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18日夜にX(旧Twitter)不具合、原因はCloudflareか 多数のWebサービスに連鎖的影響

過去の教訓:一つのミスが連鎖する構造

Cloudflare自身も、過去に同様の障害を経験している。例えば2024年6月には、DDoS攻撃対策用の新しいコードに含まれていたバグが原因で、CPU使用率が異常に上昇し、世界的なサービス障害を引き起こした。この時は、特定の条件下でコードが無限ループに陥り、サーバーのリソースを使い果たしてしまった

また、同年11月には、ログ転送システムの設定ミスが引き金となった障害も発生している。わずか5分間の設定ミスが、潜在的なバグを誘発。システムが処理能力を大幅に超える負荷にさらされ、結果的に数時間にわたりログの約55%が失われた。同社はこの事態を「シートベルトはあったが、締めていなかった」と比喩し、安全装置の設定不備が原因であったことを事後報告書で認めている

単一障害点のリスク

このような事例はCloudflareに限らない。2024年7月には、サイバーセキュリティ企業CrowdStrikeのソフトウェアアップデートの不具合が原因で、世界中の航空会社、銀行、メディアなどのWindows搭載コンピューターがクラッシュし、社会インフラに甚大な影響を与えた。この一件は、多くの企業が一つのセキュリティソフトに依存することの危うさ、すなわち「単一障害点(Single Point of Failure)」のリスクを浮き彫りにした。

今回の障害もまた、Xを含む無数のサービスがCloudflareという単一のインフラに依存しているという、現代インターネットの構造的な脆弱性を改めて突きつけるものとなった。利便性と効率性を追求した結果生まれたこの集中構造は、ひとたび問題が発生すれば、その影響は瞬く間に世界中に拡散してしまうのである。

復旧は進むも、残された課題

Cloudflareの迅速な対応により、各サービスの機能は徐々に回復に向かっている。しかし、今回の障害は、私たちのデジタル社会がいかに脆い基盤の上に成り立っているかを再認識させる出来事であった。Xのタイムラインが止まった数時間は、単なる不便さだけでなく、社会や経済活動を支えるインフラの安定性という、より大きな問題を我々に問いかけている。今後、障害原因の完全な究明と、再発防止に向けた取り組みが求められることは言うまでもない。そして、利用者である我々もまた、この便利なデジタル世界が抱えるリスクを理解しておく必要があるだろう。

[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

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