マクドナルド値上げしすぎ?ハンバーガー59円時代からの価格推移と値上げ歴史一覧 客離れしない理由も解説

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日本マクドナルドは2026年2月25日から、約6割の商品を10円から50円値上げした。看板商品の「ビッグマック」は500円の大台に乗る。デフレ期には59円だったハンバーガーの歴史を考えると、価格上昇は大きい。しかし、一部商品の価格据え置きや巧みな商品戦略で、客離れを抑える動きも見られる。
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ビッグマック500円に、25日から再値上げ 約6割の商品で10〜50円
日本マクドナルドは2026年2月24日、全国の店舗(一部除く)で販売するメニューの約6割について、翌25日から価格を改定すると発表した。原材料費や人件費、物流費などの上昇が理由。値上げ幅は店頭価格で10円から50円(税込み)だ。
今回の改定で、看板商品の一つ「ビッグマック」の単品価格は480円から500円に引き上げられた。代表的な商品の新価格は、「ダブルチーズバーガー」が480円、「チーズバーガー」が240円、「マックフライポテト」のMサイズが350円となる。
セットメニューも対象で、「ダブルチーズバーガー」のセットは700円から740円に、「ビッグマック」のセットは750円から770円になった。2022年以降、同社が広範囲な値上げに踏み切るのは複数回に上る。
一方で、顧客の「お得感」に配慮し、一部商品の価格は据え置かれた。「ハンバーガー」(190円)や「マックチキン」(190円)、「てりやきマックバーガー」(400円)などの人気商品は価格を維持する。また、価格改定と同日から一部商品のソースをリニューアルし、価値向上も図る。
デフレの象徴「59円」から500円へ 価格推移で見る半世紀
マクドナルドの価格の歴史は、日本の経済状況を映す鏡ともいえる。特に象徴的だったのが、2000年代初頭のデフレ経済下で登場した「59円ハンバーガー」だ。
2002年8月、日本マクドナルドはハンバーガーを税別59円で販売。デフレ経済の深刻化と激化する価格競争に加え、2001年に発生したBSE(牛海綿状脳症)問題も背景にあった。この価格は客数を呼び戻す効果があったものの、客単価の下落を招き、売上高は前年比でマイナスが続く結果となった。
その後、同社は低価格路線を修正。59円バーガーは翌2003年に終了し、価格は徐々に上昇基調へ転換する。
一方、1971年に日本1号店が銀座に開店した当初、ハンバーガーは80円、ビッグマックは200円だった。経済成長と共に価格は上昇し、バブル景気目前の1985年にはハンバーガーが230円、ビッグマックは420円でピークを迎えた。1990年にはビッグマックが380円に下がったものの、依然として高価格帯を維持していた。バブル崩壊後は一転して値下げ競争の時代へ突入した。
そして2021年以降、世界的な原材料費や物流費の高騰、円安の進行を受け、価格は再び急な上昇局面に入る。わずか数年でビッグマックは400円台から500円へと駆け上がり、かつての低価格イメージからの大きな変化を消費者に印象付けた。
主要商品の価格推移一覧(1971年〜2026年)
マクドナルドの主要商品の価格は、時代と共に大きく変動してきた。ここでは、ハンバーガー、ビッグマック、チーズバーガー、マックフライポテトの価格の変遷を一覧で示す。価格は標準店舗の税込み価格(一部税別表記時代を含む)で、時期により変動がある。
表は必要な場合、横にスクロールできます。
| 年月(目安) | ハンバーガー | ビッグマック | チーズバーガー | マックフライポテト(M) |
|---|---|---|---|---|
| 1971年 | 80円 | 200円 | ― | ― |
| 1980年 | 180円 | 370円 | 200円 | ― |
| 1985年 | 230円 | 420円 | 280円 | ― |
| 1995年 | 136円 | 280円 | ― | ― |
| 2000年 | 68円 (税別65円) | 295円 | 80円 | ― |
| 2002年8月 | 62円 (税別59円) | ― | ― | ― |
| 2005年 | 100円 | 250円 | 100円 | 200円 |
| 2015年 | 100円 | 370円 | 130円 | 270円 |
| 2019年10月 | 110円 | 390円 | 140円 | 280円 |
| 2022年9月 | 150円 | 410円 | 180円 | 290円 |
