谷本慎二氏 モームリ社長のその経歴 神戸学院大から大手前職を経て、退職代行業界最大手へ。華々しい成功から一転逮捕に至った背景

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退職代行「モームリ」社長、谷本慎二容疑者が弁護士法違反の疑いで逮捕された。神戸学院大学卒業後、大手サービス業で約10年勤務。自身の経験から退職代行事業に着目し、2022年に起業した。SNSを駆使した戦略で業界最大手へと急成長したが、報酬目的で顧客を弁護士にあっせんした疑いが持たれている。華々しい成功の裏で、司法のメスが入る事態となった。
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退職代行最大手「モームリ」社長、非弁提携の疑いで逮捕
本人に代わって勤務先に退職の意思を伝える「退職代行サービス」の最大手「モームリ」。その運営会社「アルバトロス」の社長、谷本慎二容疑者(37)と、妻で従業員の志織容疑者(31)が2026年2月3日、弁護士法違反(周旋)の容疑で警視庁保安課に逮捕された。弁護士資格がないにもかかわらず、報酬を得る目的で、退職希望者と勤務先との間で生じる法律事務を弁護士事務所にあっせんした疑いだ。
逮捕容疑は2024年7月から10月にかけて、退職希望者6人に関する法的な交渉を、提携する弁護士事務所に報酬目的で紹介したことによる。捜査関係者によると、同社はこれまでに約200人の顧客を弁護士に紹介し、数百万の紹介料を得ていたとみられる。
警視庁は、紹介を受けた側の弁護士2人と事務員についても、弁護士法違反(非弁提携)の容疑で任意で捜査を進める。業界のビジネスモデルそのものに、大きな影響を与える可能性がある。
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岡山から神戸、そして大手企業へ 谷本氏の歩み
谷本慎二容疑者は1989年2月1日、岡山県高梁市で生まれた。高校卒業後、2007年4月に神戸学院大学へ入学。在学中は居酒屋や古本の買取販売、レンタカー業など複数のアルバイトを経験したという。
大学を卒業した2012年4月、東証一部上場の大手接客・サービス業の企業に就職した。入社翌年の2013年には店長に昇格。その後も2015年に上席店長、2017年にはエリアマネージャーへと順調にキャリアを重ねた。首都圏を中心に6店舗の新店舗立ち上げ責任者を務めるなど、約10年間にわたり会社の中核として活動した。
しかし、本人は当時の環境を「かなり過酷なものだった」と語る。深夜勤務や緊急対応に追われる日々。会社の方針と自身の考えとの間にギャップを感じ、中間管理職としてのしがらみも抱えていた。同僚が次々と辞めていく状況を目の当たりにし、自身も退職を考えたが、そのたびに上司に引き留められ、辞めることの難しさを実感したという。
「これなら勝てる」退職代行との出会いと起業
転機は、前職の同僚から聞いた「退職代行サービス」の存在だった。その瞬間、「この事業で勝負できるのではないか」とひらめいたと、谷本容疑者は後のインタビューで語っている。サービス名「モームリ」もその時に思い浮かんだという。心身ともに疲れ果て、「もう無理だ」と感じる利用者の気持ちに寄り添うネーミングだった。
「自分の会社を作り、全ての責任を自分で負う」という決意のもと、2021年7月に約10年勤めた会社を退職。半年間の準備期間を経て、2022年2月1日に株式会社アルバトロスをたった一人で設立した。そして同年3月15日、退職代行サービス「モームリ」の事業を開始する。
当時の退職代行業界は、運営者の顔が見えにくく、どこか怪しい印象があった。谷本容疑者はそこに事業機会を見出す。自ら社長として顔を出し、YouTubeやX(旧Twitter)で積極的に情報発信。派手なテーマソングを流すアドトラックを渋谷や新宿で走らせるなど、徹底した広報戦略で透明性と信頼性をアピールした。この戦略が若者世代に受け、事業は爆発的に成長。サービス開始からわずか3年足らずで相談件数は4万件を超え、業界の最大手へと駆け上がった。
問われるビジネスモデル 捜査の焦点「非弁提携」とは
急成長の裏で、そのビジネスモデルの根幹が問われることになる。今回の逮捕容疑の中心は、弁護士法で禁止される「非弁提携(周旋)」だ。これは、弁護士資格のない者が報酬目的で法律事件をあっせんし、弁護士がそれを受けることを指す。
民間業者が行えるのは、本人の意思を伝える「使者」の役割まで。有給休暇の消化や未払い残業代の請求といった「交渉」は、弁護士でなければできない。モームリは、こうした交渉が必要な顧客を提携弁護士に紹介し、その見返りとして紹介料を受け取っていた疑いが持たれている。
報道によると、アルバトロス社は弁護士からの報酬を「広告業務委託費」や、同社が提携する「労働環境改善組合」への「賛助金」という名目で受け取っていた。警視庁は、組合を報酬の受け皿として利用し、違法性の発覚を免れようとしたとみている。捜査の端緒は2025年10月22日の家宅捜索。警視庁はアルバトロス社や提携先の弁護士事務所などを捜索し、押収資料の分析を進めていた。
「違法性ない」から一転 業界に広がる動揺
谷本容疑者は逮捕前、メディアの取材に対し、事業の適法性を繰り返し主張していた。2025年3月の朝日新聞の取材には「弁護士との間でお金の受け渡しはない」と非弁提携を否定。同年7月の読売新聞の取材でも「(業務では)通知役に徹しているので、非弁行為にはあたらない」と説明した。
しかし、今回の逮捕でその主張は覆された。業界の旗手であった「モームリ」の摘発は、同様のビジネスモデルを持つ他の退職代行業者にも大きな衝撃を与えている。「弁護士監修」をうたうサービスのあり方が、根本から問われる事態だ。
労働者が声を上げにくい社会構造を背景に需要を伸ばしてきた退職代行サービス。その急成長の影で、法律の境界線を越える行為が常態化していたのか。捜査の全容解明が待たれる。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

















































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