【サイバーエージェント新社長】山内隆裕、立教大学卒の経歴 新卒入社19年で頂点へ

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【30秒で理解】サイバーエージェント新社長・山内隆裕氏とは
サイバーエージェントは2025年11月14日、創業者・藤田晋氏の後任として、専務執行役員の山内隆裕氏(42)が新社長に昇格する人事を発表した。山内氏は2006年に新卒で入社した生え抜きで、子会社CyberZを設立しスマホ広告事業を成功させた実績を持つ。近年はeスポーツや「ABEMA」のCOO、アニメ・IP事業を牽引。藤田氏とは4年間の伴走期間を経て、社長業の8割を引き継ぐ計画だ。
サイバーエージェント、初の社長交代へ 創業者・藤田晋氏からバトン受ける山内隆裕氏とは
IT大手のサイバーエージェントは2025年11月14日、創業以来約28年間トップを務めてきた藤田晋氏(52)が代表権のある会長に就き、後任の代表取締役社長に専務執行役員の山内隆裕氏(42)が昇格する人事を発表した。12月12日開催予定の株主総会を経て正式決定する。1998年の設立以来、初めてとなる社長交代であり、新卒入社の生え抜きが巨大IT企業の舵取りを担うことになる。山内氏とは一体どのような人物なのだろうか。その経歴と実績を追う。
新卒からトップへ、異例のキャリアパス
山内氏の経歴は、サイバーエージェントの歴史そのものを体現しているかのようだ。新卒で入社後、子会社の社長、そして本社の最年少取締役へと、異例のスピードでキャリアを駆け上がってきた。その道のりを時系列で振り返る。
| 年代 | 年齢 | 役職・所属 | 主な業績・出来事 |
|---|---|---|---|
| 1983年 | 0歳 | 東京都三鷹市で生まれる。 | |
| 2006年 | 22歳 | サイバーエージェント 入社 | 立教大学経済学部を卒業し、新卒で入社。 |
| 2009年 | 25歳 | CyberZ 設立、代表取締役社長 就任 | スマートフォン広告を手がける子会社を設立。 |
| 2010年 | 27歳 | CyberZ 代表取締役社長 | ガラケー向け広告からスマホ広告へ事業を全面転換(ピボット)。 |
| 2012年 | 29歳 | サイバーエージェント 取締役 就任 | 当時最年少で取締役に就任。スマホ広告事業をグループの柱に成長させる。 |
| 2015年〜 | 31歳〜 | CyberZ 代表取締役社長 | eスポーツイベント「RAGE」を立ち上げ、事業を牽引。 |
| 2018年 | 35歳 | サイバーエージェント 常務取締役 就任 | |
| 2020年 | 37歳 | サイバーエージェント 専務執行役員 就任 | |
| 2023年 | 40歳 | AbemaTV 取締役COO 就任 | 「ABEMA」の最高執行責任者としてメディア事業の収益化を担う。 |
| 2024年 | 41歳 | アニメ&IP事業本部 本部長 兼務 | グループの新たな成長の柱としてIP創出とグローバル展開を主導。 |
| 2025年 | 42歳 | サイバーエージェント 代表取締役社長 就任予定 | 創業者・藤田晋氏からバトンを受け、2代目社長に就任予定。 |
入社のきっかけと子会社設立
山内氏は1983年、東京都三鷹市生まれ。立教大学経済学部に在学中、大学3年生の時に藤田氏の講演を聞いたことが、サイバーエージェントを意識するきっかけとなった。藤田氏が語った「文化祭の準備をするような日々が続く」という言葉にワクワクし、入社を決意したという。
2006年に新卒で入社後、広告営業などで実績を上げ、わずか3年後の2009年、25歳でスマートフォン広告を手がける子会社「株式会社CyberZ」を設立し、代表取締役社長に就任。これは、若手に大胆に仕事を任せるサイバーエージェントの社風を象徴する出来事であった。
市場の変革期を捉えた「スマホシフト」
CyberZ設立当初、主力はフィーチャーフォン(ガラケー)向け広告だったが、市場では後発であり苦戦を強いられた。ここで山内氏は大きな決断を下す。当時、まだ国内で400万台程度しか普及していなかったスマートフォン市場の将来性を見越し、社内の反対を押し切ってスマートフォン広告事業への全面的な転換(ピボット)を敢行したのだ。
「No.1を取るには市場を変えてやり直すしかないと決断。…その後、3ヵ月で業態変更前の売上に追いつき、さらに半年後には売上は3倍の業績に拡大。市場シェアの3割を獲得し、業界トップに立ったのです」
この先見性と大胆な決断力が、サイバーエージェントグループのスマートフォン広告事業の礎を築き、山内氏自身も2012年に29歳の若さでサイバーエージェント本社の取締役に、当時最年少で就任する大きな原動力となった。
市場を読む先見性―スマホ広告からeスポーツ、アニメIP事業へ
山内氏のキャリアは、常に市場の変化を捉え、新たな事業領域を切り拓いてきた歴史でもある。スマートフォン広告での成功は、その序章に過ぎなかった。
エンタメ領域への進出:「RAGE」の立ち上げ
次に山内氏が注力したのが、eスポーツ事業だ。CyberZを通じて国内最大級のeスポーツイベントブランド「RAGE」を立ち上げ、運営を主導。人気ゲームタイトルでの大規模な大会を次々と開催し、日本のeスポーツ市場の黎明期を牽引する存在となった。広告事業で培った知見を活かし、エンターテインメントとしてのeスポーツのビジネスモデル構築に貢献した。
「ABEMA」COO、そしてIP事業の牽引役へ
その後、山内氏の役割はさらに拡大する。2023年9月には、サイバーエージェントの中核事業の一つであるインターネットテレビ局「ABEMA(アベマ)」を運営する株式会社AbemaTVの取締役COO(最高執行責任者)に就任。メディア事業の収益化と成長戦略を担うことになった。
さらに2024年2月には、グループの次なる成長の柱として期待される「アニメ&IP事業本部」の本部長を兼務。IP(知的財産)の原作開発からアニメ制作、ゲーム化、グローバル展開までを一気通貫で行う体制の構築を主導している。山内氏は「クリエイターが最高の力を発揮できる環境づくり」を核に、世界で通用するIP創出を目指す考えを示している。
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