辛島航、引退試合で先発し打者1人と対戦して現役ラスト登板 会見で「一番は野球を教えてくれたおじいちゃん」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
楽天の辛島航(35)が10月3日、本拠地のオリックス戦で先発し、打者1人と対戦して現役最後のマウンドを終えた。先頭の西川龍馬を4球で左飛に打ち取り、試合は楽天が6-0で勝った。同日13時30分からの引退会見では、感謝を伝えたい相手に「一番は野球を教えてくれたおじいちゃん」と答え、先月亡くなった祖父への思いに涙を浮かべた。
↓ 詳細が気になる方は、このまま下へ ↓
先頭の西川を4球で左飛、現役最後のマウンド
10月3日(土)、楽天モバイル 最強パーク宮城で18時にプレーボールがかかった。楽天の先発投手としてコールされたのは、今季限りでの引退を表明していた辛島だった。吉井理人監督が事前に明言していたとおり、投げるのは打者1人だけだ。
対戦したのはオリックスの1番、西川龍馬だった。初球は136キロの直球でボール。2球目の130キロの直球でストライクを取り、3球目のカーブで追い込む。最後は4球目のスライダーで、打球は左翼への飛球になった。
アウトを取った辛島を、スタンドからの大きな拍手が包んだ。マウンドには仲間が集まる。ナインと握手やハグを次々に交わし、2番手の古謝樹(25)にもハグで激励してベンチへ下がった。
日刊スポーツによると、辛島は「ストライクが入ってよかった」と登板を振り返り、ファンの声援にも感謝を語っている。
試合は楽天が6-0で完封勝ちした。2回にマッカスカーのソロ本塁打で先制し、7回に4点を加えて突き放している。古謝は辛島の後を受け、8回2/3を無失点に抑えて勝利投手となった。
会見で涙、感謝の一番手は先月亡くなった祖父
登板の約4時間半前、13時30分から引退会見が開かれた。辛島は冒頭で「今シーズン限りで引退することになりました。18年間ありがとうございました」とあいさつし、「今はやりきった気持ちです」と続けた。
決断の時期を問われると、「正確にいつというのはなかったですけど、今シーズンがダメだったら引退しようとは思ってシーズンには臨んでいました」と明かした。
会見の終盤、感謝を伝えたい人を聞かれた場面で空気が変わった。スポーツ報知によると、辛島は「一番は野球を教えてくれたおじいちゃん」と話し、祖父が先月亡くなったことを明かして目を潤ませた。日刊スポーツは、同じ場面の言葉を「野球を教えてくれたのがじいちゃんだった。先月亡くなってしまったんですけど」と伝えている。
「周りの方に感謝して、素直な気持ちを忘れずにやっていきなさい」。辛島は祖父からそう言われていたと語った。
野球で人生が変わったという思いも口にした。「野球で人生を変えてもらった、救われた部分があるので、何かしらのかたちで貢献していけたら」。
日本一を知る最後の生え抜き、通算56勝の左腕
辛島は福岡・飯塚高の出身で、3年夏に甲子園に出場した。2008年のドラフト6位で楽天に入り、以来、楽天一筋でプレーしてきた。身長173センチの左腕で、緩急を軸に先発として投げ続けた。
飛躍の年は2012年だった。16試合すべてに先発し、プロ初勝利を含む8勝5敗をマークする。翌2013年には、球団初のリーグ優勝と日本一を経験した。日本シリーズ第5戦では5回を1安打無失点に抑える好投を見せ、優勝に貢献している。この日本一を知る唯一の生え抜き選手が、辛島だった。
会見でも、最も心に残る場面に2013年の日本一を挙げた。「特に一番を決めるのであれば、日本シリーズの1試合だと思う」と語っている。
自己最多の9勝を挙げたのは2019年。この日の登板を含めた通算成績は次のとおりだ。
| 項目 | 成績 |
|---|---|
| 登板試合 | 211(先発173) |
| 投球回 | 1007 |
| 勝敗 | 56勝74敗 |
| ホールド | 10 |
| 奪三振 | 701 |
| 防御率 | 4.00 |
通算の防御率は4.00。負け数が勝ち数を上回る数字だが、先発として173試合のマウンドに立ってきた年月が並ぶ。
左肘の手術を経て迎えたラストシーズン
ここ数年の歩みは苦しいものだった。昨季の1軍登板は2試合にとどまり、昨年10月には左肘を手術している。リハビリを経て現役復帰を目指した今季は、ファームで9試合に投げて3勝1敗、防御率3.67だった。ただ、1軍での登板はなかった。
9月30日に1軍へ合流すると、ナインやスタッフと握手を交わし、キャッチボールなどで汗を流した。登板前には「これまでの210登板と心境は大きく変わらないです」「感謝を伝えられるような登板にしたいです」と話している。
元同僚からも花が届いた。巨人の田中将大や則本昂大らが、辛島の引退登板に合わせて贈った。
球団は、この日は勝利時のヒーローインタビューとウイニングランを行わないと発表していた。試合後にはフィールドで引退セレモニーが行われ、辛島はスピーチで星野仙一元監督や家族、ファンへの感謝を語った。
18年間のプロ生活は、打者1人、4球で幕を閉じた。会見で口にした「貢献していけたら」の言葉どおり、辛島が野球とどう関わっていくのかは、これから明らかになる。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]









































































コメントはこちら