レイカーズ、ルカ・ドンチッチの「凄さ」とは何か? 天才の軌跡と衝撃の移籍劇、その全貌に迫る
NBAを揺るがした衝撃のトレード
なぜマーベリックスは彼を放出したのか?
2025年2月2日、NBAに激震が走った。ダラス・マーベリックスが、フランチャイズの顔であるルカ・ドンチッチをロサンゼルス・レイカーズのアンソニー・デイビスらとトレードするというニュースが報じられたのだ。現役のオールNBAプレーヤー同士がシーズン中にトレードされるのは極めて異例であり、多くの関係者やファンが「フェイクニュースだと思った」と語るほどの衝撃だった。
マーベリックスのGM(当時)であるニコ・ハリソンは、このトレードの理由を「ディフェンスがチャンピオンシップを勝ち取る」という哲学に基づき、ツーウェイプレーヤー(攻守両面で優れた選手)であるアンソニー・デイビスを求めた結果だと説明した。表向きの理由はディフェンス強化だが、水面下ではドンチッチのコンディショニングや、彼のヘリオセントリックなスタイルがチームの成長を妨げているという懸念があったのではないか、という憶測も飛び交った。ドンチッチ自身もこのトレードには全く気付いておらず、大きなショックを受けたと報じられている。
「史上最悪のトレード」―関係者とファンの反応
このトレードに対する反応は、驚きを通り越して、マーベリックスへの批判がほとんどだった。25歳というキャリアの絶頂期にあるスーパースターを、30代で故障歴の多い選手と交換したこと、さらに見返りとして得たドラフト指名権が少なかったことから、「史上最悪のトレード」と酷評するメディアも少なくない。
The AthleticがNBA選手を対象に行った匿名調査では、ほとんどの選手が「理解できない」「馬鹿げた決断だ」とマーベリックスの判断を批判した。ある選手は「ルカのような世代を代表する選手をトレードしてはいけない。たとえ彼が500ポンド(約227kg)でキャンプに来たとしてもだ」と語っている。
ファンの怒りはさらに激しく、GMの解任を求める声や、チームへのサポートをやめるという宣言がSNS上に溢れた。このトレードは、チームの成績だけでなく、フランチャイズとファンの関係性にも深い傷跡を残したのである。
新天地レイカーズでの挑戦と進化
2025-26シーズンの歴史的スタート
失意のトレードから約9ヶ月。ドンチッチは新シーズン、見違えるような姿でコートに戻ってきた。オフシーズンに20ポンド(約9kg)以上の減量に成功し、コンディションを整えた彼は、開幕から歴史的なパフォーマンスを披露している。
特に2025年11月に入ってからの活躍は凄まじく、4試合で35得点、22得点、29得点、38得点と、チームを牽引し続けている。レブロン・ジェームズが故障で離脱する中、ドンチッチはオフェンスの全責任を背負い、MVP最有力候補としての評価を確固たるものにしつつある。
プレースタイルの変化とディフェンスへの意識
レイカーズ移籍後、ドンチッチのプレーには変化が見られる。最大の課題とされてきたディフェンス面での貢献だ。チームメイトの八村塁は「彼は去年より声を出してディフェンスしようとしている」と証言しており、コーチ陣も彼の守備への意識の高まりを評価している。
元NBA選手のドウェイン・ウェイドは、「レイカーズはドンチッチの弱点(ディフェンス)をチームでカバーし、彼の強みを最大限に活かすシステムを構築している」と分析する。かつてのアイドルであったレブロン・ジェームズとチームメイトになったことも、彼の精神的な成長を促しているのかもしれない。オフェンスでは依然として圧倒的な支配力を見せつけながらも、チームプレーヤーとして成熟しようとする姿がそこにはある。
ルカ・ドンチッチはどこへ向かうのか
ルカ・ドンチッチは、そのキャリアを通じて常に称賛と批判の中心にいた。ヨーロッパでの早熟な成功、NBAでの記録破りのパフォーマンス、そして前代未聞のトレード劇。彼の物語は、現代NBAにおけるスーパースターのあり方を象徴しているかのようだ。
彼の「凄さ」は、単なるスタッツの羅列では説明できない。相手の戦略を読み解く比類なきバスケットボールIQ、試合の勝敗を決定づけるクラッチ能力、そして観る者すべてを惹きつけるカリスマ性。それらが融合して、「ルカ・マジック」と呼ばれる唯一無二の現象を生み出している。
レイカーズという新たな舞台で、彼は自身の評価を覆し、悲願のNBAチャンピオンリングを手にすることができるのか。それとも、再びそのプレースタイルが議論の的となるのか。確かなことは、ルカ・ドンチッチという選手から、これからも目が離せないということだ。彼の挑戦は、まだ始まったばかりである。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]
















































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