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西山朋佳、白玲戦を防衛し女性初の「棋士」となる権利 「すぐに答えを出せる状況ではない」

西山朋佳、白玲戦を防衛し女性初の「棋士」となる権利 「すぐに答えを出せる状況ではない」

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将棋の西山朋佳白玲(31)が、きのう10日に金沢市で指された第6期ヒューリック杯白玲戦七番勝負第5局で福間香奈女流四冠に勝ち、4勝1敗で防衛した。白玲は通算5期となり、2025年に新設された規定で女性初の「棋士」になる資格を得た。権利を使うかどうかについて、西山は「すぐに答えを出せる状況ではない」と即答を避けている。期限は取得から2週間だ。

金沢で118手の勝利、通算5期で「クイーン白玲」に

第5局の舞台は金沢市のホテル日航金沢。後手の西山が福間香奈女流四冠(34)を118手で破り、8時間半に及んだ一局を制した。シリーズは4勝1敗となり、女流最高峰のタイトルとされる白玲を守っている。

白玲の獲得は2021年の第1期、2023年から2025年の第3〜5期に続いて通算5期目だ。これで永世称号の「クイーン白玲」の資格を得て、あわせて棋士への編入資格も手にした。

福間とは、女流タイトル戦で何度も顔を合わせてきた間柄。どちらも女性初の棋士を目指して挑戦を続けてきた2人の七番勝負は、西山が4勝1敗で決着をつけた。

2025年に生まれた「第3のルート」

棋士になる道は、これまで2つしかなかった。養成機関の奨励会で四段に上がるか、規定の成績を残して棋士編入試験に合格するかだ。性別による制限はないものの、女性で棋士になった人はまだいない。

そこへ加わったのが、白玲を通算5期獲得した女流棋士に「フリークラス棋士編入資格」を与える規定となる。2025年6月の日本将棋連盟の総会で可決され、編入するかどうかは本人が選ぶ。西山が初めての適用例となった。

権利を使えば、名人戦につながる順位戦には参加しないフリークラスの四段になる。竜王戦や王位戦などの棋士の棋戦と、白玲戦などの女流棋戦の両方に出られる一方、特定の棋戦だけを選んで出ることは認められていない。10年以内に順位戦の一番下のC級2組へ上がれなければ棋士の資格を失うが、女流棋士の資格は残る仕組みだ。

「私だけの問題ではない」 即答を避けた理由

終局後、質問は権利を使うかどうかに集中した。西山は「このシリーズは盤面に集中することを心がけていたので、すぐに答えを出せる状況じゃないかなと思います」と答えている。シリーズ中は権利のことを「一切考えないようにしていた」という。

続けて口にしたのは、周囲への思いだった。

「女流棋士としてやらせていただくにあたって、本当にたくさんの方にお世話になって、今こうして将棋を指せていると思っている。私だけの問題ではない。家族もいるので周りと相談して方針を決めたい」

西山は2025年11月に一般男性との結婚を発表しており、家族や関係者と話し合う考えを示した。「前例のないこと。規定などを確認して検討していく」とも述べ、「先ほど対局が終わった状態で疲労困憊なので、冷静な状態で考え直したいと思います」と言葉を選んでいる。

終局後の色紙には「雲外蒼天」としたためた。女流棋戦に出始めたころから何百回と書いてきた言葉で、初心に返る意味で選んだと明かしている。

三段リーグの次点、編入試験の不合格を越えて

西山は1995年生まれ、大阪府大阪狭山市の出身で、伊藤博文七段の門下だ。2010年に奨励会へ入り、女性で2人目の三段まで昇った。

最初の壁は三段リーグだった。14勝4敗の好成績を残しながら、昇段枠の上位2人に届かず次点に終わる。2021年4月、年齢制限を前に奨励会を退会し、女流棋士へ転向した。

女流棋界でもタイトルを重ね、2024年から2025年にかけては棋士編入試験に挑んだ。結果は2勝3敗で、2025年1月に不合格が決まっている。今年8月には清麗を初めて獲得し、現在は白玲・清麗・女流名人・女流王将の四冠を持つ。

福間も2022年と今年の2度、棋士編入試験を受けたが、いずれも0勝3敗で合格には届かなかった。西山と福間(旧姓・里見)の対局は、2023年10月までの66局を収めた『里見香奈 vs 西山朋佳 実戦集』(マイナビ出版)にもまとめられている。

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奈良県大和高田市の将棋教室で生徒とともに終局を見守った伊藤七段は、「最高の師匠孝行です。感無量です」と弟子をたたえた。

期限は2週間、13日には女流王将戦も

日本将棋連盟によると、権利を使えるのは取得から2週間。判断の期間中にも対局は続き、13日には女流王将戦三番勝負の第2局が控える。3日の第1局は挑戦者の中七海女流三段が勝っており、西山はタイトル防衛へ後がない状況で臨む。

女流棋界が生まれてから52年。白玲戦のシリーズを4勝1敗で終えた西山が、今度は盤の外で答えを出す。

[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]

寄稿者

疾風(HAYATE)
スポーツニュースサイトでの執筆を経て、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上など、競技の枠を越えてスポーツ記事を書いてきたWEBライター。経験は6年。大会結果や記録、番付、レース展開など、数字と公式記録を土台に「何がすごかったのか」を整理する記事を得意としている。ルールや採点方式が分かりにくい競技でも、初めて観る人がその一戦を楽しめるよう、背景や見どころまでかみくだいて伝えることを心がけている。主な執筆分野は、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上、バスケットボール。

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