| 2023年1月 | 170円 | 450円 | 200円 | 330円 |
| 2024年1月 | 170円 | 480円 | 200円 | 330円 |
| 2025年3月 | 190円 | 480円 | 220円 | 330円 |
| 2026年2月 | 190円 (据え置き) | 500円 | 240円 | 350円 |
※価格は各時点での代表的なものであり、店舗やキャンペーンによって異なる場合がある。
「もう行かない」「家計に響く」SNSの反応と、それでも客が離れない理由
今回の値上げ発表を受け、SNS上では消費者から様々な声が上がった。X上の不満投稿98件を分類した独自の参考調査(明確に悩みを分類できるポスト限定)によると、値上げに対する反応は以下の傾向を示した。(※ニュース共有や中立・ポジティブ投稿を除いた不満投稿のみを対象としており、SNS上の全体像を示すものではない)
最も多かったのは「家計への直接負担増」を訴える声で、分類対象となった不満投稿の約39%を占めた。「ビッグマック500円は痛い」「庶民は音を上げる」など、金銭的な不満が中心だ。次いで「利用頻度低下・離脱意向」を示す投稿が約21%。「もうマック行かない」「頻度を減らす」といった具体的な行動変容に言及する内容が見られた。他にも「安さが魅力だったのに」(約15%)、「またか、という疲労感」(約11%)といった、ブランドイメージの変化や度重なる値上げへの不満が続く。
マクドナルド値上げ X上の悩み・不満分類
調査対象:98件(2026年2月24日)
割合分布
投稿件数
※1投稿を最も強い感情で1カテゴリに分類
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しかし、こうした反発がありながらも、マクドナルドが多くの顧客を維持し続けている背景には、巧みな戦略が存在する。
巧みな価格戦略:「お得感」の維持
値上げを続ける一方で、マクドナルドは「安さ」のイメージを完全に捨ててはいない。今回の値上げでも「ハンバーガー」や「マックチキン」といった一部商品を190円に据え置いた。これは、手頃な価格を求める顧客層への配慮だ。
「ちょいマック」と呼ばれる100円台からの商品群は、小腹を満たしたい学生や、予算を抑えたい層にとって重要な選択肢であり続けている。全ての商品を一律に上げるのではなく、値上げする商品と据え置く商品を分けることで、顧客が感じる「値上げ一色」の印象を和らげ、来店動機を維持する狙いが見える。
体験価値の提供:ハッピーセットと限定商品
マクドナルドの強みは、単に食事を提供するだけではない点にある。「ハッピーセット」はその代表例だ。子どもに人気のおもちゃが付くことで、家族連れの来店を強力に促す。子ども時代の楽しい体験は、将来の顧客を育てる長期的な投資にもなる。
また、アニメやゲームとのコラボレーション、季節ごとの期間限定商品は、常に新しい話題を提供する。これらの施策はSNSでの拡散を呼び、普段マクドナルドを利用しない層をも店舗に引き寄せる力を持つ。価格以上の「体験価値」を提供することが、顧客の支持につながっている。
日本市場への適応とブランド力
日本マクドナルドは、グローバルなブランドでありながら、日本市場に合わせた商品開発を続けてきた。「てりやきマックバーガー」や秋の風物詩となった「月見バーガー」は、日本人の味覚や文化に根差したローカライゼーションの成功例だ。
長年にわたって築き上げた圧倒的な店舗網とブランド認知も、他社にはない強み。利便性の高さや、どの街にもあるという安心感が、消費者の選択肢として常にあり続ける要因となっている。
止まらないコスト増、価値提供への挑戦は続く
マクドナルドが繰り返す値上げの背景には、避けて通れないコスト構造の問題がある。牛肉をはじめとする原材料価格は世界的に高騰し、原油高は物流費を押し上げる。国内では人件費の上昇も続く。これらのコスト増を企業努力だけで吸収するのは、もはや困難な状況だ。
消費者の「マックは安い」というイメージは過去のものとなりつつある。今後は、上昇した価格に見合うだけの品質、サービス、そして楽しい体験といった「価値」を提供し続けられるかどうかが問われる。デフレの象徴からインフレ時代の代表へ。巨大チェーンの挑戦は、日本の外食産業全体の今後を占う試金石となるかもしれない。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]































































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