗 | TKO 2R2分58秒 |
| 第5試合 | RED 女子スーパーバンタム級 | 真秀鷹虎センチャイジム | 山本“魂武羅”知美 | TKO 1R0分57秒 |
| 第4試合 | BLACK -58.0kg契約 | 篠原尚都 | 新川祥太 | TKO 2R0分58秒 |
| 第3試合 | BLACK -54.0kg契約 | 横山凉 | 馬上一樹 | 判定3-0(29-28、30-27、30-27) |
| 第2試合 | UNLIMITED スーパーフェザー級 | 岡田悠希 | 長谷川柊哉 | 判定3-0(29-28、29-28、29-28) |
| 第1試合 | UNLIMITEDアマチュア スーパーバンタム級 | 齊藤晴 | 石原海星 | KO 1R1分13秒 |
大会はチケットの販売がなく、KNOCK OUT公式YouTubeチャンネルでライブ配信された。
王座はそのまま、問われるのは次の一手
ノンタイトル戦だったため、ユリアンのKNOCK OUT-BLACKウェルター級王座は動かない。10月13日時点でも、主催者のチャンピオン一覧にはユリアンの名前が王者として載っている。
それでも、BLACKルールで4戦全勝だった王者が、自ら「得意」と話していたREDルールで止められた事実は残る。ヒジでのカットは、打ち合いで勝っていても一瞬で試合が終わる。REDルールでの雪辱を狙うのか、BLACKルールに戻って漁鬼との王者対決に向かうのか。10月13日時点で、ユリアンの次戦や本人のコメントは主催者から発表されていない。
バーンランバージムがプンルアンに続いて日本へ送り込んだギンペットは、主催者のプロフィールではスーパーウェルター級(70.0kg)の選手として登録されている。現役王者から挙げた白星で、次にどの相手と組まれるかが注目点になる。
[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]
















































































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