MEDIA DOGS

新着記事

秋田県、クマ出没に住民「もう限界」の声‥なぜ多いのか

熊マップ(秋田10/1〜10/27設定)

秋田県が、ツキノワグマの脅威に揺れている。2025年、クマの出没は異常事態となり、市街地や住宅街にまでその姿を現し、住民の日常を脅かしている。「スーパーの駐車場で車を降りて、家の玄関に着くまでが怖い」。そんな悲鳴にも似た声が、県民の不安を物語っている。

日常に潜む脅威、過去最悪の被害

今年の秋田は、まさに異常事態である。県によると、2025年10月26日現在の人身被害者は54人に達し、すでに過去最悪のペースだ。目撃件数に至っては8000件を超え、昨年1年間の約6倍にまで膨れ上がっている。秋田駅近くの公園や、住宅が密集する地域での目撃も相次ぎ、クマはもはや「山奥の生き物」ではなく、すぐ隣にいる存在となった。

なぜ今、クマは人里に現れるのか

専門家や行政が指摘する大きな要因は、エサ不足だ。今年はクマの主食であるブナの実が「大凶作」と予測されており、飢えたクマがエサを求めて人里まで行動範囲を広げている。

しかし、それだけではない。佐竹敬久前知事は「人口減少で里山が原生林化し、森が豊かになったクマが人間の生活の場に近づいている」と指摘する。かつて人と自然の間にあった「緩衝地帯」が失われ、クマが身を隠しながら容易に集落へ侵入できる環境が生まれているのだ。

「もはや災害レベル」行政の対応と限界

事態を重く見た秋田県は、「ツキノワグマ出没警報」を11月末まで延長。目撃情報を地図で共有するシステム「クマダス」の活用を呼びかけるなど、対策を強化している。しかし、対応は追いついていない。猟友会の高齢化や人手不足は深刻で、現場は疲弊しきっている。

「もはや県と市町村のみで対応できる範囲を超えており、現場の疲弊も限界を迎えつつある」

こう語る鈴木健太知事は、ついに防衛省に自衛隊派遣の検討を要望する考えを明らかにした。これは、現状が通常の鳥獣被害対策の枠組みでは収まらない「災害」に等しいとの認識を示すものだ。

次ページ:社会に広がる波紋と葛藤、私たちに出来ること

コメントはこちら

*
*
* (公開されません)

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

Return Top