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MAPPA × 吉原達矢監督の覚悟。“破滅的ロマンス”で挑む『チェンソーマン レゼ篇』とは?

(C)藤本タツキ/集英社・MAPPA

2025年9月19日、一本の映画が全国のスクリーンで公開される。藤本タツキ原作による劇場版『チェンソーマン レゼ篇』だ。原作ファンの間で「最も切ない」と語り継がれるエピソードが、アニメ制作会社MAPPAと俊英・吉原達矢監督のタッグによって描かれる。これは単なる人気漫画のアニメ化ではない。制作体制から音楽、そして描かれる物語に至るまで、作り手たちの並々ならぬ“覚悟”が透けて見える一大プロジェクトである。

制作陣の覚悟―MAPPAの挑戦と吉原達矢監督の抜擢

本作を語る上で欠かせないのが、制作会社MAPPAの特異なスタンスだ。2022年のテレビシリーズ放送時、MAPPAは通常のアニメ制作で主流の「製作委員会方式」を採用せず、100%自社出資で制作に踏み切った。これは、複数の企業でリスクを分散するのではなく、すべての責任を自社で負うことを意味する。その覚悟は劇場版にも引き継がれていると見ていいだろう。

その覚悟を映像に昇華させるのが、新たに監督として抜擢された吉原達矢氏だ。テレビシリーズではアクションディレクターとして、キャラクターが縦横無尽に暴れ回る圧巻の戦闘シーンを演出し、視聴者の度肝を抜いた。しかし、彼の本領はアクションだけではない。『ブラッククローバー』で長期にわたり監督を務め、若くしてその才能を証明してきた実力者である。テレビシリーズの中山竜監督からバトンを受け継いだ吉原監督が、原作の持つ暴力的な描写と、レゼ篇の中心にある繊細な感情表現をどのように調和させていくのか。その手腕に大きな注目が集まっている。

主題歌とエンディング―豪華コラボが彩る“切なさ”

作品の世界観を決定づける音楽もまた、異例の布陣となった。主題歌は、テレビシリーズのオープニング「KICK BACK」で社会現象を巻き起こした米津玄師が続投し、「IRIS OUT」を手掛ける。

しかし、本当の衝撃はエンディング・テーマにあった。米津玄師が作詞作曲し、歌唱に宇多田ヒカルを迎えるという、日本の音楽シーンを揺るがすコラボレーションが実現したのだ。楽曲名は「JANE DOE」。この発表はSNSを席巻し、「夢の共演」「これだけで映画館に行く価値がある」といった興奮の声が溢れた。

米津は「作っていくうちにどうも宇多田さんしかありえないという気持ちになった」と語り、宇多田も「互いの新たな一面が現れたことを感じてもらえたら」とコメントを寄せている。 この二人の才能が、デンジとレゼの儚い物語をどのように彩るのか。期待は高まるばかりだ。

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