安青錦 驚異の経歴 ウクライナから来日3年半で新大関 双葉山以来89年ぶり快挙の21歳が綱取りへ

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ウクライナ出身、21歳の新大関・安青錦(あおにしき)が、2026年大相撲初場所で2場所連続優勝を達成した。新関脇から新大関での連続優勝は、1937年の双葉山以来89年ぶりの歴史的快挙である。2022年に戦禍を逃れて来日後、わずか3年半で角界の頂点に迫る。3月の春場所では、数々の最速記録が懸かる綱取りに挑む。
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新大関で賜杯、双葉山に並ぶ89年ぶり快挙
大相撲初場所は2026年1月25日に千秋楽を迎え、西大関の安青錦 新大(あおにしき あらた、本名ダニーロ・ヤブグシシン、安治川部屋)が2場所連続2度目の幕内最高優勝を果たした。本割で大関・琴櫻を破った後、12勝3敗で並んだ西前頭4枚目・熱海富士との優勝決定戦を首投げで制した。新大関での優勝は2006年夏場所の白鵬以来20年ぶり、史上9人目の記録となる。
特筆すべきは、前場所の新関脇での初優勝に続く、新大関での連続優勝である。この記録は、年2場所制だった1936年5月場所(当時の年2場所制における夏場所、新関脇)と1937年1月場所(当時の春場所、新大関)を制した「昭和の角聖」双葉山以来、89年ぶり史上2人目の歴史的な快挙となった。年6場所制が定着した1958年以降では初となる。
優勝から一夜明けた26日の会見で安青錦は、「うれしい気持ちもありつつ、ほっとした」と心境を語った。大関としての重圧は大きく、場所終盤は眠れない日々が続き、千秋楽前夜は食事が喉を通らなかったという。それでも重圧を力に変え、賜杯を手にした21歳は、早くも次なる高みを見据える。
戦禍の母国から3年半、驚異のスピード出世
安青錦の土俵人生は、激動の世界情勢と固く結びついている。2022年2月、ロシアによる軍事侵攻が母国ウクライナで開始。当時17歳だった安青錦は相撲を続けるため、同年4月に単身来日した。
知人を頼り、関西大学相撲部などで稽古を重ね、2022年12月に元関脇・安美錦が師匠を務める安治川部屋に入門。2023年9月場所で初土俵を踏むと、そこからの躍進は驚異的であった。序ノ口、序二段を全勝優勝で通過し、2025年3月場所で所要9場所というスピードで新入幕を果たす。
新入幕後も快進撃は止まらない。2025年は春場所から5場所連続で11勝以上の成績を残し、同年11月の九州場所では新関脇として12勝3敗で初優勝。ウクライナ出身力士として初の賜杯を手にし、場所後に大関昇進を確実にした。初土俵から所要14場所での大関昇進は、付け出し入門者を除いた年6場所制以降では、琴欧洲(現・鳴戸親方)の19場所を更新する史上最速記録である。
師弟の絆と盤石の相撲、数々の記録更新へ
安青錦の強さを支えるのは、師匠・安治川親方との絆と、低く鋭い前傾姿勢を貫く相撲だ。初場所の12日目からは、師匠が現役時代に使用していた黒の締め込みを譲り受けて土俵に上がった。安治川親方は「うれしい。一緒に戦っている」と語り、師弟で掴んだ2度目の優勝となった。
元大関・栃東の玉ノ井親方は、「立場は変わったけどスタイルを変えなかった。チャレンジャーのままだった」と安青錦の精神力を称賛する。看板力士としての重圧を感じながらも、得意の右四つ・寄りを中心とした自分の相撲を愚直に貫いたことが、歴史的快挙につながった。
初場所の表彰式では、前回優勝時に歌えなかった国歌「君が代」を斉唱する姿があった。九州場所後に練習を始め、歌詞の意味も勉強中だと語る真摯な姿勢は、土俵外でも彼の人間性を示している。
最速での横綱昇進へ、春場所で綱取りに挑む
2場所連続優勝という最高の結果を受け、安青錦は3月8日に初日を迎える春場所(エディオンアリーナ大阪)で横綱昇進に挑む。横綱審議委員会は昇進の内規を「大関で2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」と定めており、安青錦はすでに最有力候補である。
もし春場所で3連覇を果たし横綱昇進となれば、数々の記録が塗り替えられる。大関在位2場所での通過は双葉山、照国に並ぶ史上最速タイ。初土俵から所要16場所での昇進は、年6場所制以降(付け出しを除く)で史上最速となる。
八角理事長(元横綱・北勝海)は「立派だ。期待している」と述べ、高田川審判部長(元関脇・安芸乃島)も「楽しみで仕方がない」と大きな期待を寄せている。来日からわずか3年半余り。21歳の若武者は、戦禍の故郷に希望を届けるため、角界の頂点「横綱」へと突き進む。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]


















































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