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栗原悠輝、アジア大会ぷよぷよで金メダル 11歳でアジア大会史上最年少のメダリスト、東京ヴェルディ所属の日本選手団最年少は何者?

栗原悠輝、アジア大会ぷよぷよで金メダル 11歳でアジア大会史上最年少のメダリスト、東京ヴェルディ所属の日本選手団最年少は何者?

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愛知・名古屋アジア大会のeスポーツ「ぷよぷよeスポーツ」で9月26日、日本選手団最年少の栗原悠輝(11)=東京ヴェルディeスポーツ=が金メダルを手にした。決勝で韓国のカン・ドンシンを10-2で破り、11歳3か月でアジア大会史上最年少のメダリストとなった。4月に小学生初のプロとなった小学5年生で、正式競技のeスポーツで日本勢初の金だった。

決勝は韓国のカン・ドンシンに10-2、1本目を落としてから5連取

舞台は愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)。ぷよぷよは9月24日にグループステージ、26日に決勝トーナメントが組まれた。

5人で争うA組の栗原は、24日に4戦全勝で首位通過した。初戦でフィリピンの選手を3-0で下し、カザフスタンの選手にも勝利。3戦目では韓国のカン・ドンシンを3-1で退け、香港の選手にも勝った。グループステージで栗原から1ゲームを奪ったのは、このカンだけだった。

26日の準々決勝はシンガポールのコー・ムン・ジューン・ジャスティンに5-0。この勝利で銅メダル以上が決まり、大会最年少メダリストの記録はこの時点で塗り替わった。準決勝は準々決勝の倍の10ゲーム先取に変わる長丁場だったが、タイのウォンキティクン・タナラックを10-1で退ける。

決勝の相手は、A組を2位で抜けたカンとの再戦。1ゲーム目は細かく消して攻めるカンに先取を許した。だが2ゲーム目に15連鎖を決めて1-1とすると、6ゲーム目まで5ゲームを連取して5-1。途中には相手に全消しを決められながら取り返したゲームもあった。7ゲーム目を落としても流れは変わらず、10-2で頂点に立った。

勝った直後も、栗原は表情をほとんど変えなかった。日の丸を身にまとって取材エリアに現れると、「めちゃくちゃうれしい。決勝では強い人と当たりたいと思っていた。強い人にあたって1本目とられてまずいと思ったけど、しっかり勝てて優勝できてうれしい」と語り、喜びを表に出さなかった理由は「恥ずかしくて」と明かしている。

11歳3か月、何が「史上最年少」なのか

2015年6月18日生まれの栗原は、決勝の9月26日時点で11歳3か月。日本選手団で最も若い代表選手だ。

これまでのアジア大会最年少メダリストは、2018年ジャカルタ大会のスケートボード女子ストリートで銅メダルを取ったインドネシアのブンガ・ニマス・チンタで、当時12歳だった。栗原は準々決勝の勝利でメダルを確定させた段階でこの記録を更新し、決勝にも勝って金メダリストとしても大会史上最年少になった。

同じ会場では前日の9月25日、スケートボード・パークで15歳の日本勢が男女そろって金メダルを取っていた。男子は白馬中学校3年の永原依弦が予選3位から2本目の88.96点で逆転し、女子は長谷川瑞穂が制した。10代前半から半ばの選手が表彰台の真ん中に立つ場面が、今大会では続く。

関連記事:永原依弦、アジア大会スケボー・パークで逆転金 15歳で長谷川瑞穂とアベック優勝、兄は永原悠路

6歳のクリスマスに出合った「ぷよぷよテトリス2」

東京都出身の栗原がぷよぷよに出合ったのは、幼稚園に通っていた6歳のクリスマスだった。母親がプレゼントに買った家庭用ゲーム機のソフト「ぷよぷよテトリス2」にはまり、小学校に上がると放課後に没頭した。小学1、2年生の頃は1日4時間ほど遊んでいたという。

遊びが競技に変わるのは早かった。小学2年生になる頃に出た大会でプロを破って3位に入り、本格的に大会へ出るようになる。国民スポーツ大会の文化プログラム「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」で2023年の鹿児島大会、2024年の佐賀大会と小学生の部を連覇。2025年の滋賀大会では大人も出るオープン参加の部で優勝し、同選手権で史上初めて小学生の部とオープン参加の部の両方を制した選手になった。

