一意、地元・大阪の舞洲巡業で高安と稽古「地元だったので声援もあった」 大阪市港区出身の十両

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大相撲の秋巡業「令和8年秋巡業大相撲おおさか舞洲場所」が10月17日、大阪市此花区のおおきにアリーナ舞洲で行われ、大阪市港区出身の十両・一意(かずま=24、木瀬部屋)が地元の土俵に立った。申し合い稽古で8番取ったあと、元大関の幕内・高安(36、田子ノ浦部屋)に長いぶつかり稽古で胸を出してもらい、泥だらけになって最後まで押し続けた。稽古後は「地元だったので声援もあった。何とか最後までやれました」と大阪のファンに感謝した。
舞洲の土俵で元大関の胸を借りた24歳
おおさか舞洲場所は、10月6日に茨城県つくば市で始まった秋巡業の一つで、会場は大阪市此花区北港緑地2丁目のおおきにアリーナ舞洲。9時に開場し、力士4人との記念握手会、公開稽古、子どもが関取に挑む稽古相撲、幕下以下の取組と続き、幕内の取組と弓取り式で14時30分ごろに打ち出しとなる予定の1日だった。
大阪市も開催を後押しした。市は5月に市内在住者を対象にした50組100人の無料招待と、市内に在住・在勤・在学する人を対象にした5000席の市民先行販売を行い、7月には大阪市立小学校に通う小学生と保護者100組200人の無料招待も募っていた。
一意が最初に取り組んだのは申し合い稽古。勝った力士が次の相手を指名して取り続ける稽古で、ここで8番取った。続いて土俵に呼ばれたのが高安だ。
ぶつかり稽古は、胸を出す側の力士に向かって何度も当たり、押し、転がされては立ち上がる稽古になる。胸を出したのは、大関経験者で現在も幕内に座る36歳のベテラン。茨城県土浦市出身の高安は、10月6日に隣のつくば市で秋巡業が始まった際、自身も地元ファンから大きな声援を受けた。9月の秋場所では4日目に横綱・大の里から金星を挙げ、7勝8敗で15日間を取り切っている。その重い体を息も絶え絶えに押し続け、一意は泥だらけになりながら何度も当たっていった。
「地元だったので声援もあった。何とか最後までやれました」。苦しい稽古を終えた一意は、地元ファンの応援に感謝した。報道によると、会場のおおきにアリーナ舞洲は実家から車で15分ほどの近さだったという。
関取にとって、巡業は他の部屋の関取と肌を合わせられる貴重な機会になる。一意は巡業のテーマについて「普段できない経験ができる。みなさんに稽古を買ってもらえるよう、モノにしていかないと」と話した。
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港区の波除公園から始まった相撲人生
一意は本名を川渕一意といい、2001年11月12日生まれ。身長185センチ、体重202キロの大型力士で、突き、押し、左四つからの寄りを得意とする。
相撲を始めたのは7歳のとき。大阪市港区役所によると、きっかけは小学校で配られた「わんぱく相撲」のチラシだった。小学生のころは港区の波除公園で、元力士の兄と2人で四股を踏み、すり足を繰り返したという。
小学4年で全国大会を制すると、中学から石川県へ相撲留学した。金沢学院高校(現・金沢学院大学附属高校)では高校2年で全国選抜大会に優勝し、3年時には世界ジュニア選手権重量級を制するなど、高校時代に5つのタイトルを手にした。日本大学文理学部に進むと1年から主力を務め、1年と3年の全国学生選手権(インカレ)団体戦で優勝に貢献。4年時には国体でも優勝し、2024年に卒業した。
日大を選んだ理由は、大阪にあった。高校3年のとき、大阪で開かれたインカレを見に行き、日大が優勝する姿に「かっこいいな」と感じたことが進学の決め手になったと、日本大学のインタビューで明かしている。
しこ名の「一意」は下の名前そのもの。当時、長兄が「川渕」のしこ名で土俵に上がっていたため、自分は下の名前を選んだ。好きな言葉は「一意専心」で、1つのことにひたすら心を集中するという意味に引かれたという。
右ひざの大けがから十両優勝、そして新入幕
プロの道は、つまずきから始まった。
日大卒業後に木瀬部屋へ入門し、2024年7月の名古屋場所で幕下最下位格付け出しとして初土俵を踏んだが、その場所の5番目の取組で右ひざの前十字じん帯を断裂。5場所続けて休場し、番付は序ノ口まで下がった。
2025年5月場所で土俵に戻ると、序ノ口で全勝優勝。序二段は6勝1敗で通過し、三段目、幕下でも全勝優勝を飾る。2026年1月の初場所で新十両となり、その初場所は西十両14枚目で8勝7敗と勝ち越した。3月の春場所は東十両11枚目で10勝5敗、5月の夏場所は東十両6枚目で12勝3敗の成績で十両優勝を果たした。
地元も沸いた。夏場所の千秋楽翌日の5月25日、大阪市港区役所は公式Xで「大阪市港区出身の大相撲力士 一意(かずま)関」の十両優勝を祝い、6月19日には一意が港区役所を表敬訪問した。区役所の応接室で区長と歓談した一意は、子どもたちに向けて「自分がここまで来れたのは周りの方々の助けがあり、夢を追いかけ続けたからだ」と語りかけ、区からは十両優勝を記念した花束が贈られている。
7月の名古屋場所では西前頭15枚目で新入幕を果たした。初土俵から2年での入幕だった。9月6日には東京都墨田区の東武ホテルレバント東京で幕内昇進を祝う会が開かれ、木瀬親方や部屋の先輩の宇良、美ノ海、金峰山とともに舞台に立った一意は、再入幕へ「頑張る」と誓った。
弟は日本ミドル級王者、兄弟で刺激し合う
この日の舞洲には、もう1人の「川渕」の姿があった。三男でプロボクシングの日本ミドル級王者、川渕一統(かずさ=21、ABCジム)だ。
一統は8月16日、東京・後楽園ホールで日本ミドル級王者の竹迫司登に挑み、7回TKO勝ち。WBOアジアパシフィック同級王座も手にし、プロ5戦目で2冠王者となった。所属するABCジムは大阪市大正区にあり、ジムにとっても初めての王座獲得だった。
一意はこのタイトル戦を夏巡業中で会場では見られなかったが、弟の活躍は刺激になった。今回は立場が入れ替わり、弟が地元の会場で兄の稽古を見届けた。3人兄弟の長兄・一誠も元幕下力士で、兄弟3人が土俵とリングで腕を磨いてきた大阪の「格闘一家」だ。
2場所連続の負け越しから九州場所へ
新入幕の名古屋場所は5勝10敗と大きく負け越し、9月の秋場所は西十両2枚目に下がって6勝9敗。2場所続けて負け越した。舞洲での稽古には、ここから流れを変えたいという思いがある。
秋巡業は10月25日の山口県宇部市まで続き、11月の九州場所の番付は10月26日に発表される。高安の胸を最後まで押し続けた地元の土俵を足がかりに、一意は再入幕への道を探る。
[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]














































































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