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中日・井上一樹監督が今季限りで辞任「あと2試合をもって僕は辞めます」 借金21の最下位、次期監督の人選は議論中

中日・井上一樹監督が今季限りで辞任「あと2試合をもって僕は辞めます」 借金21の最下位、次期監督の人選は議論中

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中日の井上一樹監督(55)が9月29日、今季限りで辞任すると表明した。バンテリンドームナゴヤでの全体練習後、報道陣に「あと2試合をもって僕は辞めます」と明かし、成績不振の責任を取るとした。チームは9月29日時点で59勝80敗2分け、借金21のセ・リーグ最下位。10月3日のヤクルト戦が最後の采配となり、後任の人選はこれから本格化する。

練習後の取材で自ら切り出した「辞任します」

発表の場は、球団の記者会見ではなかった。9月29日、3日ぶりに1軍選手がそろったバンテリンドームナゴヤでの全体練習後、井上監督はいつもと違うミーティングルームで報道陣の取材に応じた。次戦への意気込みなどを話すなか、9月の関東遠征での連敗について問われると、こう切り出した。

「結論から申しますと、あと2試合をもって僕は辞めます。辞任します」

理由として挙げたのは成績だった。「成績、数字が上がらないということを考えれば、やはり自分がまず責任を取るべき」と続けた。辞任は井上監督が自ら球団に申し入れたものだった。春先から故障者が相次いだことにも触れたが、「勝てなかった」という結果を最後まで言い訳にはしなかった。

現場の選手、首脳陣、フロントの”三位一体”をまとめ切れていたのか。自問した末に、指揮官として足りなかったと認め、「自分が責任を取って辞めるのが一番ベストなのかな」と結論に至ったと明かした。表情は明るかったが、目は潤んでいた。

選手にはまだ伝えていなかった。「今初めて言いました」と話し、正式なあいさつは10月3日の最終戦の後、1軍にいるメンバーへ直接行う考えを示した。残りの2試合は指揮を執る。中日の今季残り日程は、10月1日の広島戦(マツダスタジアム、18時開始)と10月3日のヤクルト戦(神宮、18時開始)の2試合で、10月2日は広島戦の予備日となっている。9月30日は試合がなく、成績は29日時点から変わっていない。

4位から最下位へ、就任2年の成績

井上監督は2025年から1軍の指揮を執ってきた。2年間の成績は次のとおりだ。

年度順位試合勝敗勝率
2025年4位14363勝78敗2分け.447
2026年(9月29日時点)6位14159勝80敗2分け.424
通算―284122勝158敗4分け.436

1年目の2025年は、前年まで3年連続最下位だったチームを4位に引き上げ、4年ぶりに最下位を抜け出した。オフに先発の小笠原慎之介がポスティングシステムでナショナルズへ、守護神のライデル・マルティネスが巨人へ移った状況でのスタートだった。優勝した阪神には13勝12敗と勝ち越した一方、DeNAには8勝17敗と大きく負け越し、3位の巨人とは8ゲーム差。Aクラスには届かなかった。

2年目の今季は、球団創設90周年の節目だった。ところが開幕から5連敗とつまずき、外野手の岡林勇希、抑えの松山晋也、新外国人のサノーら主力の故障離脱も重なる。最下位が定位置になり、一度もAクラスに入れないまま夏を迎えた。

8月下旬にはDeNAとの3位争いに加わる場面もあった。だが、横浜での直接対決などを勝ち切れず、9月19日の巨人戦(東京ドーム)に敗れて6年連続のBクラスが決まった。2012年を最後に遠ざかるクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性も、すでに消えている。

数字で見ると、苦しさの中身がはっきりする。今季の逆転負けは9月26日のヤクルト戦で40度目に達した。本拠地では38勝33敗と勝ち越しているのに、敵地では21勝47敗2分け。セ・リーグの5球団のうち、勝ち越したのはヤクルト(14勝9敗1分け)だけだった。

最下位の順位はまだ確定していない。9月29日時点で5位広島とは勝率でわずかの差にあり、10月1日の直接対決を含む残り試合の結果で入れ替わる余地が残る。とはいえ借金は昨季の15から21へ膨らみ、監督本人の決断を覆す材料にはならなかった。

