カムニャック、アイルランドトロフィーで秋初戦V 11月15日のエリザベス女王杯の優先出走権を獲得、川田将雅「ホッとしています」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
2025年のオークス馬カムニャック(牝4)が10月11日、東京競馬場で行われた第2回アイルランドトロフィー(G2・芝1800メートル)を1番人気に応えて制した。勝ち時計は1分44秒4で、前年の勝ち時計を1秒3縮めるレースレコード。1着馬に与えられるエリザベス女王杯(11月15日・京都)の優先出走権を手に入れ、秋初戦を白星で飾った。
1番人気カムニャック、ゴール前でジョスランを半馬身差し切る
エリザベス女王杯につながる牝馬限定のG2には16頭が出走し、馬場は良だった。カムニャックは川田将雅騎手(40)を背に8枠16番の大外からスタート。逃げ馬が1000メートルを57秒9で通過するなか、先頭から10馬身ほど離れた中団で脚をためた。
直線に入ると、4番人気のジョスラン(C.ルメール騎手)が先に抜け出し、後続との差を広げにかかる。カムニャックは外から追いかけ、残り100メートル付近でギアが上がった。ゴール前でジョスランをとらえ、着差は半馬身。上がり3ハロンは出走馬で最も速い33秒4だった。
メンバーで唯一のG1馬で、負担重量はほとんどの相手より1キロ重い56キロ。それでも差し切った。2着ジョスランからさらに2馬身離れた3着には、前年の覇者で2番人気のラヴァンダ(横山和生騎手)が入っている。3番人気のクイーンズウォークは8着だった。
2着のジョスランは父エピファネイア、美浦・鹿戸雄一厩舎の所属で、2021年の有馬記念などG1を3勝したエフフォーリアの全妹にあたる。2走前の小倉牝馬ステークスに続く重賞2勝目まで、あと半馬身だった。ラヴァンダは主戦の岩田望来騎手が騎乗停止中のため横山和生騎手と初めてコンビを組み、中京記念に続く重賞連勝を狙ったが届かなかった。
| 着順 | 馬名 | 騎手 | タイム/着差 | 人気 |
|---|---|---|---|---|
| 1着 | カムニャック | 川田将雅 | 1分44秒4 | 1番人気 |
| 2着 | ジョスラン | C.ルメール | 1/2馬身 | 4番人気 |
| 3着 | ラヴァンダ | 横山和生 | 2馬身 | 2番人気 |
| 4着 | カネラフィーナ | 石川裕紀人 | 3/4馬身 | 9番人気 |
| 5着 | ミアネーロ | 大野拓弥 | 3/4馬身 | 11番人気 |
従来のレースレコードは、2025年にラヴァンダが記録した1分45秒7。このレースは2024年までアイルランドトロフィー府中牝馬ステークスの名で行われ、2025年から現在の名称になった。JRAは現在の名称になった2025年を第1回と数え、レースレコードもそこから記録している。芝1800メートルで行われるようになった1996年以降の府中牝馬ステークス時代を含めても、最も速い勝ち時計は2019年と2022年の1分44秒5で、今回はそれも0秒1上回った。
秋華賞16着からの立て直し
カムニャックは父ブラックタイド、母ダンスアミーガ(母の父サクラバクシンオー)という血統。栗東の友道康夫厩舎に所属し、馬主は金子真人ホールディングス、生産は北海道千歳市の社台ファームだ。馬名はサンブル語で「祝福された者」を意味する。
2024年8月、中京の新馬戦を勝ってデビュー。3歳になった2025年は、シュタルケ騎手とのコンビで4月のフローラステークス(G2)、5月のオークス(G1)を続けて勝ち、9月のローズステークス(G2)では川田騎手を背に重賞3連勝とした。
だが、1番人気に推された10月の秋華賞(G1)は16着。レース前にテンションが上がりすぎたことが響いた。友道調教師はその後、エリザベス女王杯を見送って放牧に出すと決め、「フィジカル面は全く問題ないですが、メンタル面を考えてですね。無理をするような時期でも、馬でもないですから」と理由を明かしていた。
4歳になった2026年は、マイル戦で2戦続けて2着。4月の阪神牝馬ステークス(G2)、5月のヴィクトリアマイル(G1)とも、勝ったのはエンブロイダリーだった。ヴィクトリアマイルの後、友道調教師は秋の目標をエリザベス女王杯に置き、その前に1戦挟む予定を発表。「元々、距離があった方が良さそうな馬だったし、秋は距離を戻していこうかな」と見通しを語った。
その1戦がアイルランドトロフィーだ。重賞は昨年のローズステークス以来、約1年1カ月ぶり4勝目。通算成績は10戦5勝、総獲得賞金は4億3715万1000円になった。
川田将雅「何よりこの馬が勝つことができてホッとしています」
レース後、川田騎手が真っ先に口にしたのは安堵だった。
「何よりこの馬が勝つことができてホッとしています」。ゲートは最後に入る順番で、長く待たされることはなかったと説明し、「だいぶテンションは高かったのですが、それでも何とか辛抱してくれたなと思います」と続けた。
位置取りについては、「ハナにいった馬以外は落ち着いた流れではあったので、ちょっと後ろめだなとは思いましたが、そこでしっかりとリズムをとりました」と話している。ポジションよりも、馬のリズムを崩さないことを優先した騎乗だった。
課題も口にした。追い切りでは雰囲気が良くなっていると聞いており、実際にその通りだったという。それでも、レースになるとこの日もテンションが高ぶったため、「1回使った事で抜けてくれればいいなと思います」と次を見る。
オークス馬としての力を問われると、「精神面の不安はありますけれども、これだけの内容で走れるので、それにふさわしい馬です」と評価。最後は「無事に秋初戦を終えることができましたので、次に向けてまた改めて準備をして、競馬場で楽しんでもらえればと思います」とファンに呼びかけた。
厩舎からは大江助手が「徐々に落ち着きが出て大人になってきている印象」と成長を語っている。一方、敗れた側の言葉も勝ち馬の力を認めるものだった。ジョスランのルメール騎手は「2、3馬身離してペースを維持できましたが、残念ながら勝った馬はG1レベルですからね」と振り返り、ラヴァンダの横山和生騎手は「前の2頭が強かったです」と短く答えた。
川田騎手にとってはJRAで3月のファルコンステークス以来となる、今年の重賞6勝目。友道調教師にとっても今年の重賞5勝目となった。川田騎手は府中牝馬ステークス時代を含めてこのレース初勝利。友道調教師は府中牝馬ステークス時代の2009年にムードインディゴ、2023年にディヴィーナで勝っている。
エリザベス女王杯へ、残るのはテンションの課題
友道調教師が5月の時点から秋の目標に掲げてきたのは、11月15日に京都競馬場で行われるエリザベス女王杯(G1・芝2200メートル)。10月11日のレース後の時点で次走は正式に発表されていないが、オークスの2400メートルを勝っている馬にとっては、友道調教師の言う「距離を戻す」舞台になる。
エリザベス女王杯は、昨年の秋華賞と同じくスタンド前からの発走になる。テンションが上がりすぎた秋華賞の二の舞を避けられるか。
カギは、川田騎手が語った「1回使った事で抜けて」くれるかどうかにある。1年前は、その精神面を理由にエリザベス女王杯を見送った。出走すれば、2025年のオークス以来となるG1・2勝目をかけて、1年越しで同じレースに挑むことになる。
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[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]


















































































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