西勇輝、引退試合で1回1/3を無失点・3奪三振 307試合連続先発はNPB歴代2位

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阪神の西勇輝投手(35)が10月7日、甲子園での広島戦で現役最後のマウンドに上がり、1回1/3を無安打無失点、3奪三振で降板した。オリックス時代の2011年10月から続く連続試合先発登板は307試合に伸び、ヤクルト・石川雅規の306試合を抜いてNPB歴代単独2位。試合は延長11回、梅野隆太郎の適時内野安打で阪神が2-1とサヨナラ勝ちし、試合後には引退セレモニーが開かれた。
打者4人を15球 最後は坂倉まで3者連続の空振り三振
初回、先頭の中村奨成をフルカウントから130キロのスライダーで遊ゴロに打ち取る。続く勝田成、菊池涼介はどちらも3球で空振り三振に仕留め、12球で三者凡退とした。
2回のマウンドでは、ボール回しの最後に一塁の大山悠輔と握手を交わしてから打者に向かった。4番・坂倉将吾を2球で追い込み、3球目のシュートで空振り三振。3者連続三振となったところで藤川球児監督がベンチを出る。内野陣と抱き合い、最後は藤川監督とも抱擁。ベンチ前では同級生でオリックス時代からの盟友・伏見寅威らに迎えられ、笑顔のまま引き揚げた。
NPBの公式記録では、打者4人に投球数15、安打と四死球はゼロ。走者を一人も出さない内容だった。
マスクをかぶったのは、苦楽をともにしてきた梅野。1、2番には近本光司と木浪聖也、8番には小幡竜平が入った。3人は西が移籍してきた2019年に入団した2018年ドラフト組で、阪神での”同期”にあたる。なじみの深い顔ぶれを並べた起用には、指揮官の気配りがにじむ。
藤川監督は「まだ続けてもらいたいと思いながら。投球同様、美しい野球人生」と目を細めた。西は前日の10月6日、「まっさらなマウンドに上がれるので、喜びをかみしめながら丁寧に」と登板への思いを語っていた。
試合は延長11回サヨナラ 勝利投手は岡留
西の降板後、試合は投手戦になった。2番手の石黒佑弥が0-0の4回1死一、三塁から佐々木泰に右前適時打を許し、広島が先制する。阪神打線は広島先発の玉村昇悟に7回まで5安打1点に抑えられたが、その7回1死二塁で髙寺望夢が中前適時打を放ち、試合を振り出しに戻した。
8回2死満塁の好機は佐藤輝明が二ゴロに倒れ、勝負は延長へ。11回、ターノックから先頭の小野寺暖が四球を選ぶと、代走・植田海の二盗などで1死二、三塁とし、梅野が遊撃への適時内野安打で試合を決めた。
勝利投手は11回を三者凡退に抑えた岡留英貴、敗戦投手はターノック。試合時間は3時間43分、入場者は4万2647人だった。
すでにセ・リーグ連覇を決めている阪神にとって、今季8度目のサヨナラ勝ちとなった。これでリーグ他5球団すべてに勝ち越しが決まり、球団では1962年、2023年に続く3度目となる。
2011年10月から先発一本 歴代1位は山内新一の311試合
連続試合先発登板の記録は、オリックス時代の2011年10月から始まった。以後、西は救援で登板することなく、15年にわたって先発のマウンドだけに上がり続けた。
2026年1月の時点で記録は298試合、歴代3位。西はこのとき「連続登板数と1500奪三振は達成したい」と目標を口にしていた。1500奪三振は今季中に到達し、連続先発は9月初めの登板で石川の306試合に並んでいた。石川の記録は2009年4月3日から2021年10月23日まで積み上げたもので、当時三浦大輔の294試合を抜くセ・リーグ新記録となっている。
プロ野球記録は、巨人、南海、阪神でプレーした山内新一の311試合。西は記録まであと4試合だったが、連続記録を途切れさせないままユニホームを脱いだ投手としては、三浦の294試合を上回り最長になる。
18年で通算127勝 ノーヒットノーランからFA移籍、日本一まで
三重・菰野高から2008年ドラフト3位でオリックスに入団した。2年目の2010年には顔面神経まひを患い、笑顔をつくれなくなった時期もある。それでも2011年に10勝を挙げて初の2桁勝利をつかみ、ローテーションに定着した。
