ユーリ阿久井政悟、11月29日東京でヒメネスに挑戦 WBAが選択防衛戦を特別許可

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元WBA世界フライ級王者のユーリ阿久井政悟が、11月29日に東京でWBA世界スーパーフライ級王者デビッド・ヒメネス(コスタリカ)に挑む。WBAは現地時間10月12日(日本時間13日)、ヒメネスが指名挑戦者との試合より先に阿久井と選択防衛戦を行うことを特別に許可した。阿久井は世界2階級制覇がかかる。
WBAが認めた「ヒメネスの選択防衛戦」
世界ボクシング協会(WBA)は現地時間10月12日、スーパーフライ級王者デビッド・ヒメネス(34)=コスタリカ=に対し、11月29日に東京で日本のユーリ阿久井政悟(31)=倉敷守安=を相手にした選択防衛戦を特別に許可すると発表した。日本時間では13日にあたる。
選択防衛戦は、王者側が対戦相手を選んで行う防衛戦のことだ。団体が順番に指名する「指名挑戦者」との試合とは別の枠になる。今回の一戦はあくまでヒメネスの王座防衛戦で、阿久井は挑戦者の立場でリングに上がる。
阿久井はWBAスーパーフライ級2位にランクされている。戦績は27戦23勝(13KO)3敗1分。勝てば2025年3月まで持っていたフライ級に続き、2階級目の世界王座を手にする。
なぜ「特別」な許可なのか
ヒメネスには、先に果たすべき義務があった。WBAは9月18日付で、同級1位のジョン・ラミレス(米国)との指名試合を命じていた。交渉期間は10月18日まで。規則では、指名試合の期限が切れる前の60日間、王者は公式挑戦者以外の選手と戦えないことになっている。
その指令の直後、9月22日に動いたのがヒメネス側の帝拳プロモーションだった。ヒメネスの代理として、阿久井との選択防衛戦を特別に認めるよう申請したのだ。
ラミレスと契約するゴールデンボーイ・プロモーションズは、指名試合の交渉が進んでいることを理由に反対した。WBAは両陣営の主張と規則を検討したうえで、正当な事情がある場合には指名試合の期限を変え、特別許可を出す権限があると判断。阿久井戦を先に行うことを認めた。
ただし、条件が付く。ヒメネスと阿久井の勝者は、試合日から120日以内にラミレスとの指名防衛戦に臨まなければならない。引き分けの場合も、ヒメネスが同じ期限内にラミレス戦を行う義務を負う。ラミレス側にはその間、タイトルのかからない試合に出ることが認められた。
つまり、11月29日に阿久井が勝って新王者になれば、遅くとも2027年3月下旬までにラミレスとの初防衛戦が待つ計算になる。
王者ヒメネスと阿久井をつなぐ「ダラキアン」
ヒメネスは「メダジータ」の愛称を持つコスタリカの選手だ。戦績は19戦18勝(12KO)1敗。この唯一の黒星が、阿久井と不思議な縁でつながっている。
2023年1月、ヒメネスはロンドンでWBAフライ級王者アルテム・ダラキアン(ウクライナ)に挑み、115-113が2者、116-112の0-3判定で敗れた。終盤は王者を追い込む場面もあったが、ベルトには届かなかった。
そのダラキアンを1年後に破ったのが阿久井だ。2024年1月23日、エディオンアリーナ大阪で7度目の防衛を狙う無敗の王者に挑み、116-112、117-111、119-109の3-0判定で勝ってWBA世界フライ級王座を奪った。倉敷守安ジム、そして岡山県のジムから初めて世界王者が出た瞬間だった。
リング上で阿久井は「守安ジム3度目の正直ということで守安会長に巻いてもらいたい」と話し、手にしたベルトを守安竜也会長に巻いている。
ヒメネスはその後スーパーフライ級に上げ、2024年4月20日(現地時間)にニューヨーク・ブルックリンで行われたデビン・ヘイニー対ライアン・ガルシアの前座で、今回の指名挑戦者でもあるラミレスと暫定王座を争った。スコアは117-111が2者、116-112。3-0判定で勝ち、ベルトを手にした。暫定王座は2度防衛し、2度目の防衛戦となった2025年7月のキルギスでの試合では、健文トーレス(TMK)を11回KOで退けている。
正規王者に上がったのは2026年6月。WBA王者だったジェシー・ロドリゲス(米国)がバンタム級へ上げるため王座を返上し、ヒメネスが繰り上がった。
寺地拳四朗戦の敗戦から再起2連勝
阿久井はフライ級王者として、2024年5月の東京ドーム、10月の有明アリーナと防衛を重ね、2025年3月13日には両国国技館でWBC王者・寺地拳四朗とのフライ級王座統一戦に臨んだ。
11回終了時点の採点は、3人のジャッジのうち2人が105-104で阿久井を支持していた。しかし最終12回、寺地の右ショートから連打を浴び、1分31秒でレフェリーが止める。TKO負けで王座を失った。
試合後のコーナーで阿久井は泣いた。翌日の会見では「打たれていたから、しょうがないかな。ストップに異論はない」と判断を受け入れ、勝敗の分かれ目を「経験と引き出しの差」と語っている。
再起戦は2025年12月17日。両国国技館で51.5キロ契約の8回戦に出て、フィリピンのヴィンセント・ラカールを3回54秒KOで沈めた。続く2026年6月6日の後楽園ホールでは、スーパーフライ級の10回戦でフィリピンのローリンツ・ビアソンに5回59秒TKO勝ち。新しい階級で再起2連勝とした。
ビアソン戦の前日計量では「ここで勝って年内にスーパーフライ級で世界再挑戦して世界王座返り咲きを目指します」と話していた。試合後には「次にでも世界戦をという気持ちです。やるしかないですよ」と口にしている。年内の世界再挑戦という目標は、11月29日の東京で形になる。
会場・同日カード・中継はまだ発表前
10月14日朝の時点で、11月29日の試合会場、同じ日に行われるほかのカード、テレビ中継や配信の有無は発表されていない。正式な発表は14日正午に予定されている。
阿久井の直近3試合は、いずれもU-NEXTが配信する興行だった。ただ、11月29日の中継・配信先は決まり次第の発表を待つ必要がある。
勝者を待つのは、ラミレスとの指名防衛戦だ。ラミレスは2024年4月にヒメネスに敗れたのが唯一の黒星で、戦績は18戦17勝1敗。阿久井にとっては、王座を取った先にもう一つ大きな試合が控える。
フライ級で岡山県のジムに初の世界王座をもたらした31歳が、1階級上げて再び世界のベルトに挑む。ダラキアンを破った阿久井と、ダラキアンに敗れたヒメネス。2人の差がどこに出るのか、11月29日にはっきりする。
[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]












































































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