筒井ちび太、東日本新人王決勝の会見で「スーツを買ってくれる方がいたら連絡してください。」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
プロボクシングの東日本新人王決勝戦の会見が10月10日、東京都文京区で開かれ、ミドル級で決勝に進んだ筒井ちび太(23)=パンチアウト=が出席者でただ一人、ジャケットなしで登壇した。スーツは電車の網棚に置き忘れてなくしたといい、「スーツを買ってくれる方がいたら連絡してください。」と呼びかけた。ヘビー級でプロデビューした異色の23歳は、11月3日の後楽園ホールで岡村弥徳(28)=八王子中屋=と対戦する。
会見でただ一人ノージャケット、飛び出したスーツの「募集」
会見の最後に登場したのがミドル級の2人だった。決勝に進んだ選手たちがスーツとネクタイで並ぶなか、筒井は白いTシャツに花柄の短パン、黒いパーカーという姿で現れた。白い靴下には「大人気」の文字。ネパール出身のウエルター級、カドカ・ダルシャン(18)=RK蒲田=が祖国の民族衣装で出席したこともあり、服装の違いはいっそう目を引いた。
筒井はまず「きょう、まさかみんなスーツで来るとは思っていなかった。なめてるわけじゃないです」と苦笑いで切り出した。手元にスーツがない理由は単純だった。以前、電車の網棚に置き忘れ、そのまま見つからなかったのだ。本人によると、置き忘れたのは「忘れもしない、総武線快速の千葉行き」。持っていたスーツはその1着だけだったという。
そこから飛び出したのが、異例の呼びかけだった。
「スーツを買ってくれる方がいたら連絡してください。必ずこの試合に勝って、全日本新人王も取って、来年は日本王者になります。日本王者になった後にスーツを買ってくれるより、今買ってくれた方が熱いので、早めにお願いします」
冗談めかした口ぶりに会場は沸いたが、言葉の中身は新人王から日本王座までの道筋そのものだ。新しいスーツは、日本王座挑戦が決まったときの発表会見で着るつもりでいる。「日本王者になる前に欲しいです」とも話し、早めに名乗り出てくれる人を待つ。
会見には決勝に進んだ12階級の23選手が出席した。ライトフライ級は當山楓真(ワタナベ)の棄権で児島義輝(角海老宝石)の優勝が決まっており、11月3日は残る11階級で決勝を争う。スーパーライト級では元世界王者・輪島功一氏の孫、磯谷広太(19)=三迫=も決勝に臨む。
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体は大きくなっても「ちび太」、リングネームの由来
身長175センチの筒井が「ちび太」を名乗るのには理由がある。千葉県市川市出身で、ボクシングを始めたのは小学生のころ。当時はジムの中で誰よりも体が小さく、パンチアウトジムの染谷敬喜会長から本名ではなく「ちび太」と呼ばれるようになった。体が大きくなった今も、その呼び名がリングネームとして残る。
アマチュアでは15戦8勝7敗の戦績を残した。プロの舞台に選んだのは、意外にもヘビー級だった。
2025年5月27日、優勝賞金1000万円を懸けた「アジアヘビー級チャレンジカップ」の1回戦が、後楽園ホールの「フェニックスバトル136」で行われた。90.8キロの筒井は参加選手の中で最も軽かったが、武中秀武(大鵬)を左右のフックで倒し、1回TKO勝ち。1ラウンドでの決着に用意された賞金50万円を手にした。リング上で「ヨッシャー」「メークマネー」「50万」と叫んだ姿は、ボクシングファンの間で知られることになる。
その50万円は「友人と遊んで使ってしまった」と本人は明かしている。ヘビー級に出た理由も、優勝賞金の1000万円ほしさだったという。90キロ台の体重は「ジャンクフードをたくさん食べて」無理に増やしたものだった。
ヘビー級は1勝1敗1分け、ミドル級転向後はTKO勝ち
ヘビー級の壁は低くなかった。2025年7月8日の準々決勝では松田尚之(ARITOMI)と打ち合いになり、初回に左フックでぐらつかせながらも判定負け。試合後は「初回に良いパンチをもらってから熱くなり、相手の土俵で戦ってしまった。もっとボクシングで勝負するべきだった」と悔しさをにじませた。
11月11日には後楽園ホールのメインイベントで高山秀峰(スパイダー根本)とヘビー級4回戦を戦い、引き分けに終わる。この試合の後、「脂肪がつきすぎて体が重い。適正階級のミドル級に戻し、来年の新人王を目指す」と方針を口にした。
言葉どおり、筒井は2026年の東日本新人王にミドル級(72.5キロ以下)で出場した。5月18日の初戦でキム・ケン(大橋)に2回TKO勝ちすると、9月18日に予定されていた準決勝は相手の菅原健史(角海老宝石)が棄権し、戦わずに決勝進出が決まった。プロ戦績は4戦2勝(2KO)1敗1分けで、黒星と引き分けはどちらもヘビー級時代に喫したものだ。
いまは「キレイな食事をして、自然と落ちていって」、ふだんの体重は75〜76キロほど。ミドル級のリミットまでほとんど減量はいらない。体が絞れてスタミナとスピードが上がったといい、「今はボクサーの体になった。ヘビーの時の自分と今の自分で戦っても、多分今の方が絶対強い」と胸を張る。新人王戦の後は、さらに1階級下のスーパーウエルター級(69.8キロ以下)へ移り、日本王座を狙う考えだ。
来年はウエルター級で賞金1000万円のトーナメントを開く計画も浮上している。かつて1000万円を目指してリングに上がった筒井は「1000万だったらそれも出たいなと思った」と認めつつ、「今のモチベーション的にお金よりもやっぱりベルトが欲しい」と言い切った。
11月3日に後楽園ホールで決勝、相手は岡村弥徳
東日本新人王決勝戦は11月3日、東京・後楽園ホールで行われる。ミドル級は5回戦で、対戦相手の岡村弥徳は7戦4勝(1KO)3敗。9月17日の準決勝ではオビー・コジマ(竹原&畑山)から3度のダウンを奪い、3-0の判定で勝ち上がった。
会見で岡村は「(各階級の決勝の)最後にふさわしい、盛り上がる試合をする。もちろん僕が勝ちます」と言い切っている。プロの試合数では7戦の岡村が上回り、筒井はプロの白星2つをいずれもKOで挙げている。
東日本を制すれば、他地区の代表と争う全日本新人王決定戦へ進む。スーツを網棚に忘れた23歳が思い描くのは、全日本新人王を経て日本王者になり、新しいスーツで挑戦の会見に臨む姿だ。その最初の関門が、11月3日の決勝になる。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]










































































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