2012年10月8日のソフトバンク戦では、プロ初完封をノーヒットノーランで飾る。与えた四球は1つだけだった。この試合は同年限りで引退する小久保裕紀の引退試合でもあり、真剣勝負を求められたうえでの快投だった。
2018年オフに国内FA権を行使して阪神へ移籍し、1年目の2019年に10勝を挙げてゴールデン・グラブ賞に選ばれた。2020年も11勝、2023年は8勝でチームのリーグ優勝と日本一に加わっている。2024年には通算2000投球回に到達した。
一方、2025年は右膝の故障などで一軍登板が1試合に終わった。4年契約の最終年となった今季は9試合で3勝4敗。二軍での調整が長く続いた。
NPB公式記録による通算成績は、352試合で127勝113敗1セーブ、防御率3.10(10月7日終了時点)。投球回は2108回2/3、奪三振は1509を数える。2桁勝利は7度。主要タイトルには届かなかったが、1年ごとにイニングを積み重ねた数字が並ぶ。
9月25日に引退発表 会見では「あっという間の18年間」
球団は9月25日、西が今季限りで現役を引退すると発表した。本人もSNSで「野球人生を振り返って、悔いはありません」とつづっている。
9月29日には西宮市内で引退会見を開いた。決断の理由を問われると「純粋に後輩を応援している自分がいましたし、このままの状態でも心の方が全くついてこなかったので」と説明。涙は見せず、「あっという間の18年間でしたし、色んな思い出もありますし、今はすっきりしています」と穏やかに話した。
関連記事:阪神・西勇輝が引退会見「あっという間の18年間」 引退試合は10月7日の広島戦(甲子園)で予定
前日の10月6日には、同じく今季限りで現役を退く岩貞祐太が、甲子園の広島戦の試合前に引退セレモニーを行っている。2日続けて、阪神を支えた投手が本拠地で別れを告げた。
関連記事:岩貞祐太、甲子園で試合前に引退セレモニー「現役最後のマウンドに立ちます」 阪神一筋13年の思いと現在
セレモニーで「僕はやり切りました」 矢野元監督の花束に涙
試合後のセレモニーで、西は約5分のスピーチに臨んだ。
球団関係者や広島の選手、両球団のファンへの謝辞に続けて、「18年間を振り返れば、勝ってうれしかった日もあれば、打たれて眠れなかった夜もありました」と歩みを振り返る。プロの第一歩を踏み出した古巣にも触れ、「僕の野球人生の原点は間違いなくオリックスです」と感謝を伝えた。虎党には「甲子園のマウンドに上がるたびに聞こえてきた声援、名前を呼んでくれた声、そしてこの景色、僕は一生忘れません」と言葉を届けている。
家族へは「子供たち、野球選手としてのパパを応援してくれてありがとう。これからたくさん遊ぼうね」と呼びかけた。最後は「僕はやり切りました」「僕はタイガースに来てよかったです。本当に18年間、ありがとうございました」と締めくくった。
場内のビジョンには、オリックス時代の後輩でドジャースの山本由伸が登場し、スタンドがどよめく。山本は「西さんが引退するのはさみしくて信じられませんが、次の道でも頑張ってください。現役生活おつかれさまでした」とメッセージを寄せた。スタンドには、今季限りで引退するオリックスの平野佳寿らかつての同僚の姿もあった。
FA移籍1年目の監督だった矢野燿大氏から花束を受け取ると、涙をこらえきれなかった。西は矢野氏を「人生を変えてくれたと言っても過言ではないぐらいの方。出会えて本当に良かった」と語った。
チームメートの手で5度宙を舞い、最後は子どもと一緒にグラウンドを1周した。スタンドからは”西コール”がやまない。「頼もしい後輩たちが一丸となって優勝できた。いい引き際でよかった」。連覇を決めたチームの中で、18年間のプロ生活に区切りをつけた。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]









































































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