山本剛義氏の経歴とオルツ在籍の真相とは チームみらい公認辞退の理由に迫る

経歴未申告で公認取り消し、党首「不正関与は感知せず」
政治団体「チームみらい」は2026年2月4日、衆院選比例近畿ブロックの公認候補だった山本剛義氏(36)の公認を3日付で取り消したと発表した。過去に粉飾決算事件で経営破綻したAI企業「オルツ」との雇用契約を党に申告していなかったことが理由だ。
外部からの情報提供を機に事実が判明し、山本氏本人から辞退の申し出があった。安野貴博党首は記者会見で、党が問題視したのはあくまで「公認候補として開示すべき経歴情報が事前に開示されていなかったこと」だと説明。山本氏がオルツの不正に関わっていたかは「党は一切感知していない」と述べた。
選挙期間中に候補者が比例名簿から削除される異例の事態。山本氏とはどのような人物で、なぜ経歴を申告しなかったのか。公認辞退に至る経緯を追った。
IT業界渡り歩く、発覚しなかった「並行勤務」
山本氏は1990年生まれ、奈良県出身。立命館大学を中退後、IT業界でキャリアを重ねた。株式会社光通信やセールスフォース・ジャパン、freee株式会社などを経て、2022年9月からは株式会社マツリカでCRO(最高収益責任者)を務める。同社の公式サイトでは「顧客理解主義の営業」を提唱する人物として紹介されていた。
チームみらいには2025年12月、公募を経て候補者となった。書類選考や複数回の面談、バックグラウンドチェックも行われたが、問題の経歴は浮かび上がらなかった。
党の公式発表によると、山本氏が提出した履歴書には、オルツとの雇用契約が記載されていなかった。契約期間だった2022年2月から8月にかけて、山本氏は別の会社で正社員として勤務を継続。履歴書に空白期間がなかったためだ。
党は「本人からの申告がない限り、並行して行われていた職務や雇用契約書の存在を把握することは困難だった」と説明している。
破綻したAI企業オルツ、不正の渦中に在籍
山本氏が申告しなかったオルツは、AI議事録作成サービスで急成長し、2024年に東証グロース市場へ上場した企業だ。
しかし、上場からわずか半年後、証券取引等監視委員会の強制調査で不正が発覚。第三者委員会の調査で、2021年以降の売上高の最大9割、累計約119億円が循環取引による架空計上だったことが明らかになった。
山本氏が「営業責任者」として雇用契約を結んでいた2022年2月から8月は、後に判明する不正が行われていた期間に含まれる。
ただし、山本氏がオルツでどのような業務を担当していたか、入社の経緯や退職理由については、本人からの説明がなく明らかになっていない。
オルツは2025年7月に民事再生法の適用を申請して事実上倒産。元社長の米倉千貴容疑者ら旧経営陣4人は金融商品取引法違反の容疑で逮捕・起訴された。
ただ、チームみらいの安野党首は記者会見で、山本氏の不正への関与を明確に否定した。
記者からの「山本氏がオルツ社の粉飾決算に関わっていたと問題視されたのか」との質問に対し、「そこは明確にお答えすると、山本氏が、本人がオルツ社の中での粉飾決算に関わっていたかどうかは、党は一切感知していないです」と回答。
あくまで経歴の未申告が問題だという姿勢を崩さなかった。
発覚から24時間、なぜ申告しなかったのか
公認辞退までの対応は迅速だった。2月3日午後4時21分に党の問い合わせフォームに情報が寄せられると、党は同日夕方に本人へ事実確認。その場で山本氏から辞退の申し出があり、党は即日受理した。翌4日には安野氏が会見で公表し、総務省が比例名簿から山本氏を削除した。
なぜ、山本氏はオルツでの経歴を申告しなかったのか。
この点について安野党首は会見で「ご本人認識に関しては我々から申し上げられることは、憶測にどうしてもなってしまうので、ない」と述べるにとどめた。
山本氏本人からのコメントはなく、SNSアカウントも削除されており、動機は不明のままだ。短期契約で重要性が低いと判断したのか、あるいは不祥事を知り意図的に隠したのか、確認された事実はない。
党が繰り返し強調するのは「情報の透明性」の欠如だ。安野党首は「もし事前に通知されていたら、様々な事実関係を含めて確認した上で検討していた」と述べ、オルツ在籍の事実そのものではなく、それを開示しなかった姿勢を問題視した。
新興政党の課題浮き彫り
公認辞退が明らかになった後、SNSでは「経歴を隠すのがまずい」「よりにもよってオルツとは」といった批判的な意見が上がった。一方で、「隠蔽せず、早めに損切りして公表する判断は妥当だ」など、党の迅速な対応を評価する声もみられた。
今回の事態は、新興政党が直面する候補者選考の難しさも浮き彫りにした。公募を中心とする新興政党では、候補者の自己申告に頼る部分が大きい。特に、履歴書に現れない並行勤務のような経歴をどう把握するかは、今後の重い課題となる。
安野党首は会見で「チームみらいとしては、選挙中のこのような事態に際して可能な限り迅速に対応して、順次情報を公開させていただくことで、誠実に対応させていただきたい」と語った。山本氏の経歴未申告問題は、政治における透明性の重要性を改めて問いかける事態となるだろう。
[文/構成 by さとう つづり]















































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