藤ノ川、秋巡業で初めて相撲を取る稽古 「プレッシャーにはならない。力になる」、先代伊勢ノ海親方から激励

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大相撲の秋巡業が10月8日、埼玉県狭山市で行われ、関脇の藤ノ川(21)=伊勢ノ海=が今巡業で初めて相撲を取る稽古に臨んだ。6番取って3勝3敗。秋場所後に増えた声援について「プレッシャーにはならない。力になる」と語り、しこ名を譲り受けた先代伊勢ノ海親方(元関脇)から「もう一つ上を目指してほしい」と激励されたことも明かした。
増えた声援は「力になる」、狭山で実戦稽古を再開
狭山市は10月6日に始まった秋巡業の3日目の会場。藤ノ川はつくば市、海老名市での2日間は相撲を取っておらず、この日が実戦形式の稽古の再開となった。
最初の一番は平幕の宇良=木瀬=が相手だった。業師の攻めをしのぎ、突き落としで裏返すと会場から大きな歓声が上がる。相手を一方的に寄り切る場面もあったが、6番を終えて3勝3敗。「体を2日間動かしてなかったから、体がなまっていた。場所休み明けが調子よくないのはいつも通り」と、結果を気にする様子はなかった。
同じ日の稽古では、十両の炎鵬に土俵際で逆転の下手投げを許した一番もあった。
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稽古後に話題になったのは、観客の反応だった。新関脇で11勝を挙げた秋場所を経て、本人も声援が増えたと感じている。幕内最年少の21歳は「声援が増えた感じがする。プレッシャーにはならない。力になる」とうれしそうに話した。
177センチ、125キロと幕内では小柄な部類に入る。それでも「立ち合いはコンパクトに、強く当たることを意識している」と取り口の狙いを説明した。
新三役昇進が確実視されていた8月29日の夏巡業、埼玉県草加市の朝稽古では、元大関の朝乃山らと10番取っていた。当時は「とにかく前に出て、押す稽古をしている。馬力をつけるのが一番なので」と話しており、立ち合いから前へ出る方針は秋場所を挟んでも変わらない。
4代目藤ノ川から「もう一つ上を目指してほしい」
激励の主は、伊勢ノ海部屋の先代師匠で元関脇の森田武雄さん。現役時代は4代目の「藤ノ川」を名乗り、小さな体で動き回る相撲から「牛若丸」と呼ばれた力士だ。部屋に伝わるしこ名を、いまの藤ノ川へ譲った人でもある。
2人が顔を合わせたのは、秋巡業前に開かれた藤ノ川の祝賀会だった。森田さんは「今場所よく頑張った」とねぎらい、藤ノ川のしこ名を背負った力士の取組が場所中の15日間の楽しみになっていると伝えたうえで、「もう一つ上を目指してほしい」と背中を押した。藤ノ川はそう言われてうれしかったと明かし、気持ちを新たにしている。
しこ名の継承にはいきさつがある。藤ノ川は十両だった2025年初場所の千秋楽パーティーで、森田さん本人から「幕内に上がったら藤ノ川に改名だな」と声をかけられていたと、新入幕を決めた2025年7月のインタビューで明かしていた。その言葉どおり、新入幕の2025年名古屋場所で「若碇」から改名した。明治時代の初代から数えて6代目の藤ノ川になる。
新関脇の番付が発表された8月31日、藤ノ川は先代と地位で並んだことを喜び、「名前を覚えてもらえる」とはにかんでいた。関脇の一つ上は大関。先代の言う「もう一つ上」は、先代自身の最高位を超える地位になる。
若碇から藤ノ川へ、所要22場所で関脇に
藤ノ川の本名は齋藤成剛。2005年2月22日生まれの京都市西京区出身で、父は伊勢ノ海部屋付きの甲山親方(元幕内大碇)だ。5歳で相撲を始め、埼玉栄高校在学中の2023年初場所に若碇のしこ名で初土俵を踏んだ。
2024年九州場所で新十両に上がると、2025年名古屋場所で新入幕を果たし、10勝で敢闘賞を受けた。2026年春場所では横綱の大の里、豊昇龍を連日破って技能賞。7勝8敗だった夏場所を挟み、名古屋場所では東前頭筆頭で2日目に大の里、3日目に豊昇龍を突き落としで下し、2日連続の金星を挙げた。2日間で手にした懸賞は100本、計600万円に上った。横綱初挑戦から不戦勝を除いて4連勝は戦後初の記録となり、場所を8勝7敗で終えて殊勲賞に選ばれた。
土俵際で残して逆転した豊昇龍戦について、父の甲山親方は「ああいう動きを稽古からしている。稽古でもあきらめないから、こういうことができる」とたたえた。春場所で大の里から初金星を挙げた翌朝には、藤ノ川が懸賞金21本をすべて父に手渡し、普段は無関心を装ってきた甲山親方も「じーんときた」と明かしている。
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小結を飛び越えて新関脇に昇進した9月の秋場所は、京都府出身力士として1828年10月場所の緋縅以来、198年ぶりの新三役だった。6日目に安青錦、9日目に琴櫻、12日目に霧島と3大関をすべて破り、終盤まで優勝争いに加わる。千秋楽は関脇同士の一番で熱海富士を破り、11勝4敗で2度目の敢闘賞を受けた。
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三賞は2場所連続で、日本相撲協会の記録では殊勲賞1回、敢闘賞2回、技能賞1回の計4回。金星も4個を数える。初土俵から所要22場所での新関脇で、幕内上位に定着した。
九州場所は大関目安の2場所目、目標は「勝ち越し」
大関昇進の目安は、直近3場所を三役で合計33勝以上とされる。新関脇の秋場所で挙げた11勝を起点とみれば、九州場所と来年の初場所で計22勝を積むと目安に届く計算になる。ただし33勝は明文化された基準ではなく、昇進は取組内容も含めて審判部が判断し、理事会で正式に決まる。九州場所は11月8日に福岡国際センターで初日を迎え、番付は10月26日に発表される。
周囲の期待は高まる。ところが、目標を問われた本人は「勝ち越しです。勝てれば良い」と答えた。名古屋場所で両横綱を破った直後も「勝ち越し目指して頑張ります」と話しており、21歳の言葉づかいは番付が上がっても変わらない。日本相撲協会の力士アンケートに書いた座右の銘は「夢なき者に成功なし」。口にする目標は控えめなまま、九州場所を迎える。
巡業はこの後、長野県や北陸、関西を回り、10月16日には出身地の京都市で開かれる。藤ノ川は食事会も予定しているといい、「三役で京都に戻れて良かった」と声を弾ませた。20日の兵庫県明石市の巡業には母方の祖父母が訪れる予定だ。
増えた声援を力に変え、先代からの言葉を胸に九州へ向かう。巡業は10月25日の山口県宇部市まで続く。
[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]











































































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