2026年2月には「GigaCrysta ぷよぷよグランプリ ファイナル」で優勝し、年間王者に輝く。優勝賞金は100万円だが、小学生の栗原は賞金の代わりにセガから特別賞品を受け取った。続いてアジア大会の日本代表候補最終選考競技会も制し、セガが4月2日に代表候補決定を発表している。日本eスポーツ協会(JESU)が推薦し、日本オリンピック委員会(JOC)の承認を経て正式な代表となる手順だった。発表時のコメントは「日本代表候補になれて、めちゃくちゃうれしいです。ぷよぷよの夢の多くはかなったけど、次はアジア競技大会で金メダルを取りたいです」。その言葉どおりの結果となった。

プロになったのは、その約2週間後だった。セガ公式大会の成績でプロライセンスを取る資格はすでにあったが、セガの運営規定の年齢制限で推薦が保留されていた。JESUが改定したプロライセンス規約を2月26日に施行したのを受けてセガも規定を見直し、4月17日、埼玉県出身の「きーくん」とともに小学生初のJESU公認プロライセンス取得が決まった。セガは親権者の同意を前提にし、深夜に及ぶ大会運営を避けるなど、学業との両立を支える方針も示している。「なりたかったプロになれてうれしいです。ぷよぷよを広める活動をしていきたいです。がんばります!」。これが当時の栗原のコメントだ。

武器は大連鎖。同じ色のぷよを4つ以上つなげて消し、消えた後に落ちたぷよがまた消える「連鎖」を重ねるほど相手へ多くの「おじゃまぷよ」を送れる。栗原は対人戦で最高18連鎖を決めたことがあり、自己最大は19連鎖に達する。

所属は東京ヴェルディeスポーツ、きっかけは「あこがれのともくん」

東京ヴェルディはJリーグのクラブで知られるが、サッカー以外にも複数の競技チームを持つ。栗原はそのeスポーツ部門「東京ヴェルディeスポーツ」のぷよぷよ部門に所属する。加入が発表されたのは2026年6月5日で、プロ選手としての登録名は「ゆうき」だ。

加入は、愛知eスポーツ連合が運営する「eスポーツ 金メダルプロジェクト」の一環だった。地元開催の大会で選手に金メダルを取らせることを目標に、地域の企業とチームが選手を支える枠組みで、東京ヴェルディeスポーツは名古屋OJAとともに参画チームに名を連ねる。

入団の決め手は、先輩プロの存在だった。「一年生のときにプロを目指すきっかけになった、あこがれのともくん選手が所属している東京ヴェルディeスポーツに入れてうれしいです」。加入時、栗原はそうコメントし、アジア大会での金メダルを目標に掲げていた。3か月あまりで、その目標に届いた。

報奨金の扱いは決まっていない。五輪ではJOCが金メダリストに一律500万円を出すが、アジア大会は各競技団体の判断に委ねられる。関係者によると、JESUは現時点で報奨金を出さない見通しで、東京ヴェルディも未定だ。会見でご褒美を聞かれた栗原は、キラキラしたものが好きだとして宝石を挙げ、色は「青色とかがいいですね」と答えた。

ジャカルタの公開競技から正式種目へ、eスポーツとアジア大会

eスポーツがアジア大会に初めて登場したのは2018年のジャカルタ大会で、このときは公開競技だった。日本は「ウイニングイレブン 2018」で杉村直紀と相原翼が金メダルを取っている。正式なメダル種目になったのは2023年の杭州大会で、7種目が行われた。

愛知・名古屋大会はそれを上回る11種目13タイトルで、日本は7種目9タイトルに代表を送り出した。ぷよぷよは今大会で初めて採用された。1991年に初代が発売され、2026年で35周年。大会ではPCを使った1対1の個人戦で争われた。9月23日にはeFootballの日本代表が銅メダルを手にしており、栗原の金はその3日後だった。

決勝で敗れたカンは、試合後に日本語で取材に応じ、栗原の技術力と正確さをたたえた。11歳という年齢は気にしておらず、日本の強豪を全員倒して出てきた「日本の1位」を相手にするつもりで戦ったという。

小学5年生の将来の夢は電車の運転士。千代田線が好きで、塾の先生にも憧れる。表彰台の真ん中に立ったのは、そんな11歳のプロゲーマーだった。

[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]

寄稿者

疾風(HAYATE)
スポーツニュースサイトでの執筆を経て、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上など、競技の枠を越えてスポーツ記事を書いてきたWEBライター。経験は6年。大会結果や記録、番付、レース展開など、数字と公式記録を土台に「何がすごかったのか」を整理する記事を得意としている。ルールや採点方式が分かりにくい競技でも、初めて観る人がその一戦を楽しめるよう、背景や見どころまでかみくだいて伝えることを心がけている。主な執筆分野は、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上、バスケットボール。

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