歴史と現代が交差する神楽坂のシンボル
東京・神楽坂のメインストリートを歩いていると、ふと目に飛び込んでくる鮮やかな朱色の門。そこが、今回訪れた「毘沙門天 善國寺(びしゃもんてん ぜんこくじ)」です。

神楽坂を訪れたことがある方であれば「こんなところにお寺があるんだ…!」と印象に残っている方も多いのではないでしょうか。

ここは単なる歴史あるお寺ではありません。
江戸時代から続く信仰の地でありながら、人気ドラマのロケ地として「聖地」とも呼ばれ、さらには金運アップのパワースポットとしても注目を集める、実に多面的な魅力を持つ場所でした。
歴史と現代のカルチャーが自然に溶け合う、神楽坂のシンボル的存在。そのリアルな空気感をレポートします。
「神楽坂の毘沙門さま」善國寺とは?
善國寺(ぜんこくじ)は、安土桃山時代の文禄4年(1595年)に創建された日蓮宗の寺院です。
徳川家康公によって開基されたと伝えられ、江戸時代には「神楽坂の毘沙門(びしゃもんてん)さま」として親しまれ、芝正伝寺・浅草正法寺とともに「江戸三毘沙門」の一つに数えられました。
七福神の一人 武神「毘沙門天」とは?
毘沙門天(びしゃもんてん)は、仏教で「北の守り神」とされる武神です。鎧兜をまとった武将の姿で表され、悪いものを退け、人々を守る存在として信仰されています。
ご利益はとても幅広く、金運・開運・商売繁盛・勝負運(合格祈願)・健康長寿・厄除けなど。信仰すると「十種の福」を授かるともいわれています。
もともとは古代インドで財宝の神として信仰されていたため、日本でも「福をもたらす神様」として、七福神の一人に数えられるようになりました。
現在では「新宿山ノ手七福神」の毘沙門天も担っており、多くの人々が福を求めて訪れます。

アクセスは非常に便利で、東京メトロ東西線「神楽坂」駅の1a出口から徒歩約6分、都営大江戸線「牛込神楽坂」駅A3出口からも徒歩約6分ほど。神楽坂の散策途中に気軽に立ち寄れるのも大きな魅力です。
実際に訪れて感じた境内の見どころ
都会の喧騒を忘れる朱色の門と本堂
神楽坂通りに面した朱塗りの山門は、まさに街のランドマーク。多くの人が待ち合わせ場所に利用する光景も納得の存在感です。

道を歩いていても目に入る印象的な門です。
一歩境内に入ると、通りの賑わいが嘘のように穏やかな空気に包まれます。目の前には同じく朱色が美しい本堂が鎮座し、都会の真ん中にいることを忘れさせてくれる不思議な空間が広がっていました。

狛犬ならぬ「阿吽の石虎」その理由は?
本堂の前で参拝者を迎えてくれるのは、狛犬ではなく、なんと一対の「虎」。これは「阿吽の石虎」と呼ばれ、新宿区の指定有形民俗文化財にもなっています。
なぜ虎なのかというと、ご本尊である毘沙門天が「寅の年、寅の月、寅の日、寅の刻」に現れたという伝説に由来し、虎がそのお使い(神使)とされているからだそうです。嘉永元年(1848年)に奉納されたという石虎は、戦災による傷跡も残り、歴史の重みを感じさせます。その力強い姿は、まさに悪霊を退け、人々を守る守護者のようでした。
ファンの聖地?絵馬に込められた熱い想い
境内を歩いていると、特に若い女性の参拝者が多いことに気づきます。実は善國寺、人気アイドルグループ「嵐」の二宮和也さんが主演したドラマ『拝啓、父上様』のロケ地になったことから、ファンの間では「聖地」として知られています。
絵馬を覗いてみると、ライブの当選祈願やメンバーの健康を願うメッセージがずらり。時代は変わっても、人々が何かに願いを託す気持ちは変わらないのだなと、微笑ましくなりました。
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