2025年9月、ある人気YouTuberの宣言が日本中を揺るがした。
炎上の渦中、ヒカルが投じた一石
事の発端は2025年9月14日。人気YouTuberのヒカルが、妻で実業家の進撃のノアと共に「オープンマリッジ」を選択したと動画で発表したことだった。
オープンマリッジとは、夫婦が互いの合意のもとで、配偶者以外の人物との恋愛や性的関係を認め合う結婚の形を指す。
ヒカルは動画の中でと自身の願望をストレートに語った。この「正直すぎる」宣言は、瞬く間にネット上で拡散され、賛否両論――いや、主に「否」の嵐を巻き起こした。発表後、彼のYouTubeチャンネル登録者数はわずか数日で19万人以上も減少する事態となった。
「オープンマリッジ」が揺るがす日本の結婚観
ヒカルの宣言は、単なる個人のスキャンダルにとどまらず、日本の社会が長年培ってきた結婚観そのものに疑問を投げかける形となった。
法と倫理の壁:合意は「免罪符」になるか?
そもそも「オープンマリッジ」は、日本の法律で定められた制度ではない。弁護士ドットコムニュースの取材に対し、冨本和男弁護士は、たとえ夫婦間で合意があったとしても、不貞行為は民法770条1項1号で定められた離婚原因に該当し、慰謝料請求が認められる可能性があると指摘する。裁判所がオープンマリッジの合意を有効と認めれば、日本の法体系の根幹である一夫一婦制を揺るがすことになりかねないためだ。
つまり、当事者間の「合意」は、法的な「免罪符」にはならない可能性が高い。この事実は、自由な関係性を標榜するオープンマリッジが、現行の法制度や社会倫理と相容れない側面を持つことを示している。
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