投手で入団し、打者で優勝に貢献した「99番」

井上一樹は1971年7月25日生まれ、鹿児島県出身。鹿児島商では投手と外野手を兼ね、1989年のドラフト2位で投手として中日に入団した。1軍での登板は9試合にとどまり、1993年のシーズン途中に打者へ転向する。

花が開いたのは1999年。開幕から21試合連続安打を記録し、チームの開幕11連勝とリーグ優勝に加わった。当時の背番号が99だった。その後も勝負強い打撃で外野と代打を支え、2004年から3年連続で2桁本塁打を放っている。2009年に現役を退くまで中日一筋で、通算1215試合に出場し、打率2割7分5厘、79本塁打、349打点を残した。

引退後は2010年から2013年まで中日で打撃コーチや2軍監督を務め、2020年から2022年は阪神で打撃コーチとヘッドコーチを歴任。2024年に中日の2軍監督として戻ると、同年10月に立浪和義前監督の後を受けて1軍監督就任が決まった。背番号は、現役時代に着けた99を選んでいる。

球団社長「本格的な人選はこれから」、候補に挙がる名前

加藤宏幸球団社長は9月29日、名古屋市の球団事務所で取材に応じ、井上監督から辞任の申し入れがあったと明かした。「理由が成績不振ということだったので、分かりました」と受け入れ、2軍監督時代を含めた3年間について「お疲れさまでした。ありがとうございました」と伝えたという。

後任は決まっていない。加藤社長は「これから本格的な人選を行う。早めに決めたい」と話す一方、次期監督に求める条件については「本格的な人選を進める中で議論しているところ」と述べるにとどめた。

報道によると、候補には中日OBの名前が複数挙がる。中日でのプレーや指導の経験がある人物では、嶋基宏ヘッドコーチ(41)の内部昇格のほか、球団で本部長補佐を務める荒木雅博氏(49)、2026年のWBCで侍ジャパンを率いた井端弘和氏(51)、西武を2018年と2019年のリーグ優勝に導いた辻発彦氏(67)。外部からは、ソフトバンク監督として5度の日本一を経験した工藤公康氏(63)や、巨人で2軍監督などを務めた桑田真澄氏(58)の名前が報じられている。いずれも球団が公式に認めたものではない。

残り2試合、そして新体制で迎えるオフ

井上監督が辞任を表明した9月29日、中日は福敬登、三浦瑞樹ら6選手に来季の契約を結ばないと通告した。来季に向けたチームの編成は、監督の辞任表明と同じ日に動き出した。

関連記事:中日、福敬登・三浦瑞樹ら6人に戦力外通告 津田啓史は2年連続の戦力外通告

次の山場は10月22日のドラフト会議だ。新監督がその場に立ち会えるかどうかは、人選の速さにかかる。2024年10月、就任が決まったばかりの井上監督は、4球団競合となった金丸夢斗の交渉権をくじで引き当て、大きなガッツポーズを見せた。あれから2年、その会議の席に井上監督の姿はない。

取材の終盤、井上監督は選手たちに向けて、監督が代わっても投手は投げ、野手は打って守るという仕事は変わらないと話し、それぞれの野球人生を「全うできるように頑張れ」と言葉を送った。自身については「僕はさじを投げたわけでない」とも語っている。

残る2試合への思いは短かった。広島戦とヤクルト戦は「勝って終わりたいな」。10月3日の神宮で、井上監督の2年間が終わる。

[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]

寄稿者

高瀬翔吾
Webメディアでスポーツ、エンタメ、時事ニュースなど、累計数千本の記事制作に携わってきたスポーツ系ライター。野球分野では、プロ野球の試合結果や選手の記録をはじめ、MLB、高校野球、ドラフト、移籍、契約更改などの記事を継続的に担当。数字や公式記録を基に情報を整理する記事を得意としており、結果を伝えるだけでなく、その記録が持つ意味や、選手・球団を取り巻く背景までわかりやすく解説することを心がけている。主な執筆分野は、プロ野球、MLB、高校野球、侍ジャパン、ドラフト、移籍情報。

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