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はるな愛、地元大阪・扇町キネマで『となりのとらんす少女ちゃん』舞台挨拶 実母オマージュの母親役

はるな愛、地元大阪・扇町キネマで『となりのとらんす少女ちゃん』舞台挨拶 実母オマージュの母親役

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

タレントのはるな愛(54)が10月13日、大阪市北区の扇町キネマで開かれた映画「となりのとらんす少女ちゃん」の大阪先行上映会に登壇した。演じたのは主人公の母親で、自身初の母親役。役作りでは実の母を思い浮かべて演じたと明かし、客席にはその母本人の姿もあった。映画は11月7日から全国で順次公開され、関西では11月27日から上映が始まる。

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扇町キネマに主演・中川未悠、東海林毅監督と並ぶ

舞台に立ったのは、主演の俳優・中川未悠(31)、脚本と監督を手がけた東海林毅監督(52)、そしてはるなの3人だった。会場の扇町キネマは、大阪市北区南扇町6-26の複合文化施設「扇町ミュージアムキューブ」の中にあるミニシアターで、施設は2023年10月に開業した。ドキュメンタリーやインディーズ、アート系の作品を得意とする大阪市内のミニシアター、第七藝術劇場を映画の番組編成のパートナーに迎えている。館の上映案内には、10月13日の枠に「プレミアム上映」として本作が載っていた。

大阪府出身のはるなにとって、地元での凱旋イベントとなった。客席には実母や母の友人に加え、若い頃に働いていた大阪の老舗ニューハーフ・ショーパブ「冗談酒場」の仲間も駆けつけた。顔なじみがずらりと並ぶ客席を見渡し、はるなは「客席がクセ強」と笑い、「負けたらアカン」と自分に気合を入れた。

家族や冗談酒場の仲間らが見守る、アットホームなイベントになった。

母親役の打診に「やりたいと思いました」

原作は、大阪で暮らすトランスジェンダー当事者の漫画家・とら少の短編漫画集「となりのとらんす少女ちゃん」(在野社)に収められた一編「未来から来たとらんすちゃん」だ。シングルマザーの母と二人で暮らす中学2年生のユウタ(髙橋蒼太)の前に、10年後の未来から来たと名乗る女性ユウカ(中川未悠)が現れる。ユウカは性別適合手術を受けた未来のユウタ自身で、一刻も早く性別移行を始めるよう迫るが、ユウタは強引な彼女に反発する。ユウタの14歳の誕生日にある事件が起き、ユウタは未来への選択を迫られる。上映時間は72分だ。

はるなが演じたのは、このユウタの母親になる。東海林監督は中川を主演に決めたあとで、はるなに母親役を打診した。はるなは「やりたいと思いました。次、お母さん役(いつ)来るか分からへんから」と、すぐに引き受けたという。

舞台上では、はるなが監督に「どうして私に母親役を?」と逆に質問する場面もあった。監督の答えは、以前の作品の上映会で会ったときに「この人やと、その場で」決めたというもの。これを受けたはるなは「いつも12歳のイメージでかわいくやってるけど、お母さん感出てました?」と苦笑いし、さらに「ちょっと頑張って太って役作りしました」と明かして監督を苦笑させた。

実母に重ねた、いつも笑顔の母親像

念願の母親役でうれしかった一方で、子どもを育てたことがないだけに「できるかな」という気持ちもあった。はるなは役を受けたときの気持ちをそう語った。手がかりにしたのは、実の母の姿だった。

はるなの説明では、子どもの頃の自分を母はなかなか理解できなかったのではないかという。男性が女性として生きることが「変わってる」と見られがちな時代だったからだ。それでも母は、どんなことがあっても、ぼんやりと笑顔でいた。はるなはそこに重ね、子どもの将来に戸惑いながらも見守る母親として役をつくった。実の母に「寄せて」演じたと、はるなは明かしている。

母との関係には、長い時間がかかった。はるなは2018年1月のTBS系「ビビット」で、15歳の時に両親へ「女の子になりたい」と打ち明けたあと、母とほとんど言葉を交わさない時期が2年ほど続いたと涙ながらに語っている。転機は18歳の時、大阪のバラエティー番組の企画で実家に帰り、母と向き合ったことだった。母は2018年の「ビビット」で当時を思い返し、生き生きと暮らすわが子の姿を見て自分の気持ちも楽になったと振り返っている。2026年2月10日に配信が始まったNetflix映画「This is I」は、はるなの半生をもとにした作品で、80年代の大阪で育った少年が自分らしい生き方を探す姿を描いた。

その母が、この日は客席の2列目に座っていた。

客席の母へ「私の演技は?」

トークの途中、はるなは客席の母に向かって映画の感想を尋ねた。母は、ユウタが明るく自分らしく生きる道を選ぶところがとてもよかったと答える。はるなは「そこで救われたんや」と受け止めた。

ところが、続けて「私の演技は?」と聞くと、母は数秒黙り込んでしまう。はるなはその反応を見て、演技はいまひとつだったのかと自分で答えを引き取り、会場の笑いを誘った。

神戸市出身の中川も、関西の言葉で場を沸かせた。全編が大阪弁の作品で、神戸の言葉とは微妙に違うと戸惑ったことを明かし、「神戸の人、おつり何百万円とか言わへんし」と話すと、はるなが「ディスってる?」とツッコむ。年齢の話題では、はるなが「お母さんくらいの年やからね」と振り、中川が笑顔だけで返すと「イジってる?」とさらに重ねた。

「となりの出来事」と呼びかけ、関西では11月27日から

笑いの多いイベントだったが、作品の根っこにあるテーマは「自分らしく生きる」ことだ。自身も性的マイノリティーの当事者の一人だという東海林監督は、LGBTQを扱う映画は真面目でシリアスなものが多いとして、暗い話よりも明るい話を探していたところで原作に出会ったと話した。撮影は、原作者のとら少が長く暮らした大阪・西成でも行った。とら少は作品の発表時、映画の舞台になった大阪の下町を「私の地元」と紹介している。

はるなは観客に向けて、タイトルにあるとおり「となりの」出来事だと思うと語りかけた。身近にいろいろな家庭とそれぞれの事情があり、誰もが不安になる。「作品を通じて、隣りの出来事なんだっていうことをもっと感じてもらえたら」と呼びかけ、最後は客席の母の言葉を借りて「その子が自由に生きられるような未来、そこをほんとに願って」と締めくくった。

映画は11月7日に東京の新宿K’s cinemaで公開が始まる。関西では11月27日から大阪のあべのアポロシネマ(1週間限定)と京都の出町座、28日から大阪の第七藝術劇場と神戸の元町映画館で上映が予定される。扇町キネマと番組編成で手を組む第七藝術劇場での上映も控え、地元・大阪での上映はこれから本格的に始まる。

[文/構成 by エンタメライター 和泉ユウスケ]

寄稿者

和泉ユウスケ
映画とアニメのことばかり書いているライターの和泉です。Webメディアで映画レビューを書き始めて9年になりました。深夜アニメは毎クール20本前後を追いかけ、映画館には月に数回、公開初日にもよく出没します。公開日・配信日・キャスト情報は正確に、ネタバレには慎重にお届けします。

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