大阪ラーメン「我道家」券売機の言語で値段2倍の二重価格で中国人客とトラブルに。何があったのか
議論呼ぶ「外国人料金」 その問題点と代替案
なぜ「外国人割増」は破綻するのか
今回の騒動は、インバウンド向けの価格設定、いわゆる「二重価格」の難しさを浮き彫りにした。国際関係ジャーナリストの木曽崇氏は、自身の専門家記事で「『外国人割増』という形での二重価格は、運用上必ず破綻する」と警告している。
木曽氏が指摘する問題点は、そもそも「外国人」を現場で正確に見分けることが不可能である点だ。今回のラーメン店は「日本語以外の言語画面を選択する=外国人」と想定したが、漢字を読める中国人客などの前ではその前提が崩壊した。外見や言語で国籍を判断することはできず、在日外国人との区別もつかない。「誰彼構わず『外国人ですか?』と聞けば差別問題になる」とし、運用設計の欠陥を個別の顧客排除で乗り切ろうとすれば、差別問題としてさらに炎上するリスクを招くと分析している。
過去の失敗事例 – 姫路城の教訓
実際に、「外国人料金」の導入を試みて断念した事例は過去にも存在する。姫路城は当初、外国人観光客の入場料を4倍に引き上げる案を検討したが、実務上の煩雑さから断念。最終的には「市外居住者の一律値上げ」と「市民料金の据え置き」という形で決着した。この事例は、「国籍」ではなく「居住地」で区分することの現実性を示唆している。
唯一の正解か?「居住者割引」という考え方
では、どのような手法が望ましいのか。木曽氏は、ハワイで定着している「カマアイナ割引」をモデルとした「居住者割引」を唯一の正解だと提唱する。これは、定価を高い方の価格(今回のケースでは2000円)に設定した上で、マイナンバーカードや運転免許証、在留カードといった居住を証明できるIDを提示した客に割引を適用するという仕組みだ。
この方式には、いくつかのメリットがある。
- 店側は「外国人かどうか」という困難な判断を迫られず、「IDをお持ちですか?」と聞くだけで済む。
- 割引を受けたい客側が自ら証明責任を負うため、店の負担が小さい。
- 国籍ではなく「居住」という客観的な事実に基づく区分であるため、国籍差別という批判を回避できる。日本に住む外国人も割引の対象となる。
この提案に対しては、「合理的だ」と評価する声がある一方で、「ラーメン一杯のために身分証明書を提示するのは現実的ではない」といった懐疑的な意見も見られる。
議論の行方と今後の課題
今回のラーメン店の騒動は、オーバーツーリズムやインバウンド消費のあり方が問われる中で、民間事業者が直面する課題を象徴する出来事であった。価格設定は事業者の自由な経営判断に委ねられるべきという意見がある一方で、その手法が差別的と受け取られれば、店の評判を大きく損なうリスクをはらむ。
問題の本質は「二重価格」そのものの是非よりも、その「運用方法」にあると言えるだろう。「外国人割増」という直接的な手法が招く摩擦を避けつつ、地域住民や国内の利用者に配慮した価格体系をいかに構築するか。「居住者割引」という考え方が一つの解決策として社会に受け入れられていくのか、今後の観光地や飲食店の対応が注目される。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]












































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