MEDIA DOGS

新着記事

エヴァ×小泉進次郎“AI生成アニメ”がXで話題に!「真ん中をセンターに入れて中央へはズルい」

エヴァ×小泉進次郎“AI生成アニメ”がXで話題に!「真ん中をセンターに入れて中央へはズルい」

2025年11月上旬、X(旧Twitter)に投稿された一本の短い動画が、瞬く間に拡散した。それは、国民的アニメ『エヴァンゲリオン』の映像に、政治家・小泉進次郎の語り口を模した音声を重ねたAI生成アニメだった。投稿からわずか数時間でトレンド入りし、「天才の犯行」「これは反則だろ」といった絶賛の声が相次いでいる。

ネットを席巻した「謎のコラボ」

動画の内容はこうだ。緊迫したBGMと共にエヴァンゲリオン初号機が出撃する。そこに重なるのは、「この戦いに勝つためには、勝たなければならないんです」といった、小泉進次郎特有の言い回し、通称「進次郎構文」だ。シリアスな世界観と、トートロジー(同語反復)的でどこかユーモラスな構文とのギャップが、多くのユーザーの笑いを誘った。

X上では、「腹筋が崩壊した」「発想が神がかってる」といったコメントが溢れかえった。特に、作戦司令室のシーンで「真ん中をセンターに入れて中央」という、いかにもありそうなセリフが流れる場面は、「完璧すぎる」「ズルい」と大きな反響を呼んでいる。

なぜウケた? パロディと「進次郎構文」の絶妙な化学反応

「進次郎構文」は、以前からネット上で人気のコンテンツだった。言語学者が「主語を補えば意味が通る」と分析するように、一見すると意味不明でも、文脈次第で不思議と説得力を持ってしまう奇妙な魅力がある。今回の動画は、その「どんな状況にも当てはまる」という特性を最大限に活かしたパロディと言えるだろう。

さらに、この現象の背景には、動画生成AI技術の急速な進化がある。かつては専門的な知識が必要だった映像編集や音声合成が、今や誰でも手軽に試せるようになった。今回の動画も、OpenAI社が開発した「Sora 2」が使われているようだ。この技術的土壌が、クリエイターの突飛なアイデアを形にし、新たな笑いを生み出す起爆剤となったのだ。

笑いの裏に潜む著作権の影

一方で、この盛り上がりをめぐっては、法的な観点から懸念を示す声も上がっている。多くの人がネタとして楽しむ一方で、「AI生成物と著作権」「政治家の肖像権」という二つの論点が指摘されている。

AI生成物と著作権

まず挙げられるのが、著作権の問題だ。動画内では『エヴァンゲリオン』の映像や世界観を想起させる要素が使われており、こうした既存作品との「類似性」や「依拠性」が認められた場合、著作権侵害に該当する可能性があると専門家は指摘する。

実際、最近では動画生成AI「Sora 2」が既存のアニメ作品に酷似した映像を出力したとして、日本漫画家協会や大手出版社などが「著作権侵害を容認しない」との共同声明を発表している。

AIによる無断学習や、既存作品をベースにした生成物への懸念は、業界全体で高まっているといえる。

政治家のパロディと肖像権

もう一つの論点は、小泉進次郎氏本人の肖像権や音声の権利(パブリシティ権)についてだ。

政治家は「公人」として一定の風刺・批評が許容される立場にあるが、無制限に肖像や声を模倣してよいわけではない。特に、商業利用や名誉を損なうような内容の場合は、権利侵害にあたる可能性もあるとされる。

海外では、AIによる政治家の“偽動画”を巡る訴訟も起きており、表現の自由とのバランスをどう取るかが議論になっている。日本でも同様の問題が注目されつつあり、今後は法的な整理が進む可能性が高い。

創作の未来はどこへ向かうのか

今回の「エヴァ×進次郎」動画は、AIがもたらした新しい創作の形を象徴すると同時に、著作権・肖像権・表現の自由といった複雑な課題を浮き彫りにしたとも言える。

クリエイティブな発想や遊び心は尊重されるべきだが、その裏には他者の権利や倫理への配慮も求められる。技術の進化が加速する今、「どこまでが許される表現なのか」「どこからが他者の権利の侵害なのか」――。

この議論は、今後ますます社会全体で問われていくテーマとなりそうだ。

[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

コメントはこちら

*
*
* (公開されません)

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

Return Top