あなたの“推し語”は?“エッホエッホ”“ミャクミャク”…2025年流行語ノミネート30語を読み解く
ネットから生まれた「文化・エンタメ」の光
重苦しい話題が続くなか、文化やエンターテインメントの世界からは明るい光も差し込んだ。その筆頭が「エッホエッホ」だ。地面を走るメンフクロウのヒナの写真に添えられたこの擬音は、Z世代を中心に爆発的に拡散。「エッホエッホ、〜だって伝えなきゃ」という構文は、企業アカウントも巻き込む一大ミームへと発展した。
大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」も、今年の顔と言える存在だ。当初は「気持ち悪い」といった否定的な反応も目立ったが、イベントへの露出が増えるにつれて「きもかわいい」と評価が一変。関連グッズは飛ぶように売れ、今や「ミャクミャクならなんでも売れる」とまで言われる人気キャラクターへと成長した。そのほか、3時間近い上映時間にもかかわらず「国宝(観た)?」が合言葉になるほど社会現象となった映画『国宝』もノミネートされている。
変化する社会と「新しい日常」
社会構造や価値観の変化を映し出す言葉も多い。新聞やテレビを指す「オールドメディア」は、SNSの台頭によりその影響力や報道姿勢が改めて問われた一年を象徴する。一方で、SNSの情報を鵜呑みにすることへの警鐘も含まれており、メディアとの付き合い方を考えさせられる言葉だ。
自然環境の変化も深刻だ。春と秋が短くなり、まるで夏と冬だけになったかのような気候を表す「二季」や、人里への出没が相次ぎ、市街地での銃猟を可能とする制度「緊急銃猟/クマ被害」は、もはや無視できない環境問題を私たちの日常に突きつけた。また、1990年代後半〜2000年代初頭の少女文化を懐かしむ「平成女児」は、平成レトロブームの一環として、世代を超えた共感を呼んだ。
SNSの反応と世間の温度差
ノミネート語の発表を受け、SNSでは早速さまざまな反応が飛び交っている。「『エッホエッホ』は毎日使った」「『ミャクミャク』は今年一番の推し」といった共感の声がある一方で、こんな意見も見られる。
「半分くらい知らない言葉だった…」
「本当に流行ったの?周りで使ってる人いないけど」
「毎年思うけど、誰が選んでるんだろう」
こうした「ピンとこない」という感覚は、メディアや世代、コミュニティによって流行が細分化されている現代ならではの現象かもしれない。誰もが知る国民的流行語が生まれにくくなった時代において、ノミネート語は、むしろ多様な文化の存在を可視化する役割を担っているとも言えるだろう。
言葉は時代を映す鏡
選考委員会が「本年度はスポーツ関連の言葉が少ない珍しい年」と分析するように、2025年は社会全体を熱狂させる大きなスポーツイベントが少なかった。その代わりに、私たちの生活に根差した切実な問題や、個人の「好き」を起点とした小さなブームが言葉として結晶化した一年だったのかもしれない。
これらの言葉は、単に消費されて消えていくものではない。2025年という時代に、私たちが何に悩み、何に心を動かされたのかを記録する貴重な指標だ。年間大賞とトップテンの発表は12月1日。どの言葉が今年の顔として選ばれるのか、注目が集まる。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

































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