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ドルーリー朱瑛里、進路先は米名門ワシントン大陸上部。陸上界の逸材が選んだ「文武両道」の新たな挑戦

なぜアメリカ大学なのか? NCAAがもたらす成長環境

「学生アスリート」を育むNCAAの仕組み

ドルーリー選手が飛び込むNCAA(全米大学体育協会)は、学業とスポーツの両立を大原則とする、世界最高峰の大学スポーツ組織だ。選手は「アスリート」である前に「スチューデント(学生)」であることが求められ、一定の学業成績(GPA)を維持しなければ試合に出場できない厳しいルールがある。

この「Student-Athlete(学生アスリート)」という文化は、学業を重視してきた彼女の価値観と合致する。また、毎週のようにハイレベルな大学対抗戦が組まれ、多様な国籍の選手たちと競い合う環境は、競技者としての成長を大きく促すだろう。日本の大学陸上や、卒業後に実業団へ進むキャリアパスとは異なる、新たな育成モデルへの挑戦でもある。

ワシントン大学の魅力と国際性

進学先のワシントン大学は、米国西海岸を代表する名門州立大学であり、陸上競技、特に中長距離部門で全米トップクラスの実績を誇る。近年はカナダやアイルランドなど海外からの有力選手を積極的にスカウトしており、国際色豊かなチーム編成が特徴だ。

こうした環境は、日本陸上競技連盟(JAAF)が将来の国際的なリーダーを育成する「ダイヤモンドアスリートNextage」に選出されているドルーリー選手にとって、まさに理想的な舞台と言えるかもしれない。競技力だけでなく、語学力や国際感覚を磨き、豊かな人間性を育む上で、この上ない環境が用意されている。

期待と激励の声、陸上界への影響

この決断に対し、SNS上ではファンから「新たな挑戦を心から応援したい」「世界で活躍する姿が楽しみ」といった激励の声が相次いでいる。一方で、「日本の駅伝で見られなくなるのは寂しい」といった、彼女の国内での活躍を惜しむ声も聞かれる。

陸上界の関係者からは、今回の選択を肯定的に捉える見方が多い。かつて、メディアの過熱報道に苦しむドルーリー選手に対し、新谷仁美選手が「本人の心を一番に優先してほしい」と訴えたことがあった。自らの意志で練習環境やキャリアパスを選択し、学業との両立を目指す今回の決断は、若きアスリートの主体的なキャリア形成の好例として、後進にも大きな影響を与える可能性を秘めている。

世界への挑戦、その先に描く未来は

ドルーリー選手の挑戦は、まだ始まったばかりだ。まずは新しい環境と文化、そして学業に順応することが当面の課題となるだろう。その先には、NCAAのシーズンを戦い抜き、個人として、そしてチームの一員として頂点を目指す日々が待っている。

彼女の視線は、NCAAのタイトルだけに留まらないはずだ。U20アジア女王として、いずれはシニアの世界選手権やオリンピックの舞台で戦う日を夢見ているに違いない。異国の地で自らを磨き、心身ともに成長を遂げたドルーリー朱瑛里が、数年後、どのようなランナーとなって私たちの前に姿を現すのか。その未来から、目が離せない。

[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

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