レイカーズ、ルカ・ドンチッチの「凄さ」とは何か? 天才の軌跡と衝撃の移籍劇、その全貌に迫る

【30秒で理解】ルカ・ドンチッチの核心
ルカ・ドンチッチは、10代でヨーロッパ最高峰のユーロリーグを制覇し、鳴り物入りでNBA入りしたスロベニア出身のバスケットボール選手である。ダラス・マーベリックスで新人王、得点王、ファイナル進出など数々の記録を樹立。2025年2月、ロサンゼルス・レイカーズへ電撃移籍し、NBA界に衝撃を与えた。圧倒的な攻撃力とバスケIQを誇る一方、そのプレースタイルやリーダーシップは常に議論の的となっている。
新時代の支配者か、それとも孤高の天才か
2025-26シーズンのNBAが開幕して約1ヶ月。一人の選手がリーグの話題を独占している。ロサンゼルス・レイカーズに所属するルカ・ドンチッチだ。開幕から平均37.1得点、9.4リバウンド、9.1アシストという、まるでビデオゲームのような数字を叩き出している。彼のプレーは観る者を魅了し、時に専門家をも唸らせる。しかし、その輝かしいキャリアは決して平坦な道ではなかった。特に、2025年2月に実現した歴史的なトレードは、彼の評価を大きく二分するきっかけとなった。彼はなぜこれほどまでに「凄い」のか。そして、なぜこれほどまでに物議を醸すのか。その軌跡を辿り、核心に迫る。
天才の原点―ヨーロッパを支配した若き王者
レアル・マドリードの至宝
ドンチッチの名が世界に知れ渡ったのは、NBA入りするずっと前のことである。13歳でスペインの名門レアル・マドリードのユースアカデミーに加入すると、その才能は瞬く間に開花した。16歳でトップチームデビューを果たし、クラブ史上最年少出場記録を更新。そして2018年、わずか19歳でヨーロッパ最高峰の舞台であるユーロリーグでチームを優勝に導き、シーズンMVPとファイナルフォーMVPをダブル受賞するという前人未到の快挙を成し遂げた。この時点で、彼はすでに「ヨーロッパ最高の選手」としての地位を確立していた。
ヨーロッパでの彼のプレースタイルは、現在のNBAでの姿とは少し異なっていた。もちろん、卓越したパス能力や勝負強さは当時から健在だったが、オフボールでの動きやトランジションでの貢献も際立っていたという。チームプレーを重んじるヨーロッパのバスケットボール文化の中で、彼は個の力と組織プレーを高いレベルで両立させていたのである。
NBAドラフトでの評価
2018年のNBAドラフト。ドンチッチはヨーロッパでの圧倒的な実績を引っ提げてエントリーした。多くの専門家が彼をその年のドラフト候補生の中で最も完成された選手と評価していたが、最終的な指名は全体3位であった。アトランタ・ホークスに指名された後、即座に全体5位指名のトレイ・ヤングとのトレードでダラス・マーベリックスへ移籍した。
当時、一部のスカウトやメディアからは、彼の運動能力やNBAレベルでのディフェンス能力に対する懸念が示されていた。しかし、マーベリックスのリック・カーライルHC(当時)は「我々はフランチャイズの礎となる選手を手に入れた」と述べ、その才能に絶大な信頼を寄せていた。このトレードは、後にNBAの勢力図を大きく変える一手となる。
NBAの記録を塗り替えたマーベリックス時代
新人王から得点王へ
NBAでのドンチッチの適応に時間はかからなかった。ルーキーシーズン(2018-19)から平均21.2得点、7.8リバウンド、6.0アシストという驚異的な成績を残し、満場一致で新人王に輝いた。彼のプレーは、巧みなステップバックからの3ポイントシュート、相手の意表を突くパス、そして老獪なまでのゲームコントロールで、瞬く間にリーグを席巻した。
その後も彼の成長は止まらない。2年目にはオールNBAファーストチームに選出され、以降5シーズン連続で選出されるという偉業を達成。これはラリー・バードやティム・ダンカンといったレジェンドに並ぶ記録である。そして2023-24シーズンには平均33.9得点を記録し、自身初の得点王のタイトルを獲得した。

フランチャイズの顔として
ドンチッチは個人成績だけでなく、チームを牽引する存在でもあった。2022年にはマーベリックスをカンファレンス・ファイナルに導き、2024年にはNBAファイナル進出を果たした。ファイナルではボストン・セルティックスに敗れたものの、ポストシーズンを通してチームの得点、リバウンド、アシストの全てでトップに立つという歴史的なパフォーマンスを見せた。キャリア通算のトリプルダブル数はマーベリックスのフランチャイズ記録を大幅に更新し、名実ともにチームの象徴となった。
「彼はボールを持てば、ほぼ常にトップ5のオフェンスを生み出せる。リーグのディフェンスは、彼を止めるために常に全力を尽くすことを強いられる」
彼のプレースタイルは「ヘリオセントリック(太陽中心主義)」と評され、オフェンスの全てが彼を中心に展開される。これが驚異的な個人スタッツを生み出す源泉である一方、後のトレード劇に繋がる一因ともなった。
次ページ:NBAを揺るがした衝撃のトレード



































コメントはこちら