広島、FA宣言残留を認める方針 宣言残留とは何か、床田寛樹・森下暢仁・坂倉将吾の去就

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広島東洋カープの鈴木清明球団本部長(72)が10月15日、今オフに国内FA権を持つ床田寛樹、森下暢仁、坂倉将吾の3選手について、FA宣言をしたうえでの残留を認める方針を示した。3人とも今季、初めて国内FA権の取得条件を満たした主力だ。球団は3人の残留を望んでおり、14日に坂倉、15日に森下と話し合いの場を持った。権利を使うかどうかの判断は、日本シリーズ終了後に始まる。
鈴木本部長「宣言しても残りたいなら」
鈴木本部長は15日、マツダスタジアムにある広島市南区の球団事務所で報道陣の取材に応じた。3人には当然残ってほしいとしたうえで、FA宣言をしても、選手が残りたいのであれば残ればいい、という考えを明かした。宣言を移籍の意思表示と決めつけず、他球団と話したあとでも戻れる余地を残す発言だった。
3人との交渉は、それぞれの代理人を通して進める。報道によると、球団は14日に坂倉将吾(28)、15日に森下暢仁(29)と話し合ったが、床田寛樹(31)とは日程が合わず、近く代理人を通じて交渉に入る見通しだ。具体的な条件の話し合いはこれからとなる。
15日に球団と話した森下は、報道陣に対し、現時点で明言できることはないという趣旨の話にとどめた。床田と坂倉が権利を使うかどうかを公の場で語った発言は、10月16日時点で確認できていない。
そもそも「宣言残留」とは何か
FAは「フリーエージェント」の略で、一定の期間を一軍で過ごした選手が、所属球団以外とも自由に契約交渉できる権利だ。日本野球機構(NPB)の説明では、国内の全球団と交渉できる「国内FA」と、海外の球団も相手にできる「海外FA」の2種類がある。
取得の物差しになるのは、一軍の出場選手登録日数だ。公式戦の期間中に145日以上登録されたシーズンを1シーズンと数え、合計8シーズンで国内FA、9シーズンで海外FAの資格を得る。2007年以降のドラフトで入団した大学生・社会人出身の選手は、国内FAが7シーズンに短くなる。145日に届かなかった年の日数は合算でき、145日に達するごとに1シーズンとして加わる。
権利を得た選手は、日本シリーズが終わった翌日から、土日と祝日を除く7日以内に、権利を使うかどうかを表明する。期間を過ぎた翌日に「FA宣言選手」として公示され、その翌日から元の球団を含むすべての球団と翌年の契約を交渉できるようになる。
この「元の球団を含む」という点が、宣言残留の土台だ。
宣言残留とは、選手がFA宣言をして他球団の評価を聞いたあと、最終的に元の球団と契約を結び直すことを指す。選手は自分の市場での値打ちを確かめられ、元の球団も、他球団の条件を踏まえて改めて交渉に臨める。一方、球団によっては宣言した選手とは再契約しないという姿勢を取ることがあり、その場合、宣言はほぼ移籍の意思表示と同じ意味を持つ。
2026年の日本シリーズは10月24日に開幕し、もつれれば11月1日の第7戦まで続く日程だ。3人の表明期限も、シリーズの決着によって決まる。
宣言は「移籍前提」だった広島の歩み
広島はかつて、FA宣言を事実上の移籍の意思表示として受け止めていた。報道によると、宣言残留を認めない時期があり、球団にこれまで宣言残留をした選手はいない。権利を持った主力は、宣言せずに残るか、宣言して出ていくかの二択に近かった。
2021年オフには、堂林翔太、大瀬良大地、九里亜蓮の3人が国内FA権を使わずに残留を決めた。その九里は2024年オフにFA宣言し、オリックスへ移っている。宣言せずに残った選手と、宣言して出ていった選手。広島の過去の例は、この2つの道に分かれてきた。
風向きが変わったのは、選手の考え方や時代の変化を受けてのことだとされる。鈴木本部長の発言は、宣言を受けても交渉の扉を閉じないという方針をあらためて示したものだ。宣言して他球団の条件を聞いたうえで、最後に広島を選ぶ。球団にとって前例のないその道が、3人の前にはっきりと示された。
床田・森下・坂倉、2026年の成績
3人の今季の成績(NPB公式記録、レギュラーシーズン終了時点)は次のとおりだ。
| 選手 | 国内FA権の取得条件を満たした日 | 2026年の主な成績 |
|---|---|---|
| 床田寛樹(投手) | 4月6日 | 23試合、8勝6敗、防御率2.76、143回1/3 |
| 森下暢仁(投手) | 9月14日 | 23試合、7勝11敗、防御率3.60、137回2/3 |
| 坂倉将吾(捕手) | 7月19日 | 140試合、打率.251、15本塁打、74打点 |
床田は箕面学園高から中部学院大を経て、2016年のドラフト3位で入団した左腕だ。プロ10年目の今季は初めて開幕投手を務め、規定投球回に届く143回1/3を投げ、チームトップの8勝を挙げ、防御率2.76を残した。2023年に11勝7敗、防御率2.19、2024年も11勝9敗、防御率2.48をマークし、2025年は自己最多の171回1/3を投げた。2023年から今季まで4年続けて規定投球回に届き、先発ローテーションの軸を担ってきた。
森下は明治大から2019年のドラフト1位で入団した右腕だ。1年目の2020年に10勝3敗、防御率1.91を残し、セ・リーグの新人王に選ばれた。今季は7勝11敗と黒星が先行したものの、137回2/3を投げて112三振を奪い、2完投、1完封を記録した。権利の条件を満たしたのはシーズン終盤の9月14日。今オフが、初めて権利の使い方を決める機会となる。
坂倉は日大三高から2016年のドラフト4位で入団した。プロ5年目の2021年に打率.315を記録して打線に定着したが、2025年は開幕前に右手中指を骨折し、104試合で打率.238と苦しんだ。巻き返しを期した今季は、捕手として登録されながら一塁や三塁も守り、140試合に出場して127安打、チーム最多の74打点をマークした。マスクをかぶりながら内野も守れる起用の幅が、坂倉の持ち味だ。
他球団の調査と広島の事情
3人の動向には、他球団も目を向けている。報道によると、巨人が3人の獲得調査を進めており、中でも床田を最優先にしているとされる。3人には複数の球団が調査を進めていると伝えられた。ただ、3人のうち誰かがFA宣言をすると決めたわけではない。
広島の今季は61勝78敗4分けで、セ・リーグ4位に終わった。3年連続のBクラス。投手陣の柱2人と打線の中軸がそろって抜ければ、来季の戦い方そのものが変わる。
だからこそ、球団は宣言残留という選択肢を示した。他球団の評価を聞いたうえで戻ってくる道を残し、話し合いを続ける構えだ。3人がどの道を選ぶのか。表明の期限は、日本シリーズが終わった翌日から土日祝を除く7日以内となる。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]













































































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