アジア大会閉会式の日本選手団旗手に大橋信、JOCが発表 平泳ぎ2冠で世界記録の17歳

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愛知・名古屋アジア大会の日本選手団は10月4日、同日夜の閉会式で旗手を競泳男子の大橋信(17)=枚方SS=が務めると発表した。大橋は男子200メートル平泳ぎを2分4秒83の世界新記録で制し、100メートルとあわせて2冠を手にした高校生だ。閉会式は午後6時から名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで始まり、大橋は日の丸を掲げて入場した。
井上康生団長「次世代の選手」と選出理由を説明
発表の場は、名古屋市のメインプレスセンターで10月4日に開かれた日本選手団の大会総括会見だった。井上康生団長が水鳥寿思、三宅宏実の両副団長と並んで出席し、会見の最後に閉会式の旗手の名前を明かした。
井上団長は選んだ理由を「競技成績というところにおいてもすばらしい結果を残された部分があり、また次世代の選手というところでも、日本選手団に大きな力を次なるところで与えてくれる象徴的な選手だと判断して選ばさせていただいた」と説明している。物差しは二つ。大会で残した結果と、この先の伸びしろだ。
開会式の旗手には、8月19日の結団式で決意表明をしたレスリング女子の藤波朱理が選ばれていた。大会の入り口をパリ五輪の金メダリストが受け持ち、締めくくりの役目は17歳の高校生に回ってきた。
閉会式は旗手の列の最後方から入場、日の丸は振らずに掲げた
真っ赤な日本のジャージーを着た大橋は旗手の列の最後方で入場し、日の丸を振らずに高く掲げたまま進む。各国・地域の旗手とともに旗を持って、円形のステージの上をぐるりと回った。
式では大会旗が次回開催地のカタール・ドーハへ引き継がれ、フィナーレには俳優の松平健が登場して「マツケンサンバ」で会場を盛り上げた。次のアジア大会は4年後の2030年、ドーハで開かれる。
100メートル同着金、200メートル世界新、50メートル銅
旗手に選ばれた根拠は、競泳会場の東京アクアティクスセンターで残した成績にある。大会第3日の9月21日、男子100メートル平泳ぎ決勝で大橋は50メートルを首位で折り返し、董志豪(中国)と同じ58秒64でゴールした。同着の1位で金メダル。前年の世界選手権で2冠の覃海洋(中国)にも先着し、この種目で日本勢が勝つのは2018年ジャカルタ大会以来、2大会ぶりとなった。
4日前には39度の熱を出し、練習を1日休んでいた。レース後、大橋は「最後まで諦めずに泳いだことが1位につながった」と手応えを口にしている。
本命の200メートルは9月24日だった。大橋は2分4秒83でゴールし、覃海洋が2023年に出した世界記録2分5秒48を0秒65縮める。銅メダルのチョ・ソンジェ(韓国)は「正直言って、世界記録が生まれるなんて想像もしていなかった」と脱帽した。大橋はレース後、「これで北島康介さんと同じ道を歩めそうで、すごくうれしい」と話している。2002年の釜山アジア大会でこの種目を世界新記録で制し、のちに五輪2大会連続2冠を果たした先輩の名前を、自ら挙げた。
9月25日の50メートルは27秒01で3位に入り、銅メダルとなった。優勝した覃海洋には0秒33届かず、平泳ぎ3冠はならなかった。男子と混合の400メートルメドレーリレーでも銀メダル2個を獲得しており、大会で手にしたメダルは個人とリレーを合わせて5個になる。
関連記事:大橋信、アジア大会50m平泳ぎで銅 100m同着金、200m世界新の金に続き平泳ぎ3種目でメダル
金83個・総数269個、日本選手団は史上最多で大会を終える
大橋の泳ぎは、日本選手団が記録を塗り替え続けた16日間の一部だった。1994年広島大会以来、32年ぶり3度目の国内開催となった大会で、日本は全43競技に史上最多の932選手がエントリーした。最終日の10月4日に障害馬術個人が終わって全競技が終了し、日本のメダルは金83、銀95、銅91の計269個で確定。金メダル数は1966年バンコク大会の78個を60年ぶりに上回り、メダル総数とともに過去最多となった。
総括会見の時点では馬術が残っていたが、数字は会見時点の金83個、総数269個から動かなかった。井上団長は会見で「現場で戦った選手が精いっぱい戦ったこと、取り巻く監督やスタッフがサポートした結果」と選手団の戦いぶりを評価している。
国・地域別では金169個の中国が首位に立ち、日本は2位。3位は金39個の韓国だった。メダル総数も中国が341個で最も多く、日本が続く。首位との差は大きいが、2028年ロサンゼルス五輪へ弾みのつく数字が並ぶ。
関連記事:アジア大会日本の金メダル数、83個で1966年の78個を超え60年ぶり史上最多 柔道混合団体の金で更新
枚方生まれの17歳、北島の背中を追う平泳ぎのホープ
大橋は2009年3月5日生まれ、大阪府枚方市の出身。3歳で水泳を始め、地元の枚方SSで太田伸コーチの指導を受けながら、四條畷学園高に通う。身長169センチと小柄だが、速いテンポのストロークと、それを最後まで保つスタミナが持ち味だ。北島が2008年北京五輪で2大会連続2冠を果たした翌年に生まれた世代にあたる。
2025年の世界ジュニア選手権では、男子と混合の400メートルメドレーリレーで金メダルを手にした。名前が広く知られたのは2026年3月の日本選手権で、100メートルで日本記録を更新し、史上最年少で平泳ぎ3冠を果たしている。
その活躍を受け、ベースボール・マガジン社の水泳専門誌「スイミングマガジン」2026年6月号(5月11日発売)は表紙に大橋を起用し、スペシャルインタビューを載せた。
日本選手権の200メートルでは、前半100メートルを59秒86で折り返した。日本代表の平井伯昌コーチは3月の取材で「あんなことできるやつ世界にいない」と目を見張っている。8月のパンパシフィック選手権(米アーバイン)では100メートルを58秒54の日本新記録で泳いで2位に入り、シニアの国際大会にデビューした。その約6週間後のアジア大会で、200メートルの世界記録保持者になる。
次の目標は2028年ロス五輪の金メダル
大橋が見ているのは、2028年のロサンゼルス五輪だ。2025年のジャパンオープンで平泳ぎ3冠を果たした際にも、目標にロス五輪での金メダルを挙げていた。日本の男子平泳ぎで五輪の金メダルは、2008年北京大会の北島を最後に途絶えている。
その手前には2027年の世界選手権が控える。200メートルの世界記録保持者として迎える初めての大舞台で、海外のライバルから追われる立場に変わる。
16日間の最後に日の丸を託されたのは、ロス五輪を19歳で迎える高校生だった。名古屋の閉会式で旗を掲げた手は、2年後のロサンゼルスへ向かう。
[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]








































































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